1. 生で:冷や奴で
居酒屋のお通しなどでおなじみの「冷や奴」。四角に切った豆腐を「奴豆腐」というようだが、「奴」とは、大名行列の先頭で槍や箱を担ぐ「槍持奴(やりもちやっこ)」のことである。着物の四角い紋が豆腐に似ているところから、その名を頂戴したという。冷やしたものを「冷奴」、温めたものを「熱奴(あつやっこ)」「湯奴(ゆやっこ)」「湯豆腐」などといった。
そんな冷奴だが、豆腐の美味しさをストレートに味わうため、醤油や薬味、さらに豆腐そのものにもこだわって選ぶことが肝心。薬味も様々に用意して、真っ白で四角い豆腐を美味しく美しく彩りたい。
そんな冷奴だが、豆腐の美味しさをストレートに味わうため、醤油や薬味、さらに豆腐そのものにもこだわって選ぶことが肝心。薬味も様々に用意して、真っ白で四角い豆腐を美味しく美しく彩りたい。
【冷や奴の作り方】
材料/豆腐、ネギ、ミョウガ、シソ、鰹節、生姜、醤油、ゴマ
- 豆腐をザルに置き、水気を軽く切る。
- ネギを小口切りにする。シソとミョウガも細切りに切る。
- 器に豆腐を盛り付け、薬味をのせ、醤油をかけて完成。
木綿か絹ごしかは迷うところだが、好みはいろいろあるだろう。滑らかな口当たりを楽しむなら絹ごしがオススメだ。
2. 和えて:白和え
日本料理の中で、最も作り手の真摯な仕事と食材の持ち味が繊細に息づくものが、和え物かもしれない。椎茸、コンニャク、人参、春菊、小松菜、ホウレン草、わらび、ぜんまい、ひじき、レンコン、ギンナン...豆腐の和え衣をまとった様々な具の調和の良さを楽しむ調理法が、「白和え」だ。昔から家庭でおなじみの白和えだが、材料おのおのにベストな下準備が必要で、豆腐の水分の切りかた1つで、美味しさがかなり左右されてしまうので気が抜けない。材料は丁寧に切ることを心掛けよう。
【白和えの作り方】
材料の目安(4人分)/豆腐半丁、白ゴマ大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1~2、醤油小さじ1/2、大根、人参、コンニャク、三つ葉
- 豆腐をペーパーで包み、軽い重しをして10分~15分ほど水切りをする。
- 大根、人参は千切りにし、塩をかけ軽くもみ、ひと洗いしてペーパーに包み固くしぼる。
- 三つ葉は色よく茹でて3cmほどの長さに切る。
- コンニャクは塩をふり、軽くもんでから洗う。すりこぎで叩いて千切りにして、から鍋でいりつけて粗熱をとる。
- 白ゴマをいり、すり鉢に入れてゴマの油が出るまでよくする。
- 豆腐を入れてさらにすりまぜ、醤油、みりん、砂糖で味をつけさらにすりまぜる。
- 具材すべてを入れて和え、小鉢に盛って出来上がり。
3. 揚げて:飛竜頭(がんもどき)
関東では「がんもどき」。関西では「飛竜頭(ひりょうず、ひろうす)」。呼び名は違えど、豆腐を水切りしてつぶし、野菜や魚介などを混ぜて丸めて油で揚げるといった調理法は同じだ。けれども、関東と関西とではつゆの味が違うように、どこか味わいが微妙に異なるようでもある。名前の発祥はそれぞれ、「雁(がん)」の肉に似せた精進料理の「もどき料理」が転じて「がんもどき」に。ポルトガル伝来の南蛮菓子「フィリオース」が転じて「飛竜頭」になったとか。探っていくとなにやら由来は奥深そうだが、ここでは、関西風の飛竜頭の調理法を紹介しよう。
【飛竜頭の作り方】
材料の目安(4人分)/豆腐1丁、山芋30g、芝海老300g、茹で枝豆適宜、白ゴマ、卵1個
- 豆腐をペーパーで包み重しをして10分~15分程水切りする。
- 山芋は皮を剥き、酢水に浸けておく。
- 芝海老はよく洗い殻を剥き、背ワタを取って、まな板の上で包丁の背でたたいて粗く潰す。
- ゴマを弱火で煎る。
- すり鉢で山芋をすりおろす。
- すりこぎで山芋をすりのばし、豆腐を手で潰して入れ、一緒にすり混ぜる。
- 溶き卵を加えてよくすり、芝海老を加えさらにする。
- 枝豆、白ゴマを加え、ゴムベラで混ぜる。
- 薄口醤油小さじ1、みりん大さじ1を加えて味付けし、全体を混ぜる。
- 低めの温度の油(165℃くらい)に、スプーンですくって入れ、全体が狐色になるまで揚げて出来上がり。
このまま辛子醤油や生姜醤油でいただいてもよし。だし汁カップ1/2、みりん大さじ2、醤油大さじ2を合わせて煮立てたものに入れて、軽く煮ても美味しい。揚げたてを存分に食せるのが、自家製ならでは。子供と作ってみても良い食育になるだろう。
結論
冷蔵庫に豆腐が1丁ありさえすれば、残り物の野菜と一緒に何かひと品作ることは朝飯前!というお父さんも多いことと思う。ぜひ一度原点に戻って、古くから家庭で作られてきた豆腐料理をダイエットメニューとしても見直してみてほしい。さらなるレパートリーが広がるはずだ。