1. 加賀野菜の種類と旬
日本海に向かって開けた金沢平野を擁する、加賀国(かがのくに)。日本海、北国街道、北陸道を通じ京都にも近い要所として、
1583年に前田利家が金沢に入城して以来、約300年にわたる「加賀百万石文化」といわれる繁栄を生んだ。豊かな自然と文物の往来が生み出した百万石文化の結晶の1つが、金沢の食文化。郷土の味「加賀料理」、そして今も作り続けられている加賀野菜。「じわもん」と、人々が親しみと誇りを込めて呼ぶ地域の野菜、加賀野菜を紹介しよう。
金沢市農産物ブランド協会が選んだ加賀野菜は現在15品目。1945年(昭和20年)以前から栽培され、現在も主に金沢で栽培されている野菜が認定されている。江戸の藩制時代から明治、そして現在へ伝わる伝統野菜からいくつかピックアップしよう。
1583年に前田利家が金沢に入城して以来、約300年にわたる「加賀百万石文化」といわれる繁栄を生んだ。豊かな自然と文物の往来が生み出した百万石文化の結晶の1つが、金沢の食文化。郷土の味「加賀料理」、そして今も作り続けられている加賀野菜。「じわもん」と、人々が親しみと誇りを込めて呼ぶ地域の野菜、加賀野菜を紹介しよう。
金沢市農産物ブランド協会が選んだ加賀野菜は現在15品目。1945年(昭和20年)以前から栽培され、現在も主に金沢で栽培されている野菜が認定されている。江戸の藩制時代から明治、そして現在へ伝わる伝統野菜からいくつかピックアップしよう。
■金時草(きんじそう)
沖縄県でも野菜として栽培される、熱帯アジア原産の多年草。緑の葉の裏が金時豆の色、赤紫であることからこの名に。江戸時代に金沢に伝わった。茹でるとぬめりが出て、お浸しや酢の物に向く。天ぷらも美味だ。出荷時期は露地もので6月下旬~11月中旬。
■源助大根
ずんぐりした円筒形。長さは22cm、根径は約8cmで、肉質が柔らかく肌がきれいで「天下一の味」とされる。煮物用大根の代表選手。旬は10月下旬~2月上旬。
■打木赤皮甘栗かぼちゃ
円錐栗型の小ぶりの西洋かぼちゃで、鮮やかな朱橙色をしている。果肉は厚く甘い。出荷時期は6月中旬~9月上旬。
■加賀れんこん
加賀5代藩主が参勤交代の際に美濃から持ち帰ったものが、「大樋れんこん」として特産品に。デンプン質が多く粘りが強い。出荷時期8月下旬~5月中旬。
■加賀太きゅうり
長さ22~27cm、果径6~7cmのずんぐりした円筒形の白いぼ太きゅうり。肉質は柔らかくて甘く、煮崩れしにくいため、加熱する料理向き。出荷時期は4月上旬~11月下旬。
■せり
茎の長さ40cm、長くて柔らかく、アクの少ない在来種。江戸時代から自生し、明治に入り浅野川の伏流水が豊かな諸江地区での栽培が盛んに。出荷時期は11月上旬~4月下旬。
■ヘタ紫なす
短卵形の小なす。日もちがよく、皮が薄く果肉が柔らかく甘味がある。出荷時期は6月上旬~10月下旬。
■加賀つるまめ
正式名称「ふじまめ」の白花種。地元では収穫量が多いことから、だらまめとも呼ばれる。出荷時期は6月上旬~10月下旬。
■二塚からし菜
ワサビに似た辛味とツンとした香りがあり、葉に緑と赤紫が混じっている。草丈20~30cmで、浅漬けなどにして冬場のビタミン源に。出荷は11月上旬~3月下旬。
2. 能登野菜の種類と旬
三方を海に囲まれ夏は涼しく、冬は対馬暖流の影響を受け比較的温暖な能登半島。恵まれた海洋性気候と粘りの強い赤土の土壌が育んできたのが能登野菜だ。能登の風土を活かして長年生産され、優れた品質を有する野菜の中から、現在16品目が認定。その中から伝統野菜を主にあげてみる。
■中島菜
アブラナ科の伝統的ツケナ。葉に切れ込みがあり、ほろ苦さと辛味が特徴。漬物やお浸しに。11月~4月に収穫。
■沢野ごぼう
普通のごぼうに比べ3倍もの太さがあり、味も香りも比類なき美味しさ。加賀藩の献上品として将軍に上納していた幻の逸品。生産量は極めて少なく、10月のみ収穫。
■金糸瓜
ペポカボチャの一種。輪切りにして茹でると、果肉がほぐれて黄色い糸状になることからこの名に。シャキシャキした歯ざわりで酢の物やサラダに。7月~8月に収穫し、12月まで出回る。
■神子原(みこはら)くわい
棚田で育てる正月用の縁起物野菜。収穫時期は12月上旬~下旬。
■小菊かぼちゃ
直径15cm程の小型の日本かぼちゃ.吊り下げ栽培で鮮やかな濃緑色に。収穫は7月~8月。
3. 加賀・能登野菜の選び方&美味しい食べ方
伝統野菜は生産量も少なく、収穫時期も旬のみに限定されるので、産地以外ではなかなか入手できないかもしれない。石川県内ではJAや道の駅、スーパーなどで採れたてを購入することができるので、現地に行く機会があればあらかじめリサーチしておこう。「加賀れんこん」などは全国的にも人気で、ネットでの取り寄せも可能だ。
伝統野菜は、長く食されてきた郷土食との密接な結び付きがあり、最も美味な食べ方は、郷土の食べ方にあるといえる。
たとえば加賀野菜のせりは、金沢では正月のお雑煮に欠かせない食材。すまし汁に角餅を煮て、せりを添えるシンプルな雑煮だ。また、同じ水辺で育つ鴨を野菜と煮る郷土料理「治部煮」にも用いられることから、「鍋物の鴨とせりは二世の縁」と古い川柳で歌われ、相性のよさから鴨とせりを結婚式の引き出物にする習わしもあったそうだ。
また、金沢青かぶは(残念ながら現在認定はされていないが)、北陸の正月料理「かぶら寿司」をつくるための品種。金沢を代表する冬の味覚ブリの甘味と、かぶの歯ごたえを楽しむ贅沢な逸品だ。
このほか、粘り気のある加賀れんこんをすりおろして蒸す「蓮蒸し」。能登野菜の沢野ごぼうを水と味噌を足しながら7日7晩炊く「七日炊きごぼう」など、あげればきりがない。ぜひ金沢・能登へ旅した際は、石川県の伝統的な野菜料理を味わっていただきたい。
伝統野菜は、長く食されてきた郷土食との密接な結び付きがあり、最も美味な食べ方は、郷土の食べ方にあるといえる。
たとえば加賀野菜のせりは、金沢では正月のお雑煮に欠かせない食材。すまし汁に角餅を煮て、せりを添えるシンプルな雑煮だ。また、同じ水辺で育つ鴨を野菜と煮る郷土料理「治部煮」にも用いられることから、「鍋物の鴨とせりは二世の縁」と古い川柳で歌われ、相性のよさから鴨とせりを結婚式の引き出物にする習わしもあったそうだ。
また、金沢青かぶは(残念ながら現在認定はされていないが)、北陸の正月料理「かぶら寿司」をつくるための品種。金沢を代表する冬の味覚ブリの甘味と、かぶの歯ごたえを楽しむ贅沢な逸品だ。
このほか、粘り気のある加賀れんこんをすりおろして蒸す「蓮蒸し」。能登野菜の沢野ごぼうを水と味噌を足しながら7日7晩炊く「七日炊きごぼう」など、あげればきりがない。ぜひ金沢・能登へ旅した際は、石川県の伝統的な野菜料理を味わっていただきたい。
結論
金沢・能登といえば、新鮮な魚が獲れ、加賀百万石の食文化が息づく加賀料理が堪能できる場所。北陸の鮨と酒を目当てに訪れる際は、ぜひ伝統野菜にも目を向けて、滋味あふれる味わいを堪能してみよう。