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フダンソウはどんな野菜?おすすめの食べ方や栽培方法を紹介

フダンソウはどんな野菜?おすすめの食べ方や栽培方法を紹介

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 黒沼祐美(くろぬまゆみ)

鉛筆アイコン 2021年9月 7日

「フダンソウ」は野菜の一種だが、知名度があまり高くないこともあり、一般的に使われている食材とはいえない。しかし、美しい色や食べやすさ、栄養面などメリットが多い野菜でもある。そこで本記事では、フダンソウの特徴を解説し、扱い方や美味しい食べ方、栽培方法などについて詳しく紹介していく。

  

1. フダンソウとはどんな野菜?

フダンソウは日本ではあまりなじみのない野菜だが、ヨーロッパやアメリカなどではよく食べられている。どのような野菜なのか、特徴を見ていこう。また、産地や旬についても解説する。

別名「スイスチャード」という葉野菜

フダンソウは、ホウレンソウなどと同様ヒユ科の野菜である。ホウレンソウや小松菜に似た形をしているが、茎(軸)や葉脈の色がピンクや黄色、オレンジなどカラフルなのが最大の特徴だ。カラフルな西洋種に加え、白い茎と小さめの葉が特徴の在来種がある。いずれも和名はフダンソウで、別名はスイスチャードという。一般的にはスイスチャードの名で流通することが多く、ベビーリーフなどにも含まれている。彩りが美しいことから、食用としてだけでなく観葉植物としても栽培される。

フダンソウの産地

フダンソウの原産地は地中海沿岸だが、日本でも幅広い地域で栽培されている。暑さにも寒さにも強いため、長野県から沖縄県までに分布する。大阪「ウマイナ」、長野「トキシラズ」、沖縄「ンスナバー」など、各地域で独自の呼び名がある。

フダンソウの旬

フダンソウは漢字で「不断草(ふだんそう)」と表記される。真冬を除き1年を通じて収穫できることが由来だ。夏場にはホウレンソウの代用として重宝される。とくに初夏から秋にかけて多く出荷されるが、沖縄では冬の野菜として扱われるなど、地域によっても旬が異なる。

2. フダンソウの栄養と効能

ホウレンソウや小松菜に似た葉野菜のフダンソウは、栄養面も期待できそうだ。実際にはどのような栄養素が含まれているのだろうか。主な栄養素の含有量と、特徴的な栄養素の働きについて解説する。

フダンソウの栄養一覧

文部科学省の食品成分データベース(※1)によると、フダンソウ100gあたりに含まれる主要な栄養素と含有量は次の通りだ。
  • たんぱく質 2.0g
  • 脂質 0.1g
  • 炭水化物 3.7g
  • カリウム 1200mg
  • 鉄 3.6g
  • β‐カロテン 3700μg
  • ビタミンE 1.7mg
  • 葉酸 120μg
フダンソウは栄養満点の野菜としても知られている。とくにβ-カロテンやビタミンEが多く、抗酸化力が高い(※2)。さらに、カリウム、ビタミンB2、鉄も、栄養豊富な小松菜より多く含まれている(※1)。

β‐カロテン

フダンソウの色素成分で、カロチノイドのうちカロテン類に分類される。水に溶けにくく油に溶ける性質があり、体内に取り込まれるとビタミンAに変わる。強い抗酸化作用が特徴で、活性酸素の発生や働きを抑える。(※2、3)

ビタミンE

脂溶性ビタミンの一種で、身体の機能を正常に保つ働きをする栄養素である。β‐カロテンと同様に抗酸化作用があり、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制するなどの働きをもつ。(※2、4)

ミネラル

フダンソウには、カリウムや鉄をはじめマグネシウム、ナトリウム、リン、銅などさまざまな種類のミネラルが含まれている。いずれも体内で合成できない栄養素で、不足するとさまざまな不調が発生する。食品からバランスよく摂取することが望ましい。(※5)

カリウム

フダンソウに含まれるミネラルのなかでもとくに多い。細胞内液の浸透圧を調整し一定に保つ働きをするほか、神経の興奮性や筋肉の収縮にも関わる栄養素である。また、ナトリウムの排出を促す働きもある。(※6)

3. フダンソウの栽培方法

とても丈夫で季節への適応性が優れているフダンソウは、比較的初心者でも育てやすい野菜である。フダンソウの栽培方法について紹介しよう。

栽培方法

フダンソウの種は3つがまとまりひとつになっている珍しいタイプなので、間隔をしっかりあけて植えることがポイントだ。種まきの時期は秋から冬がおすすめ。前日に一晩水につけておいた種を中性から弱アルカリ性の土に植える。鉢で育てる場合は土の表面に種をバラまいて、プランターの場合は土の表面に1cmほどの深さのスジを作り、スジまきしよう。
種まきが終わったら、上から土をかぶせる。その後土が乾かないよう水やりをしよう。発芽したら葉っぱが触れ合わないよう間引きをする。さらに本葉が4~5枚になったタイミングで株同士が15~20cm感覚になるよう間引く。育てる目安は鉢植えに1~2株、プランターに2~3株だ。

害虫対策

フダンソウは害虫が付きにくい野菜ではあるが、ハダニやアブラムシ、ヨトウムシなどがやってくる。とくにヨトウムシの幼虫は、1ヶ所に100~200個もの卵を産み付けるので、フダンソウに農薬を散布したり、防虫ネットをかけたりして駆除しよう。

収穫

フダンソウは大きくなりすぎるとえぐみが強くなるので、15~20cmくらい育ったら収穫する。収穫するときは、外側の葉からハサミで切り取れば、内側の新芽が育ち、また収穫できる。

4. フダンソウの選び方と保存方法

フダンソウを購入する際には、新鮮なものを選びたい。そこで、鮮度のよいフダンソウの見分け方をおさえておこう。また、最後まで美味しく食べきるために正しい保存方法も紹介する。

新鮮なフダンソウの選び方

葉の色が濃く鮮やかな緑色で、茎(軸)や葉脈の色も美しいものを選ぼう。茎がへたっているものは鮮度が落ちている。全体に張りがあり茎がしっかりとしている、活き活きとしたものが新鮮だ。ただし、茎が長く伸びすぎているものや、葉が大きすぎるものは硬い場合が多い。とくに生食したい場合は若葉のフダンソウを選ぶとよい。

冷蔵保存または冷凍保存が可能

フダンソウを冷蔵保存する場合は、野菜室に入れよう。乾燥を防ぐためにビニール袋やポリ袋に入れ、呼吸できるよう口をゆるく閉じた状態で保存するのがポイントだ。冷蔵保存したフダンソウは日持ちしないため、早めに食べきろう。
量が多く使いきれない場合は、冷凍保存するとよい。その場合は軽く茹でてから冷凍しよう。沸騰した湯で1分ほど茹で、冷水で冷やし軽く絞る。適度な長さに切っておくと調理しやすい。ラップに包み保存袋に入れて密閉し冷凍すれば、長期保存できる。

5. フダンソウの下ごしらえと食べ方

フダンソウはさまざまな食べ方を楽しむことができる野菜だ。美味しく食べるためには、正しい下ごしらえを行うことが大切である。下ごしらえのポイントと、おすすめの食べ方を紹介しよう。

下ごしらえのポイント

フダンソウはホウレンソウ同様、さっと湯通ししてアク抜きをしなければならない。アクがきちんと抜けていないと、泥臭いえぐみが残るので気を付けよう。まだ若く柔らかい葉は、水につけるだけでもアク抜きが可能だ。しっかりと洗ったフダンソウをざく切りにし、水をたっぷり張ったボウルに入れて約10~15分つけておく。あまり長時間つけてしまうと栄養分が抜けてしまうので気を付けたい。

おすすめの食べ方

柔らかいフダンソウの葉は、生食できるのでサラダにおすすめである。フダンソウのほろ苦さがよいアクセントになるだろう。フダンソウの柔らかい葉をスムージーにするのもよい。フダンソウは豆腐とも相性がよいので、味噌汁の具に使用するのもおすすめだ。ホウレンソウの代用として利用されることも多いので、おひたしや白和えなどもできる。おひたしにする際は、葉と固い柄の部分を切り分けて、別々に茹でよう。軽く塩をふったお湯に1分ほどくぐらせ、ポン酢をかけたり、ゴマ和えにしたりしてみてほしい。
さらに、フダンソウに含まれているβ-カロテンは、油で炒めることでしっかり身体へと吸収される(※7)ので、炒め物にもおすすめだ。鶏肉や豚肉、白身の魚とも相性がよい。

6. フダンソウを使った簡単なおすすめレシピ

ホウレンソウのようにサラダや味噌汁の具、おひたしなどにして食べる方法のほかにも、フダンソウはさまざまな調理に使える。そこで、フダンソウの彩りのよさを生かしたおすすめの料理を3つ紹介する。手順とコツをチェックして気軽に作ってみよう。

フダンソウのナムル

  • 沸騰した湯に塩を入れ、フダンソウを1~2分茹でる
  • 水にさらし絞ったフダンソウを3~4cm幅に切る
  • ごま油、塩、鶏がらスープの素、おろしにんにく、白ごまをボウルなどに入れて混ぜ合わせ、フダンソウと和える
ポイント:茹ですぎると色素が抜けてしまうため、短時間でサッと茹でる

フダンソウのおにぎり

  • 茎を切り落としたフダンソウを1枚ずつサッと塩茹でし、冷水にさらし水気をきる
  • ボウルにごはん、好みの具材を入れ混ぜ合わせる
  • ラップに好みの量の2をとり、おにぎりを作る
  • 茹でたフダンソウにおにぎりをのせて巻く
ポイント:切り落とした茎も茹でてみじん切りにすれば、おにぎりの具材として使える。混ぜごはんの代わりにチキンライスや炊き込みごはんなどを巻いても美味しい。

フダンソウのコンソメスープ

  • ベーコンを2cm幅、フダンソウを4cm幅に切り、玉ねぎを薄切りにする
  • 鍋に油をひき、ベーコンと玉ねぎを炒める
  • 水、塩こしょう、コンソメを加えて煮立ったら弱火で5分ほど煮る
  • フダンソウを加え、中火でしんなりするまで煮て火を止める
ポイント:フダンソウはほかの具材が煮えてから最後に加える。きのこや好みの野菜を追加してもよい。

7. 栄養豊富なフダンソウをぜひ食卓に取り入れてみよう

フダンソウは、さまざまな栄養素を含む食べやすい野菜である。ホウレンソウや小松菜のように使ってもよいし、独自のキレイな色を生かした調理で彩りのよい食卓にすることも可能だ。生食できない大きめのフダンソウでも、短時間で加熱すれば鮮やかな色を残したまま柔らかい食感を楽しめる。サラダやおひたし、ナムルやスープ、おにぎりなどの巻きものなどさまざまな食べ方を試してみよう。

結論

フダンソウはほぼ1年を通して収穫できる野菜で、産地も広範囲にわたる。スーパーなどではあまり見かけないかもしれないが、産直などで取り扱われていることが多いようだ。また、家庭菜園にも向いている。下処理や保存も簡単で扱いやすい野菜のため、気軽に取り入れてみてはいかがだろう。
(参考文献)
※1 文部科学省「食品成分データベース」
ふだんそう(生)
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06261_7
こまつな(生)
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06086_7
※2、3、4、5 厚生労働省e-ヘルスネット
※2:抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
※3:カロテノイド
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
※4:ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
※5:ミネラル
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
※6:カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※7 和歌山県国民健康保険団体連合 国保わかやま 和(なごみ)レシピ - 和歌山県国民健康保険団体連合会ホームページ
http://www.kokuhoren-wakayama.or.jp/contents/other/recipe_197.html
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  • 公開日:

    2021年5月 6日

  • 更新日:

    2021年9月 7日

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