1. 主食と主菜と副菜

毎日の食事に欠かすことのできない主食、主菜、副菜。厚生労働省と農林水産省が推進している食事バランスガイドによると、摂取量は主菜<副菜<主食の順になるようにするのが理想であるとされている。
主食とは
主食はいわゆるごはんやパン、麺などの炭水化物。主にエネルギーの供給源となるものだ。炭水化物抜きの食スタイルの流行などで悪者扱いされがちだが、ゼロにすればよいというものではない。ただ、現代の食生活を鑑みると炭水化物は摂取過多の可能性もあるので、少々減らすことでバランスが取れるようになるかもしれない。
主菜と副菜
ちなみに主菜とは、肉や魚、卵、大豆製品などを使った料理のこと。タンパク質の摂取が目的だ。対して副菜は、野菜、芋、きのこ、海藻などを使った料理のことを指している。こちらはビタミンやミネラル、食物繊維などの摂取が目的だ。主菜は比較的簡単に摂取することができるが、副菜はどうしても不足しがち。意識して副菜を多めにすると満足度も高く、栄養の面からもおすすめだ。
2. 主菜や副菜をおかずと呼ぶ理由

主菜や副菜がおかずと呼ばれるようになったのは、なんと室町時代。宮中に仕える位の高い女性の使用人=女官が使っていた隠語で「お」は丁寧語に当たる。数を取り揃えるという意味に「お」をつけておかずと呼ばれるようになったようだ。江戸時代になるとだんだんと宮中から一般に広がり、現在にまで続いている。
「お」と「もじ」
この隠語は女房言葉とも呼ばれている。特徴としてあげられるのは接頭語として「お」がついているもの。また語尾に「もじ」をつけて表現を柔らかくしたものも多い。
3. 主菜や副菜=おかず以外にもある女房言葉

「お」がつく女房言葉
おにぎりは握り飯に「お」をつけた格好だ。おでんは田楽に「お」がついたもの。頭のことはおつむというし、おからもからと呼ばれる豆乳の搾りかすに「お」がついている。おもちゃは、手持ちの遊び道具を持て遊びと呼んでおり、これが略されてもちゃになり、「お」がつけられた。おはぎ、おこわ、お造りなどもこれに当たる。
「もじ」がつく女房言葉
青菜などを指す、青物。うどんを指す、お長もの。寿司を指す、おすもじ。しゃもじもそもそもは杓子(しゃくし)のしゃに「もじ」がついた形だ。
美味しいは?
実は美味しいも女房言葉。好ましいという意味を持つ「いし」という古い言葉に、「お」がついて「おいし」となり、美味しいとなった。味がよいことを丁寧な言葉で言い表すなかで生まれた言葉なのだ。
結論
主菜や副菜など、日常的に食べるお惣菜全般をおかずと呼ぶ理由は、数々の品を丁寧に表した女房言葉にあった。その始まりが室町時代とは驚いた人も多いだろう。長い時間をかけて、宮中から一般に定着したおかずや美味しいなどの言葉。日本語の奥深さを噛み締めながら、今一度使ってみるのもよいかもしれない。
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