1. イタドリ(虎杖)の下処理と食べ方
ここではイタドリの基本知識と食べるために必要な下処理方法を紹介する。
イタドリとは?
わらびやゼンマイなどの山菜と比べると知名度の低いイタドリ(虎杖)だが、実は日本中の野山に自生している。なぜイタドリが山菜のなかでもマイナーな存在になっているのかというと、イタドリを食用とする地域が少ないことが関係している。山菜はアクが強いものが多く下処理が必須だが、イタドリも同様にアクが強く、そのままでは食べられない。そのため、アク抜きの知恵が受け継がれている地域で主に食べられている。1年を通して自生しているイタドリだが、新芽の時期である4~5月が食べごろだ。
イタドリの下処理方法
イタドリを食べられる状態にするまでには1日以上かかる。まずイタドリの皮をピーラーでむいたら、適当な大きさに切る。熱湯でイタドリを茹でたら冷水で冷やし、そのまま水にさらした状態で1日置いておく。水にさらす時間は半日でもよいが、しっかりアク抜きをしたい場合は1日置こう。
イタドリの食べ方
下処理を終えたイタドリは煮物や炒め物などいろいろな料理にすることができる。また、穂先の部分は天ぷらにすると香りよく、軽い食感も楽しめる。
2. 高知や北海道では油炒めなどが主流
日本全国で自生しているイタドリだが、食用としてポピュラーに食べられているのは高知や北海道などの地域だ。ここでは、実際にどのような料理でイタドリが食べられているのかを紹介する。
定番!イタドリの油炒め
高知県の郷土料理にもなっているイタドリの油炒め。その名の通り、イタドリを炒めて味付けした料理だ。シンプルだが、イタドリの味わいをしっかりと味わえる料理であるため初めてイタドリの料理を作るというときにおすすめだ。下処理したイタドリを4cmくらいの長さに切ったら、油を熱したフライパンに入れ炒める。下処理の時点で一度茹でているため、軽く炒める程度でよい。砂糖と醤油、かつお節を加えて味付けし、仕上げにごまをふれば完成だ。
竹輪を入れるのもおすすめ
イタドリだけでも十分に美味しいが、豚肉や竹輪を加えると食べごたえが出る。おかずとしてだけでなく、つまみにもおすすめだ。竹輪を加える場合は少し薄めに5mmくらいの幅に切ろう。味付けはイタドリの油炒めと大きく変わらないが、七味をかけるとピリ辛がアクセントになって美味しい。
3. イタドリは生でもおいしい
イタドリはアクが強い山菜だが、生でも食べることが可能だ。しかし、生で食べる場合はいくつか注意が必要だ。ここではイタドリを生で食べるときの注意点と食べ方を紹介する。
アク抜きしなくても食べられる?
イタドリはアクが強いため、そのままだとえぐみと酸味が強い。一般的に、山菜特有のえぐみや酸味は敬遠されがちだが、まったく食べられないわけではない。えぐみや酸味を素材の味として楽しむことができるからだ。とくに新芽の時期のイタドリは柔らかく、アクが強いものの生でも食べやすい。和え物や酢の物にするとシャキシャキとした食感も楽しめる。
生で食べるときの注意点
アク抜きをせずにイタドリを食べる場合は量に注意が必要だ。生のイタドリにはシュウ酸という成分が含まれている。シュウ酸を多く摂りすぎると結石の原因になるため摂りすぎには注意が必要だ(※1)。そのため、イタドリを生で食べるときは少量を心がけよう。ちなみに、シュウ酸はアク抜きで取り除くことができるため、不安ならアク抜きをしてから食べるようにしよう。
4. イタドリの塩漬けもおすすめ
春先に収穫されるイタドリだが、塩漬けにすることで長期保存することができ、保存食としても重宝されている。市販されているイタドリも塩漬けにされていることが多い。ここでは、イタドリの塩漬けの食べ方を紹介する。
イタドリの塩漬けはそのままでは食べられない
塩漬けされているイタドリは、そのままだと塩辛くて食べられない。そのため、必ず塩抜きという作業が必要だ。ボウルに水を張ったら塩漬けされたイタドリをそのまま入れる。もし、イタドリが大きい場合は適当な長さに切ろう。塩抜きには時間がかかるため、短くても半日は水にさらしておこう。ずっと同じ水では塩抜きにならないので、2~3回水を取り替えるのがポイントだ。
塩抜きしたイタドリの食べ方
イタドリの塩漬けはすでにアク抜きされているため、塩抜きができたらそのまま調理してよい。煮物や酢の物、炒め物などにして食べる。塩抜きしていても多少の塩分は残っているため味付けをするときは、しょっぱくならないよう味見をしながら調節をしよう。
結論
イタドリは日本全国に自生している山菜で、新芽の時期である4~5月が食べごろだ。アクが強く食用として食べている地域は少ないが、高地では郷土料理に使う食材として親しまれている。初めてイタドリを食べるならイタドリを炒めて砂糖と醤油、かつお節で味付けしたイタドリの油炒めがおすすめだ。アク抜きしなくても食べられるが、シュウ酸が含まれているため食べすぎには注意が必要だ。
(参考文献)
(※1)公益財団法人日本医療機能評価機構「3再発予防CQ29シュウ酸はどのような食物に多く含まれるか?また、シュウ酸の摂取について工夫すべきことはあるか?」
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