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リンとはどんな栄養素?多い食品や過剰摂取のリスクとは

リンとはどんな栄養素?多い食品や過剰摂取のリスクとは

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 渡邉里英(わたなべりえ)

鉛筆アイコン 2021年10月25日

今回紹介するのは、リンとはどのような栄養素なのか、摂取するとどのような健康効果が期待できるのか、どのような食品に多く含まれるのか、不足や過剰摂取するとどうなるのかだ。リンのことを栄養素だと認識していても、どういう働きがあるのかよく理解できていない人もいるのではないだろうか?そのような人は、ぜひ本記事を参考にしてもらいたい。

  

1. リンとはどんな栄養素?

最初にリンとはどういった特徴をもつ栄養素なのかを紹介しよう。ちなみに英語ではリンのことを「phosphorus」というが、これはギリシャ語のphos(光)、phoros(運び屋)が語源だという。

リンの働きと効果

リンとは成人の体内に最大800g含まれているミネラルで、体内では骨・歯・軟部組織・血液・細胞外液に分布している(※1、2)。食品として摂取したリンは小腸で吸収され、血液によって必要な組織に運ばれるが、未吸収分は便として排泄される。また健康な人は吸収量にふさわしい量が尿として排泄され、体の中に溜まることはない(※3)。
さらにエネルギーを発生させる化合物の構成成分であり、細胞のpHバランスと浸透圧を保つなど、体内でさまざまな働きをする(※4)。

リンの摂取量の目安

次に性別や年齢ごとに、リンの1日の摂取目安量を紹介しよう。

【男性(※1)】

15~17歳:1,200mg
18~29歳:1,000mg
30~49歳:1,000mg
50~69歳:1,000mg
70歳以上:1,000mg

【女性(※1)】

15~17歳:900mg
18~29歳:800mg
30~49歳:800mg
50~69歳:800mg
70歳以上:800mg
女性より男性のほうが、多く摂取する必要がある。

2. リンが多い食品とは

ここではリンが多い食品を紹介しよう。

リンを含む食品

リンの多い食品の100gあたりの含有量や、それが30~49歳男性の1日の目安量のどのくらいになるのかを紹介しよう。

【魚介類に含まれるリンの量(※1)】

かたくちいわし 田作り:2,300mg(230%の量)
加工品 干しえび:990mg(99%の量)
うるめいわし 丸干し:910mg(91%の量)

【穀類に含まれるリンの量(※1)】

雑穀混合品 五穀:250mg(25%の量)
こめ[水稲めし]発芽玄米:130mg(13%の量)
こめ[水稲めし]玄米:130mg(13%の量)

【卵類に含まれるリンの量(※1)】

鶏卵 卵黄 生:570mg(57%の量)
うずら卵 全卵 生:220mg(22%の量)
鶏卵 全卵 生:180mg(18%の量)

【乳類に含まれるリンの量(※1)】

ナチュラルチーズ パルメザン:850mg(85%の量)
プロセスチーズ:730mg(73%の量)
ナチュラルチーズ チェダー:500mg(50%の量)

【豆類に含まれるリンの量(※1)】

いり大豆 黄大豆:710mg(71%の量)
きな粉 全粒大豆 黄大豆:660mg(66%の量)
油揚げ 生:350mg(35%の量)

【野菜類に含まれるリンの量】

干しわらび 乾:480mg(48%の量)(※5)
ドライトマト:300mg(30%の量)(※6)
とうがらし 乾:260mg(26%の量)(※7)

【果物類に含まれるリンの量】

あんず 乾:120mg(12%の量)(※8)
ぶどう 干しぶどう:90mg(9%の量)(※9)
バナナ 乾:84mg(8.4%の量)(※10)
とくに魚介類に多く含まれているのが特徴だ。

インスタントや加工した食べ物もリンが多い

インスタント食品や加工食品にリンが多く含まれているが、それは食品添加物として使用されているからだ。インスタント食品や加工食品を多く食べる人は、知らず知らずの間にリンを摂取しがちである(※4)。ここではリンが多い加工食品や100gあたりの含有量を紹介する。

【リンが多い加工食品】

コーンクリームスープ 粉末タイプ:190mg(※11)
松前漬け しょうゆ漬:170mg(※12)
いかフライ 冷凍:110mg(※13)
白身フライ 冷凍:100mg(※14)
えびフライ 冷凍:90mg(※15)
クリームコロッケ 冷凍:63mg(※16)
ハムやウインナー、 ちくわ、はんぺん、インスタントラーメンにもリンが含まれているが、加工過程で添加される無機リンは水に溶け出しやすく、茹でるか水にさらせば減らせる(※17)。

3. リンは過剰摂取に注意が必要

ここではリンの過剰摂取の影響について解説する。

リンとカルシウムの関係

近年の日本の食生活では加工食品の利用が増えており、食品添加物として使用される各種リン酸塩の摂取が多くなっている。現代において、リンは欠乏よりも、過剰摂取の方が問題である。リンを摂取しすぎるとカルシウムの吸収を妨げ、逆にカルシウムを摂りすぎるとリンの吸収を妨げる。リンとカルシウムの摂取バランスは、ほぼ同量が望ましいという。とくに加工食品の摂取が多い人は注意が必要だ(※1)。

腎臓機能が低下している人はとくに注意

とくに腎機能に障害がある人は尿へのリンの排出量が減少し、血液中のリン濃度が増えるため注意が必要だ(※1)。

リンの正常値とは

血液検査における無機リンの正常値は、文献によって若干異なるが、2.5~4.7mg/dLといわれている(※18)。

4. リンが不足するとどうなる?

ここでは、リンが不足するとどうなるのかを紹介する。リンはさまざまな食品に多く含まれ、通常は不足することは少ない(※4)。リンが不足することであらわれる症状としては、脱力感や筋力低下、溶血などがあるといわれている。また近年では血清中のリン濃度が低いと、高血圧や糖尿病のようなメタボリックシンドロームの発症のリスクが高まる可能性があるという研究結果が報告されている(※1)。

5. リンの摂取を控える時の注意点

最後にリンの摂取を控える時の注意点を紹介しよう。

タンパク質不足に注意

リンの過剰摂取を避けるため魚や肉を控える人もいるようだが、動物性タンパク質は栄養豊富で、不足すると低栄養状態の原因になりかねない。この状態が長く続くと抵抗力が落ちて食欲低下や体調不良になりやすい。リンの摂取を控えたい時でも、肉や魚のようなタンパク質はしっかり摂取することを心がけよう(※19)。

加工食品や間食を減らす

先述したように、加工食品には添加物としてリン酸塩が含まれている。それらが多く含まれる食品の摂取を意識的に減らすことも、リンの過剰摂取を防ぐポイントだ。なるべく塩分の多い加工食品の摂取を控えて、生鮮食品を摂るように心がけよう(※19)。

結論

リンの特徴や摂取量の目安、多く含まれる食べ物、摂取することで期待できる健康効果を紹介した。先述したように、リンは欠乏よりも過剰摂取の方が問題だ。これまでとくに意識せずリンを摂取していた人も、今後は目安量を参考に過剰摂取に注意してもらいたい。
(参考文献)
※1出典:公益財団法人 長寿科学振興財団「リンの働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-p.html
※2出典:一般社団法人Jミルク「注目されるミネラル・リン」
https://www.j-milk.jp/report/media/f13cn00000000v5m-att/berohe000000k1v3.pdf
※3出典:公益財団法人 日本豆類協会「豆の主な栄養素」
https://www.mame.or.jp/eiyou/eiyou.html
※4出典:厚生労働省「リン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-038.html
※5出典:文部科学省「野菜類/わらび/干しわらび/乾」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06326_7
※6出典:文部科学省「野菜類/(トマト類)/ドライトマト」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06370_7
※7出典:文部科学省「野菜類/とうがらし/果実/乾」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06172_7
※8出典:文部科学省「果実類/あんず/乾」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07008_7
※9出典:文部科学省「果実類/ぶどう/干しぶどう」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07117_7
※10出典:文部科学省「果実類/バナナ/乾」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07108_7
※11出典:文部科学省「調理済み流通食品類/洋風料理/スープ類/コーンクリームスープ/粉末タイプ」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18004_7
※12出典:文部科学省「調理済み流通食品類/和風料理/その他/松前漬け/しょうゆ漬」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18023_7
※13出典:文部科学省「調理済み流通食品類/洋風料理/フライ用冷凍食品/いかフライ/冷凍」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18008_7
※14出典:文部科学省「調理済み流通食品類/洋風料理/フライ用冷凍食品/白身フライ/冷凍」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18010_7
※15出典:文部科学省「 調理済み流通食品類/洋風料理/フライ用冷凍食品/えびフライ/冷凍」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18009_7
※16出典:文部科学省「調理済み流通食品類/洋風料理/フライ用冷凍食品/コロッケ/クリームコロッケ/冷凍」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=18_18006_7
※17出典:社会医療法人 名古屋記念財団「加工食品に含まれるリン酸塩 について」
http://www.hospy.or.jp/sc/img/torikumi/kouhousi/kirara07.pdf
※18出典:国立循環器病研究センター「国立循環器病研究センター・主な血液検査の基準値一覧」
http://www.ncvc.go.jp/hospital/section/treatment/laboratorymedicine/generallabo/images/blood_kijyun.pdf
※19出典:医療法人社団昇陽会 阿佐ヶ谷すずき診療所「5.リンを控える」
https://www.shoyohkai.or.jp/touseki/glossary/eiyo/phosphorus/
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  • 更新日:

    2021年10月25日

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