1. 本場ナポリのピザ生地は手捏ねが基本

2017年にユネスコの世界無形遺産にも認定されたナポリのピザは、イタリアが誇る食文化の中でも最も世界で知られたもののひとつであろう。そのナポリのピザの特徴はどのようなものであろうか。
10世紀の古文書に登場するピザ
イタリアにおけるピザの歴史は古く、「ピッツァ」というイタリア語が文書に登場するのはなんと10世紀のことである。近代のピザは、コロンブスによってアメリカ大陸からトマトがもたらされた後、現在の形と味が確立した。それまでは、ナポリの人々がピザにラードをのせて食べるのが主流であった。当時からストリートフードであったピザが、テーブルで食べるようになるのはなんと20世紀に入ってからのこと。1870年に発案されたトマトソース、モッツァレラチーズ、バジルのピザが、当時のイタリア王妃マルゲリータの名を冠するようになったことで一気に有名になったようだ。
オリーブオイルは入れないナポリのピザ生地
もちもちとした歯ごたえある食感が特徴のナポリのピザ生地は、生地生成の際にオリーブオイルを入れないと特徴がある。また、ピザ生地を作るときにのし棒は使わず、すべて手で行うのもナポリピザの特徴である。生地中の水分は、57%から職人によっては65%になることもある。ナポリピザの最大のライバルであるローマのピザとなにもかもが対照的だが、釜に入れてからの調理時間はナポリピザのほうが短い。そして、ナポリのピザは、ヘリの部分を少し高めにする傾向がある。
2. ローマのピザ生地はカリカリ感が特徴

ナポリのピザがユネスコの世界遺産に認定されたことに穏やかならないのが、ローマのピザ職人たちである。イタリアにおいても、ナポリとローマはピザの美味しさでは双璧をなす。そのローマのピザの特徴をみてみよう。
薄くてカリカリサクサクのローマのピザ
ローマのピザの特徴は、他に類をみないほど生地が薄く、カリカリとした食感であることだ。薄く引き伸ばされたピザ生地のため、本場で食べるローマのピザは皿からはみ出るほどの大きい。このピザ生地を作るために職人たちはのし棒を使用するが、熟練の職人の中には器具を使わず手のみで完成させる人もいるそうだ。生地中の水分は、ナポリのピザよりも少なめの55%。また、オリーブオイルを含むローマのピザ生地は低温での生成が一般的である。
ローマに伝わるその他のピザ
ローマには、ノーマルな丸いピザのほかにピンサと呼ばれる伝統的なピザがある。こちらは、アワや大麦などの粉を含み、生地の中に香草が入っていることが多い。また、ピザ生地の水分含量が非常に高く、75~80%に達する。ピンサは発酵時間が24時間と長い特徴もある。ローマ独特のピザには、ほかにも丸いものだけでなく四角いピザもある。ローマでは、これが切り売りされている。この切り売りピザの場合は、生地はもちもちであったりサクサクであったりさまざまである。
3. ほかにもあるあるピザ生地の種類

ピザの二大都市は、ナポリとローマだが、イタリアにはほかにもジェノバやシチリアに特徴的なピザがあり、いずれも生地は柔らかめである。前者はフォカッチャと呼ばれることが多く、後者はスポンジのようだと形容されている。また、日本のピザはアメリカから到来しているため、それに準じて厚めの生地が多い。窯で焼くことが基本のイタリアのピザ生地と比較すると、アメリカでは手軽にオーブンで焼くのが一般的で、生地は厚めだ。
結論
ピザの本場イタリアを中心にピザ生地の種類を紹介した。同じイタリアのピザでありながら、特徴は大きく異なることをお分かり頂けただろうか。次にピザを食べるときには、生地の種類に注目して食べてみると面白いかもしれない。
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