目次
1. 「どんぐり」にも種類がある

実は、どんぐりとは単一の種類の実を表す名前ではない。どういうことか、まずは詳しく解説しよう。
さまざまな木の実の総称
どんぐりとは、椎や樫、水楢(ミズナラ)など、さまざまな種類の木の実の総称である。そのため大きさや形などのバリエーションが豊かだ。どの種類も基本的には食べられるが、それぞれ食感や調理のしやすさが少しずつ異なる。林などで拾って料理に使うのはもちろんよいが、拾うどんぐりの種類をなるべく統一すると料理の仕方に差が少なくて済むので覚えておこう。
2. どんぐりを食べるにはアク抜きが必要

どんぐりには「タンニン」をはじめとしたアクが含まれているため、食べられなくはないものの渋みが強い。したがって、美味しく食べるためにはアク抜きをしたほうがよい。
アク抜きのやり方
- ボウルなどに水を入れてどんぐり浸ける
- 浮き上がってきたどんぐりを取り除く
- 沈んでいるどんぐりの殻を剥き小さめに砕く
- 鍋などに水を入れて沸騰させ、じっくり茹でる
- 浮いてきたアクはその都度取り除く
- お湯を切ったどんぐりを水洗いする
- ザルに上げ水気を切る
これでも渋みが残っているときは「4」以降の工程を何度か繰り返そう。食べる前の手間はかかるが、しっかりアク抜きをしておけば渋みがなくなる。なお「2」で浮いてきたどんぐりを取り除くのは、中に虫がいる可能性があるためだ。沈んでいたものだけを食べるようにしよう。
手間を減らすなら「椎の実」がおすすめ
椎類はアクが比較的少ないとされている。アク抜きの手間を少しでも減らしたい方は椎の実を使うとよいだろう。
3. どんぐりを食べるおすすめの方法と作り方

アク抜きが済んだら、いよいよどんぐりを調理して食べる番だ。おすすめの食べ方を2選紹介する。
どんぐりクッキー
縄文時代にはどんぐりを挽いて粉にし、練ってあるいは炊いて食べることが多かったという。同じように食べるのもよいが、おすすめなのはクッキーだ。粉にしたあとクッキーの生地に練り込んで焼けばよい。アク抜きが済んでいるなら多少粒を残して食感を残すのもおすすめだ。オーブンがなくても、フライパンを使えば問題ない。ただし火はしっかり通そう。淡白な味が特徴で好き嫌いが分かれるかもしれないが、一度試してみる価値はあるだろう。
どんぐりごはん
とくに渋みの少ない椎の実を使う場合、殻を剥いてさっとアクを抜いたあと、ごはんと一緒に炊いてみるのもよい。小さく砕かなくてもよいうえ、どんぐりの味や食感をしっかり楽しむのにも適している。椎の実が手に入ったらぜひ、試してみてほしい。
4. どんぐりの保存は下処理をしてから

どんぐりは基本的には保存に向いていない。それに、冷めると実が硬くなるため食べにくくなる。できればすぐに食べることをおすすめするが、大量に手に入ったときなどは保存することもあるだろう。
下処理をして冷凍庫で保存
食べるときと同様に、虫入りのどんぐりを分ける作業と煮沸は必須だ。放っておくと虫が出てくるほか、雑菌が繁殖する原因となるためである。下処理をしっかりしたうえでフリーザーバッグなどに入れ、冷凍庫で保存しよう。冷凍中も味や食感が徐々に落ちていくので、なるべく早く食べきろう。
5. 意外とあなどれない!どんぐりは栄養豊富だった

ところで、どんぐりにはどんな栄養素がどれほど含まれているのか、気になる方もいるのではないだろうか?最後に、文部科学省「日本食品標準成分表」(※1)より、椎(生)を例に栄養素を紹介しよう。
どんぐり(椎・生)100gあたりの主な栄養
- エネルギー:252kcal
- 水分:37.3g
- たんぱく質:3.2g
- 脂質:0.8g
- 炭水化物:57.6g
- 灰分:1.1g
- ナトリウム:1mg
- カリウム:390mg
- カルシウム:62mg
- マグネシウム:82mg
- リン:76mg
- 鉄:0.9mg
- 亜鉛:0.1mg
- 銅:0.36mg
- マンガン:2.72mg
- βカロテン当量:7μg
- ビタミンK:16μg
- ビタミンB1:0.28mg
- ビタミンB2:0.09mg
- ナイアシン:1.3mg
- ビタミンB6:0.19mg
- 葉酸:8μg
- パントテン酸:0.59mg
- ビタミンC:110mg
- 飽和脂肪酸:0.10g
- 一価不飽和脂肪酸:0.51g
- 多価不飽和脂肪酸:0.15g
- 水溶性食物繊維:0.7g
- 不溶性食物繊維:2.6g
どんぐりのカロリーは100gあたり252kcalだ。炭水化物量から食物繊維量を差し引いた糖質が約54.3g含まれることから、カロリーのおよそ9割は糖質に由来するといえる。
ミネラルやビタミンが豊富
どんぐりの栄養の大きな特徴は、ミネラル(※2)やビタミン(※3)の豊富さだろう。代表的なのはマンガン2.72mg、銅0.36mg、マグネシウム82mg、ビタミンC110mgあたりで、ほかのミネラルおよびビタミンも幅広く含む。どんぐりは1食あたり40gほどといわれるが、その量でも通常の食事1食あたりのマンガンとビタミンCの摂取目安量をほぼまかなえてしまう。したがって、どんぐりは栄養豊富な食材といえる。古くからどんぐりが食べられていたのは、栄養面から見ればもっともなことだといえそうだ。
結論
どんぐりは何種類かの木の実の総称で、基本的にどれも食べられる。しかし虫が入っていることがあるほかアクもあるため、下処理が必須だ。下処理さえ終わればナッツや栗などと似た感覚で料理に使える。体質やアレルギーには気をつけながら、少しずつ食べてみよう。林などで足元に転がるどんぐりを食べ物だと思えるようになると、面白いかもしれない。
(参考文献)
- 1:文部科学省「第2章 日本食品標準成分表」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - 2:厚生労働省「ミネラル _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html - 3:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
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