目次
1. 魚のソイはメバルの仲間

ソイは、漢字で「曹以」と書き、スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属に分類されている。「ソイ」という呼び名はメバルの別名を意味しており、語源は「磯魚(いそいお)」が変化したものである。若魚は比較的浅瀬に生息しており、成長とともに深海へ移動していく。普段は岩陰に身を潜めており、夜になるとエサを求めて動き出すのが特徴。ソイは1年を通して流通している魚だが、旬の時期はメスがお腹に卵をかかえる春から初夏と、脂が乗っている11~2月の年2回だ。
ソイが分類されているメバル属の魚は、世界で120種類以上、日本では30種類以上確認されており全国的に生息している。その中でも北海道や東北地方など寒い地域での漁獲量が多く、北海道では「スイ」という呼び名もあるようだ。では、ソイの中でもとくに知られている仲間を3種類紹介しよう。
ソイの種類:黒ソイ
黒ソイは、最もメジャーなソイであり、フサカサゴ科メバル属の一種で別名「キツネメバル」ともいう。体長30cm前後のものが多いが、中には60cmのものもいる。
脂の乗りがよく、高級魚として扱われることが多い魚である。真鯛の漁獲量が少ない北海道では、「北の鯛」として親しまれている。黒ソイもメバルの仲間だが、メバルよりも高値で取引される。名前の通り全体的に黒っぽいのが特徴である。
ソイの種類:青ソイ/クロメヌケ
主に北海道東部で水揚げされる青ソイは、別名「クロメヌケ」と呼ばれている魚だ。深海に生息しているソイだが、「メヌケ」という呼び名は深海から上がったときに水圧の違いで目が飛び出すことを意味している。全体的にまだらな黄緑色で、見た目の悪さから安値で扱われているが、黒ソイと味は変わらない。
ソイの種類:真ゾイ/タヌキメバル
青ソイと同じく北海道東部で水揚げされており、別名「タヌキメバル」や「白ソイ」と呼ばれている。見た目は黒ソイに似て見分けが難しく、黒ソイは口と目の間に3本トゲがあるのに対し、真ゾイはトゲがないのが特徴だ。体長は約40cmと、黒ソイより大きいため、脂が乗っている魚である。加熱するとホロホロの食感が楽しめる魚だ。
これ以外にもオウゴンムラソイ、ゴマソイ、シマゾイなど、ソイはたくさんの仲間がいる魚だ。
2. 魚のソイのおすすめの食べ方

ソイはクセがなく上品な味わいの白身魚であるため、基本的にどのような調理法にも適しているが、その中でもおすすめの食べ方を紹介する。料理をするときの参考にしてほしい。
おすすめソイ料理1:刺身
ソイの旨みをそのまま味わうにはやはり刺身である。新鮮なものが手に入ればとくに美味しく食べることができるのでおすすめだ。ソイの成魚は深海に生息しているため、コリコリとした食感と、脂の甘みを感じられるのが特徴である。大型になるほど脂の乗りがいいので、買うときは大きめを選ぶといいだろう。また、ソイの刺身の皮を少し炙って食べるのもおすすめである。皮の香ばしさもプラスされ、また違った味わいを楽しめるだろう。
捌くときに注意してほしいのは、天然のソイにいる寄生虫の「アニサキス」だ。養殖のソイにはいないが、天然のソイを捌くときにはよく確認することが大切である。見つけた際には、食べないようにすること。
おすすめソイ料理2:鍋
北の地で栄養を蓄えたソイの身は、脂と旨みがたくさん。その旨みを存分に味わうことができるのが、ソイの鍋である。ソイから出た出汁と野菜の旨みが相まって、身体にしみわたる調理法だ。厚く切ってホロホロとした食感を味わうのもよし、薄切りにしてしゃぶしゃぶにしても美味しい。
おすすめソイ料理3:塩焼き
ソイは塩焼きにして食べるのもおすすめである。刺身で食べられるソイが手に入らないときは、塩焼きにするといいだろう。ソイに塩をふって焼き上げる料理だが、内臓やワタをしっかり取り除いて塩水で洗い流しておくことがポイントだ。塩はあまりかけすぎると、ソイの味が消えてしまうので、軽くふりかける程度で十分である。
おすすめソイ料理4:煮付け
ソイが分類されているメバル属の魚は煮付けにすることが多い。ソイも煮付けにするのがおすすめの魚である。淡泊な白身魚のソイは、しょうゆ・みりん・酒・砂糖で煮付けにすることによって、より脂の旨みを味わうことができる。調理するときのポイントは、煮る前にお湯をかけて生臭さを消すことだ。皮の部分に飾り包丁を入れると煮えやすくなるだろう。
おすすめソイ料理5:天ぷら
淡泊な味わいのソイは油との相性がバツグンなため、天ぷらにするのもおすすめだ。カラッと揚がった衣とふっくらとした身が食欲をそそる料理である。天つゆでも塩でも合う一品だ。魚を天ぷらにすることによって豪華なメイン料理になるので、おもてなし料理として作ってみてはいかがだろうか。
3. 高級魚?ソイの値段とは

前述にあるように、「北の鯛」と称されるソイは北海道では高級魚として扱われているが、旬の時期には一般的な鮮魚店で見かけることができる魚だ。だが、扱われている場所は北海道など北部がメインであるため、内陸ではなかなか見かけることができないのが現状だ。見かけたらぜひ買ってみるといいだろう。
値段は漁獲量によって左右されるが、平均的な30cmほどのソイは、1kgあたり1500~3000円で扱われていることが多い。
4. ソイは毒のある魚?捌き方と注意点

ソイの背びれと胸びれには毒のある鋭いトゲが存在する。このトゲが刺さると、痛みが長時間続くので注意してほしい。刺された傷口からソイの雑菌が体内に入ってしまい、痛みにつながる。毒があるのはトゲのみで、ソイ自体は毒を持っている魚ではない。捌く時にトゲを切り落としてしまえば安心だ。
ではソイの三枚おろしのやり方を紹介する。
鱗を取る
尾ひれから頭へと鱗を取っていく。この時エラ付近と背びれにあるトゲに注意しながら鱗を取るのがポイントだ。専用の道具を使うか、包丁で取ることもできる。ソイのやわらかいお腹部分は力を入れ過ぎずに丁寧に。背びれはかたい鱗があるので包丁の柄に近い部分を使うと取りやすい。魚の鱗が取れたら、水で洗い流してから布巾やキッチンペーパーで水分を拭き取ろう。
頭を切り落とす
ソイの尾ひれの裏から包丁を斜めに入れて頭を切り落とす。骨が硬いので、包丁の柄に近い部分を使うといいだろう。ケガの元になるのでしっかり頭を手で押さえて切り落とすことが大事である
お腹を開く
ソイの肛門部分から包丁を入れてお腹を開き、ワタを取る。エラのつけ根に包丁を入れて、膜を切ってから浮袋を包丁の先で切ると、一気に取れる。その後、流水で洗いキッチンペーパーで水分をしっかりと拭き取る。背骨の下や骨のつけ根、エラの部分に血が溜まっているので、しっかり流そう。
三枚におろす
ソイを横にして、背中に切り込みを入れていく。その後、尻尾のつけ根にも切り込みを入れ、中骨に沿って捌いていく。反対側も同様に捌くと三枚おろしの完成である。
結論
ソイはあっさりとした上品な味わいながら脂の乗りがよく、さまざまな料理に染まることができる魚である。手軽に手に入らない魚ではあるが、もしスーパーや鮮魚店で見かけたら、ここで紹介した料理を参考に調理してみてはいかがだろうか。