ピュラチレンシスってどんな食材？見た目はまるで岩のよう！？

ピュラチレンシスとは、チリやペルーの沿岸部の岩の多いところに生息する生物である。外見は岩のようで、割ると真っ赤な色をした物体が現れる。生態や特徴について詳しく見ていこう。

ピュラチレンシスは、ホヤの一種である。独特な外見から、「鋼鉄のホヤ」や「生きた岩」と呼ばれることもある。雄として生まれるが、成体になると雄雌両性になるため自殖も可能な珍しい生物だ。また、2つの口のような形状の入水孔と出水孔がある。入水孔から吸い込んだ海水を咽頭で濾過し、藻類などから栄養を取り込む。不要な海水は出水孔から排出されるという仕組みだ。

基本的に群生する生物で、何千匹単位で大量に群生する場合もある。岩のような殻は硬いが、割るとドロッとした赤い液体とともに真っ赤な肉や内臓が見える。

ピュラチレンシスはかなり珍しい食材のため、栄養に関する正式なデータが公開されていない。しかし現地では鉄などのミネラルが多く含まれているとされ、健康食材として人気を集めているそうだ。また、ミネラルの一種であるバナジウムの含有量が非常に多い食材としても知られる。

ピュラチレンシスを食べると、血便のような真っ赤な便が出るといわれる。ピュラチレンシスの殻の中身の肉や内臓、液体がすべて真っ赤な色をしていることが原因と考えられている。ピュラチレンシスを食べる機会がある場合は、そのような便が出ることを事前に知っておくと安心だ。

ピュラチレンシスの味には、賛否両論ある。美味しいという意見もあれば、苦手だという意見もあり、感じ方は人それぞれだ。香りや味が強く、金属臭が強いといわれることや、ヨウ素のようだと揶揄されることもある。豊富に含まれるとされるバナジウムなどのミネラル類が、ピュラチレンシスの風味に影響しているとみられる。

好みにもよるが、ホヤの一種のため正しい下処理を行えば美味しく食べられる食材である。

ホヤの一種であるピュラチレンシスは、鮮度が落ちやすい。そのため、南米から遠距離の日本に運ぶことが難しく、日本で食べることは非常に困難といわれる。ピュラチレンシスを食べてみたい場合は、現地に赴くしかないようだ。生息地であるチリやペルーでは、どのような料理方法で食べられているのだろうか。代表的な食べ方を紹介しよう。

南米での定番の食べ方は、下処理を済ませたピュラチレンシスにパクチーやレモンを加えて味付けするというものだ。適量をパンにのせる食べ方が一般的という。つまみにも最適な料理である。

刻んだ玉ねぎとピュラチレンシスを炒める料理もよく作られる。味付けには、やはりパクチーやコリアンダー（乾燥パクチー）を使用する。

ピュラチレンシスは、殻を割ると赤い血のような液体が滴り強烈な印象だが、ほかの食材と組み合わせて調理することで外見の奇抜さも落ち着き、食べやすくなる。チリやペルーでは、レストランでピュラチレンシス料理が提供されるほか、スーパーなどでも食材として購入することができるそうだ。

生食も可能で炒めても美味しいため、意外とさまざまな食べ方を楽しめる食材なのである。

ゴツゴツとした岩のような殻のなかから真っ赤な液体が滴る姿が、強烈な印象を与えるピュラチレンシスだが、その味は意外と美味しいようだ。日本人でもホヤが好きなら好みかもしれない。チリやペルーの沿岸部という限られた場所でしか漁獲できないうえ、鮮度が落ちやすいため目にすることはめったにないだろう。現地を訪れる機会があったら、ぜひピュラチレンシス料理を試してみてほしい。