1. マクロビとは

そもそもマクロビとは、マクロビオティックの略称。カタカナが並んでいる時点で海外生まれの考え方と思われがちだが、1930年代以降に桜沢如一氏が提唱をした日本生まれの概念、造語である。古代ギリシャ語でマクロ=大きな、ビオ=生命、ティック=術や学びを合わせたもので自然とともにある命のあり方を意味する言葉である。
マクロビの歴史
桜井如一がマクロビの概念の礎を築いたのは、1930年代。早くに家族を亡くした彼は、健康に対して多くの疑問を抱いていた。そんな彼が医師である石塚左玄が唱えていた食養(玄米菜食)に共感し、礎を築くこととなる。センセーショナルだったのは、白米ではなく玄米こそ、我々が食べるべき穀物だという考え。玄米の栄養をいかに上手く取り入れるかということを重要視した食事法、思想が体系化していった。桜沢は晩年、フランスに渡り、マクロビオティックを広めることとなる。
また現代のマクロビの父と呼ばれるのが、桜沢の弟子、久司道夫氏だ。彼は厳格だったマクロビオティックをより現代の暮らしに即す形に変換し、広く伝えた張本人だ。
また現代のマクロビの父と呼ばれるのが、桜沢の弟子、久司道夫氏だ。彼は厳格だったマクロビオティックをより現代の暮らしに即す形に変換し、広く伝えた張本人だ。
食だけじゃない!?
マクロビ=食事法、減量法と捉えている人が多いようだが、実は食だけに限ったことではない。マクロビオティックとは、先に述べたように命のあり方である。自然といかに調和し、暮らしを育むかという思想、概念とも言えるのだ。
2. マクロビの三大原則

身土不二
マクロビを語るうえで、欠かすことのできない原則のひとつが身土不二である。そもそもは「しんどふに」と読む仏教用語で、身と土は切り離せないという意味。マクロビにおいては「しんどふじ」と呼ばれ、暮らす土地のもの、旬のものを食べることで健康を維持するといった考えを指す。例えば、南国タイでは体を冷やすようなフルーツが多く自生する。対して日本には四季が存在し、夏にはトマトやきゅうりなど体を冷やす野菜が、冬にはレンコンやごぼうなど体を温める根菜が旬を迎える。このように自然に即した旬のものを取り入れていれば、自ずと体のバランスが整うようになっているという考えだ。
一物全体
こちらは自然の恵みである食物は余すことなく、丸ごといただくという考え方。玄米がよいとされるのもこの考えに即したものであり、そのほか野菜なども皮や根など、すべてを食べることで最大限の栄養を摂取することができるとマクロビでは考えられている。
陰陽のバランス
東洋医学に欠かすことのできない陰陽説。簡単に言えば、陰性とは静かなもの、冷たいもの、水分の多いものなどのこと。逆に陽性とは動きのあるもの、温かいもの、水分の少ないものを指しており、そのバランスが取れた陰陽調和がマクロビで重要視される。ちなみにこれは調理法にも通ずるものである。
3. マクロビと食事法

マクロビオティックは、気候や生活する場所によってもそのバランスが異なる。これも先に述べた通り、身土不二に即した考えだ。実際にマクロビを実践する場合は、どの国であってもまず玄米菜食が基本。玄米をはじめとした穀物の占める割合は、温帯性気候であれば40〜60%と半分程度だ。そのほか野菜が25〜30%、豆や海藻が5〜10%とされている。
避けるべきもの
マクロビでは、動物性タンパク質をあまり摂取しないのが基本。肉や牛乳などの乳製品がそれに当たる。これは消化されにくいことに起因する。このかわりに活躍するのが豆。小豆やひよこ豆、レンズ豆、大豆などはもちろん、大豆を発酵させたテンペ、小麦のグルテンが原料のお麩なども広く食される。ちなみに魚は小魚が推奨される。また精製された白砂糖の摂取もNG。血糖値を急激に上げるため、体に負担がかかりやすいとされ、代替え品としては黒糖、精製されていない米飴やメイプルシロップが挙げられる。
4. マクロビ実践のコツ

マクロビは一物全体が基本である。すべてを食べることはもちろん、自然とともに生きることを踏まえても有機栽培で育った玄米、野菜を選ぶとよい。
本物の調味料
マクロビは素材そのものの味わい、栄養を堪能することが醍醐味である。その美味しさを損なわないためには、調味料も本物を選ぶのが適切だ。自然塩、添加物のない醤油や味噌は必須だ。
とらわれ過ぎない
マクロビで禁止されているものは、原則的にはない。白米や肉や魚を多く食べずとも健康に生きていけることを示しているだけであって、全く食べてはいけないというわけではない。
結論
マクロビオティックとは、自然とともに生きるための指針である。古くは多くの人が自然に実践をしてきたことである。まずは一度マクロビに関する本を読んでみると面白いかもしれない。疲弊した地球を救うひとつの手段になるかもしれない。
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