目次
1. グミの実とは?

グミの実とは、アジア全域に自生しているグミ科グミ属の植物の一種であり、日本にはナツグミ、アキグミ、ナワシログミといった固有種が存在している。品種により形などに差があるが、ナツグミなどはさくらんぼを縦長したような見た目をしている。また、味わいは甘酸っぱさもあるが、渋み成分のタンニンも含むため渋さが強い。特に、未熟のものはタンニンが多いため食用には適さない。
グミの実の主な生産地と旬の時期
グミの実はほとんど商業生産されていない果物であるため、目立った産地は存在しない。しかし、北海道南部から九州・奄美諸島まで幅広く自生しているほか、庭先に植えられていることも多い。グミの実の旬は品種によって異なり、ナワシログミ(ハルグミ)は4~5月頃、ナツグミは5~6月頃、アキグミは9~10月頃に実が赤く熟す。また、よく食べられるビックリグミは夏頃が旬となっている。
2. グミの実の特徴や魅力

グミの実は日本では馴染みのある果物ではあるが、ほとんど商業生産されていないため食べたことがないという人も少なくないだろう。そこでグミの実の特徴や魅力などを紹介する。
その1.甘みと渋みが楽しめる
未熟のグミの実は、渋みが強いため食べるのが難しい。しかし、完熟すると渋みが弱まり、グミの実の甘酸っぱさとほのかな渋みを楽しめるようになる。また、グミの実は皮がとても薄いため、そのまま食べることが可能だ。ただし、中に入っている大きめの種は吐き出すようにしよう。
その2.抗酸化物質を含んでいる
グミの実の渋みは、ポリフェノールである「タンニン」によるものだ。タンニンはコーヒーや紅茶などに多く含まれている苦味成分の一種で、人体では活性酸素の発生を抑えたり、活性酸素を取り除いたりする働きがあるという(※1)。そんなタンニンが多いのもグミの実の特徴の一つである。
3. グミの実の基本的な栄養価

前述のとおり、グミの実は「タンニン」というポリフェノールの一種を含んでいる。それではそのほかにはどんな栄養素を含んでいるのだろうか。ここでは文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※2)、グミの実(ぐみ/生)の100gあたりの栄養価をまとめておく。
グミの実(生)の100gあたりの栄養価
- エネルギー:72kcal
- たんぱく質:1.3g
- 脂質:0.2g
- 炭水化物:17.2g
- ビタミン
・βカロテン:330μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:2.2mg
・ビタミンK:-
・ビタミンB1:0.01mg
・ビタミンB2:0.04mg
・ナイアシン:0.3mg
・ビタミンB6:0.02mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:15μg
・パントテン酸:0.45mg
・ビオチン:-
・ビタミンC:5mg - ミネラル
・ナトリウム:2mg
・カリウム:130mg
・カルシウム:10mg
・マグネシウム:4mg
・リン:24mg
・鉄:0.2mg
・亜鉛:0.1mg
・銅:0.10mg
・マンガン:0.15mg
・ヨウ素:-
・セレン:-
・クロム:-
・モリブデン:- - 食物繊維:2.0g
(・水溶性食物繊維:0.2g)
(・不溶性食物繊維:1.8g)
4. グミの実の基本的な食べ方

完熟したグミの実は、そのまま生食することが可能だ。特別な下準備は必要ないので、サクランボなどと同じように優しく水洗いしてから食べるようにしよう。また、渋みを強く感じるときは、食塩を付けると対比効果で甘みを感じやすくなる。なお、グミの実の中には細長い種が入っているため、飲み込まないように注意しながら食べるようにしよう。
5. グミの実の美味しい食べ方

グミの実はそのまま食べても美味しいが、ジャム、ピューレ、ドレッシングなどにしても美味しく食べられる。また、グミの実の酢の物やグミの実のスコーンを作っている人もいる。ここではそんな数多くあるグミ料理の中から「グミジャム」の作り方・手順を紹介する。
グミジャムの作り方・手順
- 軸を取り外したグミの実を水洗いしておく
- 鍋にお湯を沸かしグミの実を5分ほど茹でる
- ザルに取り上げてから、しっかりと水を切る
- グミの実をボウルに移して、ヘラなどで潰す
- 鍋に潰したグミの実、グラニュー糖を加える
- 弱火でとろみが付くまで煮詰めたら完成
※煮沸消毒した保存瓶などに入れて保管する
【グミジャムを美味しく作るためのポイント】
- グミの実を潰すときに種を取り除いておく
- レモン汁を加えると色味が鮮やかになる
- 渋みが強いときはヨーグルトと一緒に食べる
6. グミの実の正しい保存方法

グミの実は冷蔵保存で1週間程度は日持ちするとされている。ただし、グミの実は乾燥に弱いため、保存袋に入れてから野菜室で保管しよう。また、グミの実を長期保存したいなら、冷凍保存がおすすめだ。冷凍保存は軸を取り外してから、アルミトレイなどに並べて冷凍。その後、保存袋などに移して保管すればよい。冷凍したグミの実は、ジャムやソースなど加熱調理してから食べよう。
7. グミの実に関するよくある質問

ここまでグミの実について詳しく解説してきた。しかし、中には「お菓子のグミとはどんな関係があるのか」「グミの実はどこで手に入れたらいいか」などが気になる人もいるだろう。そこで最後にグミの実に関するよくある質問・疑問などに回答する。
Q1.グミの実とお菓子のグミは関係ある?
「グミ」というと、お菓子を思い浮かべるかもしれない。しかし同じグミでも、植物のグミとお菓子のグミは全くの無関係だ。そもそも植物のグミは大和言葉(日本固有の言葉のこと)であり、英語圏では「Silverberry」などと呼ばれている。また、お菓子のグミはもともとドイツ語であり、由来はドイツ語でゴムを意味する「Gummi」となっている。
Q2.なぜグミの実は商業生産されていないの?
明確な理由は分かっていないものの、グミの実が商業生産されていない理由としては「渋みがあるため商品に向いていないから」、「渋みの少ないビックリグミは単品種で結実しにくいから」などといわれている。ちなみに、ビックリグミが単品種で結実しにくい理由は、「自家不結実性」といって自分の花粉が雌しべについても実ができないからだ。要するに、別の受粉樹が必要になるわけだ。
Q3.グミの実はどうやって手に入れればいい?
グミの実はほとんど商業生産されていないため、一般的なスーパーや八百屋などで見かけることがほぼない。それでもグミの実が食べたいなら、家庭菜園で栽培したり、グミの実狩り(グミ狩り)に行ったりするのがおすすめだ。グミの実狩りは、例えば「森の中の果樹園(青森県弘前市)」などで行われている。なお、同果樹園のグミの実の収穫予定時期は7月上旬~7月中旬となっている。
Q4.グミの実は家庭菜園で育てることが可能?
グミの木の苗や種は市販されているため、家庭菜園で栽培できる。育て方のポイントは販売店や専門サイトで確認すべきだが、丁寧に栽培すると7月頃に真っ赤で全長2cmほどのグミの実を収穫することが可能だ。なお、前述のとおりビックリグミなどは「自家不結実性」の性質を持つため、「実がつかない」「花つきが悪い」などのトラブルがある場合はほかの品種を植えたりしよう(※3)。
結論
グミの実とは、グミ科グミ属の植物にできる真っ赤で細長い果実のことである。日本にも固有種が多くあり、古くから庭先に植えられたり、観賞用として使われたりしてきた。その一方でほとんど商業生産がされていないため、食べる機会はあまりないといえる。もしグミの実を食べたいなら、家庭菜園で栽培したり、グミの実狩りに行ったりしてみるとよいだろう。
【参考文献】
- ※1:e-ヘルスネット「抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html - ※2:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※3:住友化学園芸「ビックリグミ」
https://www.sc-engei.co.jp/resolution/pestanddisease/sign/list07/3179.html
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