【管理栄養士監修】もつ煮込みのカロリーと栄養素｜栄養図鑑

もつ煮込みは、牛や豚のもつと野菜、こんにゃくなどを使って作られる。もつ以外の食材は基本的にヘルシーなものを使うため、カロリーに大きく影響するのはもつと見てよいだろう。例として、下記の材料からもつ煮込み1人前を作ると考えよう。

豚小腸（ゆで）：100g
にんじん：1／4本
こんにゃく：1／4丁
ごぼう：1／4本
にんにく：1片
みそ：大さじ1 .5
しょうゆ：大さじ1／2
砂糖：大さじ1／2

このもつ煮込み1人前のカロリーはおおよそ327kcalだ。豚小腸は脂肪を多量に含んでいるが、下茹でをすることによりある程度カロリーが抑えられる。とはいえ、もつ煮込みのカロリーは高めといってよい。もつ煮込みは小鉢や副菜のひとつという印象があるかもしれないが、実際には主菜相当のカロリーを含む。したがって、安易にボリュームのある料理などと組み合わせると、カロリー過多になる可能性が高い。

上記の材料から作るもつ煮込み1人前について、主な栄養成分を見てみよう。

たんぱく質：19.6g
脂質：13.6g
炭水化物：31.1g
食物繊維：5.7g
カリウム：382mg
カルシウム：97mg
鉄：3.3mg
亜鉛：3.0mg
ビタミンA：レチノール活性当量40μg
ビタミンB1：0.06mg
ビタミンB2：0.11mg
食塩相当量：4.6g

もつにはミネラルなどの栄養が含まれるほか、野菜も豊富に使うため、栄養を幅広く摂ることができる。とくに食物繊維や鉄分の多さは嬉しい。もつのたんぱく質は肉類としては少なめともいえるが、ほかの栄養を摂れることも考えれば、十分に栄養豊富だといえる。しかし、やはりカロリーには要注意だ。さらに、塩分の多さにも気をつけたい。成人男性の1日あたりの塩分摂取量は9.0mg未満が目標であることから、もつ煮込みの汁まで飲むと目標量の半分以上を摂ってしまうことになる。もつ煮込みの濃い味はごはんや酒に合うのだが、くれぐれも食べ過ぎ、汁の飲み過ぎには注意したい。

上記の材料から作るもつ煮込み1人前は、おおよそ25.4gの糖質を含む。30代男性が運動強度中程度の場合、1日あたりの糖質摂取量の目安は331～430gといわれる。この値を考えれば、もつ煮込み単体はとくに糖質が多いとはいえない。しかしごはんやほかの料理との組み合わせには要注意、油断するとすぐに糖質過多になるおそれがある。とくに酒のつまみとして食べる場合は、ほかの料理と併せて量をどれだけ食べているか把握しにくいため、要注意だ。

もつ煮込みのカロリーには、もつの脂質が大きく影響する。とくに白もつなどの腸は脂肪が多いため、ある程度は仕方ないともいえる。しかし、もつの下茹でをしっかりすることにより、脂肪を極力落とすこともできる。そもそももつ、とくに腸はにおいが強いため、下茹では必須といってよい。どれだけ茹でるかは好みにもよるが、長く茹でればそれだけ脂肪を抜くことができ、カロリーオフにつながる。もっとも、あまり長く茹でるともつが固くなり過ぎるほか、もつ独特のにおいが過度に薄れてしまう。つまり脂肪抜きと美味しさはある程度トレードオフともいえる。体重制限中ならそもそも腸を避けるのがおすすめではあるが、どうしても食べたい場合は、ここで紹介したようにしっかり下茹でをしてみるのもよいかもしれない。もつ煮込みのほかの具材はヘルシーなものが多いため、具材を工夫したところで大きなカロリーオフは望みにくいだろう。

もつ煮込みは、もつや野菜に由来する栄養が幅広く含まれる。ミネラルやビタミンをしっかり摂れるのは嬉しい。しかし、もつには脂肪も多いため、カロリーが高くなりがちだ。もつ煮込みはごはんや酒によく合うため、カロリーや糖質の過多に拍車をかけがちだ。よく注意しながら食べたい。