1. 天然イクラとは?
まずは、天然イクラの特徴について、類似する筋子(すじこ)との比較も交えながら紹介する。
天然イクラの特徴や旬の時期
天然イクラは、産卵期に獲られた鮭の卵巣から、一粒ずつ分けられた卵のことである。一般的には、塩漬けや醤油漬けにして食べられている。鮭の産卵は毎年9月~11月に行われるため、天然イクラの旬もこの時期である。
天然イクラと筋子の違い
筋子(すじこ)は、天然イクラと同じく鮭の卵だ。端的に言えば、筋子は鮭の卵巣を塩漬けにしたもので、天然イクラは卵巣からさらに卵を一粒ずつ分けたものであるが、一般的には卵の成熟度にも違いがあるようだ。
鮭の卵巣は、卵の集合体が薄い膜で覆われた状態になっている。多くの場合筋子は、卵の表面の膜が薄く、一粒ずつ卵を切り離そうとすると破けやすい未成熟な卵巣が塩漬けされている。一方天然イクラは、卵の表面の膜が固くなり、個々の卵が大きく成長した産卵直前に取り出された卵巣から一粒ずつ卵に分けられているのだ。
ただし、世に流通する筋子の中には、成熟した卵巣が塩漬けされたものも販売されているため、筋子の卵の成熟度については一概には語れないことも覚えておいてほしい。
鮭の卵巣は、卵の集合体が薄い膜で覆われた状態になっている。多くの場合筋子は、卵の表面の膜が薄く、一粒ずつ卵を切り離そうとすると破けやすい未成熟な卵巣が塩漬けされている。一方天然イクラは、卵の表面の膜が固くなり、個々の卵が大きく成長した産卵直前に取り出された卵巣から一粒ずつ卵に分けられているのだ。
ただし、世に流通する筋子の中には、成熟した卵巣が塩漬けされたものも販売されているため、筋子の卵の成熟度については一概には語れないことも覚えておいてほしい。
2. 人工(人造)イクラとは?
つづいて、天然イクラに対して、人工イクラとはどのような特徴をもつのかを紹介する。
人工(人造)イクラが生まれた背景
人工イクラは、日本の化学メーカーが、カプセルの接着剤を開発する過程で、偶然生まれたイクラ状にする技術を水産加工会社に持ち込み生産されたイクラである。国産の天然イクラの漁獲量の減少、価格の高騰を背景に、天然イクラの代用品として商品化され市場に流通している。
人工(人造)イクラの成分
人工イクラの表面の膜は、海草などから抽出したアルギン酸ナトリウム水溶液が主成分。内側は、増粘多糖類の一種であるカラギーナン、ゼラチン、へクチンなどの混合物でできている。ここに、天然イクラにある将来胚になる部分(目玉のような粒)に似せる工夫として、ニンジンなどから抽出したβカロテン等で着色した油が入れられている。
3. 天然イクラと人工イクラの見分け方はある?
人工イクラは天然イクラに似せて作られているため、色や形状、食感や味で判別しようとしてもなかなか難しい。それだけ完成度が高いのだ。しかし、天然ものと人工ものを見分ける方法は2つあると言われている。
イクラを皿の上で転がす方法
卵の中の目玉の部分は、天然イクラの場合は卵黄に固定されているため、転がしても動かない。一方、人工イクラの場合は、前述の通り、その部分が比重の軽い油でできているため、転がすことで、常に卵の上部に移動することになる。そのため、転がすことで、常に目玉部分が上部に移動する場合は、人工イクラだと判別することができる。
お湯をかける方法
天然イクラの表面の膜は、タンパク質でできており、お湯をかけることで白く濁る。人工イクラの表面については、アルギン酸が主成分であるため、お湯をかけても色に変化は起らない。そのため、お湯をかけても白く濁らない場合には、人工イクラと判別ができるのだ。
結論
天然イクラ、人工イクラの特徴について理解いただけただろうか。人工イクラは希少で高価な天然イクラの代用品として、偶然も重なり生まれた加工食品なのだ。人工か天然かを判別しようとしても、人工イクラの完成度はとても高いため、外見や食感で判別することは難しい。しかし、天然ものと人工とでは成分が異なるため、今回紹介した2通りの手法をとれば、判別することは可能なようだ。