1. コークッキングキッチンとは

コワーキングスペースとは
コークッキングキッチンを学ぶ前にまずは、Co-Working Space=コワーキングスペースのおさらいをしておこう。Coとは英語で共同の意味をもつ言葉で、Co-Working Space=コワーキングスペースとは、すなわち共同で仕事をする場所という意味だ。2005年頃、サンフランシスコで生まれ、個人事業主や小規模法人を中心に需要が拡大。その後、ほかのジャンルへと広がりを見せた。2010年代になると日本でも拡大。さらにCOVID-19の大流行で、多くの企業でリモートワークが用いられるようになり、コワーキングスペースの需要はさらに多様に、そして拡大した。
コークッキングキッチンとは
コークッキングキッチンは、コワーキングスペースのキッチン版。主に飲食業界やそれにまつわる人たちが使うことができる共同キッチンである。アメリカやイギリスではすでに飲食のスタートアップに特化した形式での展開が始まっており、人気を集めている。アメリカのワンダーマン・トンプソンのグローバルトレンド予測『The Future100』でも、注目トレンドとして挙げられている。
トレンドの背景
前述の通り、未曾有のパンデミックに見舞われた2020年。食に対する事情も大きく変化を見せた。外出や外食が難しくなる一方で、爆発的に増えたのがデリバリーによる食体験である。デリバリーは保健所の認可がおりているキッチンとシェフさえいればスタートできるので、実店舗を構える必要がない。コークッキングキッチンの多くは、このようなスタートアップをバックアップするシステムが揃っているので、いわば、身ひとつでの開店も可能になる。コークッキングキッチンには、まさに追い風が吹いている状況なのだ。
2. コークッキングキッチンのメリット

コスト削減
コークッキングキッチン最大のメリットは、初期投資にまつわるコストを削減できること。実店舗を持たないことは、非常に大きなメリットである。コークッキングキッチンと相性がいいデリバリー。デリバリーの需要は都市部に集中しがちだが、実店舗を都市部に持つことはコスト高だ。しかし、コーワーキングキッチンであれば、都市部に割安でキッチンスペースを確保できる。
時短も確実
実店舗を構えるとなると店舗の下見、決定、内装工事など、どんなに少なく見積もっても半年以上はかかるケースが多い。しかし、コークッキングキッチンを使えば、その時間もほとんどなし。契約がうまく進めば、1ヶ月程度で開店が可能だ。
雇用関係もなし
実店舗を持たないということは従業員を雇う必要もない。自分1人で開店することができる。これは実質的な負担はもちろん、精神的な負担も少なくなる可能性がある。
3. コークッキングキッチンのこれから

コワーキングスペースの需要拡大、カーシェア、シェアオフィスなど、世の中はある資源をシェアする時代に移り変わりつつある。コークッキングキッチンもその点では、非常に注目度が高い。奇しくも世の中は、COVID-19の大流行中。国を挙げてリモートワークを推し進めていることもあり、都市部には空き物件も増えつつある。コークッキングキッチンは、その空き物件の有効活用の手立てとしても有用だと考えられる。
JR東日本のフードラボ
JR新大久保駅に3月誕生予定の「Kimchi、Durian,Cardamom,,,」は、コークッキングキッチンの一種と数えられそうだ。「シェアダイニングスペース」「ファクトリーキッチン」を有するフードラボで、こちらは共有で使うことができる客席もある。さまざまな事業展開に対応することができそうだ。
Kitchen BASE
低リスクで始められるキッチンを提供するKitchen BASE。デリバリーに関するノウハウを学ぶこともでき、それにまつわる環境もサポートしてくれる。壁をひとつ隔てた隣には、ライバルであり、同志がいるような環境は、まさにスタートアップにも最適。互いに切磋琢磨をしながら、新しい価値を創造する仲間を作ることもできるかもしれない。
結論
コークッキングキッチンは、まさに時代の流れに先駆けるように誕生した事業システム。使う側はもちろん、運営する側もこれからさらに増えていきそうな気配だ。コワーキングスペースで新たな価値やビジネス、イノベーションが生まれてきたように、コークッキングキッチンでも同様のことが起りそうだ。
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