目次
- ※1.一般社団法人大日本水産会魚食普及推進センター「開かない貝は食べてはいけない?」 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/5545
- ※2.堺市「貝毒に注意しましょう」 https://www.city.sakai.lg.jp/
1. あさりの口が開かない理由

加熱したあさりはなぜ開くのだろうか。あさりは靭帯によって開き、貝柱によって閉じるというシステムを有している。あさりに熱を加えると、貝柱に含まれるタンパク質が形を変えるため、貝殻から乖離してしまうのである。これによって、あさりは殻を開くことになる。それでは、そのあさりが開かない理由とはなにか。
砂抜きで口が開かない理由
あさりを調理しても開かない理由はいくつかある。調理時の加熱が足りなかったり、砂抜きの段階で条件を満たしていない場合に、あさりは開かない。しかし開かないあさりの大半は死んでいて、貝柱や靭帯が機能していない可能性が高い。
酒蒸しや味噌汁のあさりの口が開かない理由
あさりの定番料理、酒蒸しや味噌汁にする場合、あさりは当然のことながら沸騰や加熱等のの方法で調理される。こうした加熱によってもあさりの口が開かない場合は、砂出しがうまくできていないか死んでいるかのどちらかである。すでに砂出しされたあさりが開かない場合には、死んでいるため食べないようにしよう。
冷凍あさりの口が開かない理由
あさりを冷凍した場合、貝そのものは死んでしまうものの、貝柱部分のタンパク質は変化しないままである。そのため、通常は加熱によって冷凍したあさりも開く。冷凍したあさりが開かない理由は、すでに砂抜きの段階で貝が死んでいたり、冷凍によって貝の靭帯や貝柱部分が損傷したことが考えられる。解凍は時間をかけて行わず、冷凍状態のまま調理するのがあさりを開かせるコツとなる。
2. 口が開かないあさりは食べれる?

外観は通常のあさりとかわりがなくても、開かないあさりは食べないほうがよいのだろうか。それともナイフなどで無理にこじ開けて食べても問題ないのか、口が開かないあさりについて説明する。
口が開かないあさりは食べない方が良い
答えからいえば、口が開かないあさりは食べないほうがよい。(※1)新鮮なあさりを購入しても、開かないあさりの場合はいつ死んだのかが不明である。古くなったあさりは食するのに適さないのである。無理に開けて食べることも避けるようにしよう。(※1)
死んでるあさりの見分け方
調理前のあさりの中から、死んでしまったものを見分けるのは難しいかもしれない。最もわかりやすい見分け方は、臭いにたよることである。死んでしまったあさりは異臭を放つため、臭いと思ったものは廃棄しよう。また、砂出しの段階でまったく動きがない貝も死んでいる可能性が高い。
口が半開きのあさりも危険
砂出しの過程で、貝の口が半開きのままのあさりも死んでいると考えたほうがよい。動きがない場合は、貝が多少開いていても食べない用心が必要である。
3. 砂抜きであさりの口が開かない時の見分け方

あさりは調理前に砂出しをする必要がある。砂出し済のあさりの場合も、購入後に砂出しをしてあさりの汚れ等も除去するのがベターである。購入したら冷蔵庫に入れる前に砂出しをしてしまおう。冷えたあさりは動きが緩慢になるため、砂が出し切れないケースもあるからである。砂出しには塩水を使用する。水1Lに対して30g弱の塩を入れ、3時間ほど浸けておくと砂が除去できるだろう。この間、動きがなかったりにおいが臭かったり、半開きのままであったあさりは死んでいるものとして廃棄する。時間がない場合には、時短の砂出し方法もある。50℃の湯の中であさりをこすり10分ほど置く方法である。湯につけることで、生きているあさりが口を開くことも多く、死んだあさりを見つけるためにも重宝する。
4. 口が開かないあさりを食べたらどうなる?

潮干狩りで採取したあさりを食べるのは、新鮮さを実感できる喜びがある。しかしあさりをはじめとする二枚貝は、麻痺や下痢といった症状を引き起こす貝毒があることでも知られている。(※2)重篤な症状になる可能性もある貝毒と死んだ貝は無関係ではあるが、死んだり腐った貝を食べるのが危険なことでは変わりがない。誤って食べてしまった場合は経過をよく観察し、場合によっては医師に相談することを躊躇しないのが大事である。
結論
魚介類の中でも人気の高いあさりは、日本人にとって食べ慣れた味のひとつである。開かないあさりは食べないほうがよいという俗説は真実であり、砂出しや調理の段階で閉まったままのあさりは廃棄するのが理に適っている。購入したあさりは早めに正しい方法で砂出しをし、鮮度を保ったまま美味しく食べるようにしよう。誤って死んだあさりを食べた場合は、医療機関に相談することも忘れずに。
(参考文献)