1. 「切る」前に洗う

レシピには書いていないことが多いが、野菜は使う前に必ず水洗いしよう。ほうれん草や小松菜などの葉物野菜は茎の根元の部分や葉脈のところに泥が入り込みやすい。泥は流水で洗っただけでは取り除きにくいので、洗い桶に水をたっぷり張って、そこに野菜を入れて洗うとよい。洗う時は泥をあおり出すように、振りながら洗う。すると泥が水に溶け、自然と葉や根から剥がれ落ちるのである。
里芋やじゃがいも、ごぼうなどの根菜にも泥がついている。皮をむいて使うのである程度取れるのだが、食材に泥の臭いが移りやすくなるのである。そのため、泥がついた根菜は皮をむく前に流水できれいに洗ったほうがよい。特に里芋やえび芋など泥がしっかりついている野菜は、鬼たわしを使ってしっかりこそげ落としてしまおう。
里芋やじゃがいも、ごぼうなどの根菜にも泥がついている。皮をむいて使うのである程度取れるのだが、食材に泥の臭いが移りやすくなるのである。そのため、泥がついた根菜は皮をむく前に流水できれいに洗ったほうがよい。特に里芋やえび芋など泥がしっかりついている野菜は、鬼たわしを使ってしっかりこそげ落としてしまおう。
2. 皮をむく、切り目を入れる

●「皮を厚くむく」とは
大根やさつまいも、うどなどを使ったレシピに「皮を厚くむく」と書いてあることがある。これらの野菜の断面を見ると、皮の内側に丸く筋が入っているのが見える。この筋の内と外では食物繊維の量が違うため食感がまったく異なる。口当たりをよくするために、この線より内側だけを残すように皮を厚くむく必要があるのである。
●「皮を薄くむく」場合
にんじんやごぼうなどはできるだけ薄く皮をむく。野菜の芯にいくほど硬く、皮の下が柔らかく美味しいからである。特にごぼうは、ピーラーや包丁で皮をむくと厚くむけてしまうので、包丁の峰や鬼たわしでこそげるように薄くむくようにする。
●皮を湯むきする
トマトソースなどトマトを使った料理を作る時「皮を湯むきする」とレシピに書いてあることがある。トマトは皮が残っていると口当たりが悪くなるため皮をむいた方が良いが、包丁ではなかなかむきにくい。トマトの皮に十字の切り目を入れ、熱湯に浸けたり、フォークに刺したトマトをガス火で加熱したりすると皮がむけやすくなるのである。また、冷凍したトマトを解凍しても、組織が壊れて皮がつるんとむける。
3. 便利な包丁技

●切り目を入れる
なすの煮物や揚げ浸し、焼き魚などに切り目を入れることがある。格子状や斜めなど表面に切り目を入れることで皮の内側にも火が通りやすくなり、また見た目にも美しくなるからである。焼き魚や煮魚の場合は、皮の下にコラーゲンがあるので、加熱することで皮がめくれたり破れたりすることがあり、それを防ぐために切り込みを入れることがある。
●隠し包丁
ふろふき大根やおでんに入れる大根の下側に入れる切れ込みのこと。十字に切り込みを入れて調味料が大根にしっかり含まれるようにしたり、火の通りを早くしたりするために隠し包丁を入れる。見映えをよくするために、隠し包丁は必ず食材の裏側に入れる。盛り付けた時には切り込みの入っていない表側だけが見えるのである。
●「筋切り」をする
トンカツや豚ロースのステーキなどを作る時には、必ず「筋切り」をする。筋とは動物の腱や筋肉の膜のことで、コラーゲンでできているのだが、この部分に包丁で切れ込みを入れることを「筋切り」という。「筋切り」をしないでそのまま揚げたり焼いたりすると、コラーゲンが縮んで肉が反り返ってしまう。豚の厚切り肉の場合、4~5ヵ所筋切りをするのがおすすめである。
●ちぎる
レタスやキャベツは料理によっては手でちぎって使うこともある。ただし、レタスは包丁で切ったほうが、レタスの繊維が壊れないので好ましい。包丁は鋼(鉄)のものを使うとレタスの断面に鉄が反応して黒ずみやすくなる。そのため包丁をステンレスかセラミックのものを使うとよい。一方、こんにゃくは手でちぎって断面に凹凸をつけると調味料の味がよくしみる。
結論
近年、料理研究家の土井善晴さんが提唱されているものをはじめ、きちんとだしを取って作る和食の一汁一菜食が見直されている。味噌汁など簡単な料理もベースになるだしときれいに切った野菜で美味しさが数段変わる。切ることの意味を知って美しく調理しよう。