目次
- タバコシバンムシ:小麦粉のほか、菓子類や香辛料、畳、漢方薬なども食べる
- ジンサンシバンムシ:タバコシバンムシよりは発生しにくいが、漢方薬では重要な害虫とされる
- コナヒョウヒダニ
- ヤケヒョウヒダニ
- ケナガコナダニ
- ※1~3、6出典:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門 食品害虫サイト運営グループ https://www.naro.affrc.go.jp/
- ※4出典:日本内科学会雑誌第104巻第5号「お好み焼き粉に発生したダニによるアナフィラキシーの双子例」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/5/104_986/_pdf
- ※5出典:日本コールドチェーン研究会誌「食品と低温」 VOL. 7 No. 4 1981「主要貯蔵害虫とその防除」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jafps1981/7/4/7_4_137/_pdf
1. 小麦粉につく虫とは

小麦粉につく虫は、小麦粉をエサにして生息する。どのような虫がいるか、詳しく見ていこう。
シバンムシ
小麦粉のなかに茶色い粒状の虫がいたら、シバンムシ(※1、2)の可能性が高い。成虫は体長2~3mmほどで、小さなカナブンのような見た目が特徴の甲虫の一種である。シバンムシにはさまざまな種類があり、とくに下記のものが小麦粉につきやすいといわれている。
ダニ
小麦粉につく虫でわかりにくいのがダニである。茶色いシバンムシと比較すると、白っぽい色をしているため小麦粉のなかにいても見つけにくい。そのため、気付かないうちに繁殖してしまうのだ。小麦粉につく代表的なダニには、下記のような種類がある(※3、4)。
ダニが混入した小麦粉は、アレルギー症状を引き起こすリスクがある。市販のお好み焼き粉で調理したお好み焼きを食べて、喘息、腹痛、全身の発疹などのアナフィラキシーショックを起こして救急搬送された例も報告されている(※4)。とくにダニを抗原とするアレルギー疾患をもつ人は、ダニのついた小麦粉を食べないよう十分な注意が必要だ。
2. 小麦粉の虫はどこから来る?

小麦粉そのものからは虫が発生することはないため、外から入ってきたものが付着したということになる。最初についた虫は少なくても、小麦粉をエサとしながら繁殖してしまう。最初の虫の侵入を食い止めるためにも、侵入経路をおさえておこう。
侵入経路について
シバンムシもダニも非常に小さいため、わずかな隙間や穴から簡単に侵入できてしまう。シバンムシの室内への侵入経路は、窓や扉の隙間と考えられる。一方ダニは、畳や寝具、カーペットなどにも付着するため元々室内に潜んでいる。
小麦粉の袋を開封したあと、袋の隙間から侵入するケースが多い。しかし、シバンムシは紙袋やビニール袋を食いちぎり穴を開けることもある。そのため、未開封の小麦粉でもシバンムシが侵入している可能性はゼロではないのだ。
3. 小麦粉につく虫の対策法

小麦粉に虫がつかないようにするためには、虫の侵入経路を塞ぐ必要がある。小麦粉は長期保存するケースが多い。保存中に虫が付着・増殖しないよう、下記の方法を実践することをおすすめする。
虫対策の保存方法
保存のポイントは、密閉容器を用いることと冷蔵保存することだ。袋ではなく瓶などふたつきの容器に小麦粉を入れておけば、シバンムシに穴を開けられてしまうこともない。また、低温で保存することには、虫の繁殖を防ぐ効果がある。一般的に、気温15℃以下の環境では害虫の活動が著しく低下するという(※5)。夏期はもちろん、冬でも暖房で室温の高い部屋で小麦粉を保管することは避け、湿気対策も兼ねて冷蔵庫で保存しよう。
月に1回チェックする
虫を小麦粉に投入し、時間経過による個体数の変化を調べた研究によると、虫の侵入後1ヵ月程度では大きく増殖することはないという。しかし3ヵ月経過すると、虫の数が増えるだけでなく、虫の分泌物による被害などの影響も出てくるそうだ。(※6)
このような被害を防ぐためにも、月に一度は虫が発生していないかチェックしたほうがよいだろう。
結論
小麦粉につく虫は、主にシバンムシやダニである。とくにダニが付着した小麦粉を食べると、アナフィラキシーショックを引き起こすケースもあるため、注意が必要だ。虫の侵入や増殖を防ぐには、小麦粉を密閉容器に入れ冷蔵保存する方法が効果的である。小麦粉を安心して使うためにも、適切な保存を心がけよう。
(参考文献)