目次
1. コブダイとは

詳細はさておき、その外見から「水族館や映像でコブダイを観たことがある!」という方もいるだろう。コブダイとはどんな魚なのか?実はよく知らないという方に向けて、コブダイの生態や旬の時期などを紹介する。意外な面でダイバーに人気があるなど、その面白さは外見だけに留まらない。
特徴と生態
コブダイは、タイという名前からタイ科の魚だと思われがちだが、スズキ目・ベラ科の魚で「あやかり鯛」の一種だ。強靭な顎と喉に生える咽頭歯を持ち、貝類や甲殻類を噛み砕いて捕食する。コブダイは雌性先熟の魚で、孵化直後はすべてメスであるが、成長するとオスへ性転換するという不思議な生態の持ち主だ。ちなみに、額のコブはオスのみに見られ、身体のサイズとともに大きくなる。見た目とダイナミックな食事風景を想像するとなんとも怖そうなコブダイであるが、性格はいたって穏やか。ダイビングをしていると近寄ってくるなどかわいい一面もある。
生息地と旬の時期
コブダイは、沖縄県を除く東北以南の日本海側・太平洋側・瀬戸内海の各地に生息している魚だ。産卵期の春に味が落ちるが、そのほかの時期は美味しくいただける。寒さが増す旬の冬には「寒鯛(カンダイ)」という別名で呼ばれることもある。また、成魚になると1mに達する大型魚で、大きいほど美味しいとされている。購入する際は、張りがあって赤褐色が濃いものを選ぶのがポイントだ。
2. コブダイはどんな味?

コブダイの生態や旬の時期はわかったが、食べるとなるとその味は如何に。見た目が特徴的なだけに、味にも癖があるのだろうか?気になるコブダイの味や食感、コブやそのほかの部位も食べられるのか?という疑問にお答えしていく。
癖のない白身
コブダイの身は臭みなどのクセがない白身で、透明感が美しい淡白な味わいが特徴だ。旬のもの、大きいものがよいとされるが、春の産卵後に味が落ちる以外は美味しくいただける。生では弾力のあるやわらかい身のため、刺身で食べることもできる。加熱すると若干締まるが硬くはならずしっかりとした身なので、和洋折衷さまざまな料理に使われる優れた食材だ。
コブや皮も美味
食べられるのかが気になる額のコブは、脂肪分が多くやわらかい組織となっている。甘くとろとろした食感になるあら煮や、外はカリッと中はジューシーなムニエルなどの調理法で食べられる。皮はやや硬いため、湯引きしたり炙ったりすると、皮の食感と皮目の甘い脂を楽しめるだろう。コブダイは、さまざまな部位を煮付けや揚げ物、生で味わえるのだ。
3. コブダイの味を楽しめる料理

クセがない淡白な味わいのコブダイは、生食のほか油を使った料理や、味付けの濃い料理と相性がよい。ここでは、コブダイのさまざまな調理法とポイントを紹介する。
刺身
鮮度のよいコブダイの刺身は、その白い色合いや美しい透明感が見た目にも美味しさあふれる一品だ。弾力のあるやわらかい身が特徴であるため、薄造りにするとその食感が存分に楽しめる。皮も美味しく食べられる部分であるため、湯引きしたり炙ったりした皮を残した食べ方もおすすめだ。噛めば噛むほど、皮の食感と皮目の脂が感じられる刺身になる。
揚げる
淡白な味わいのコブダイは、油を使った料理とも相性がよい。加熱しても硬くならず崩れにくいため、唐揚げなどにしても美味しくいただける。から揚げのジューシーで弾力のある身が、ごはんのお供にも酒のつまみにも最高だ。皮付きの身を使うと、その食感や香ばしさを堪能できる一品になる。
煮付けにする
コブダイは、煮付けにするのもおすすめだ。皮目の脂が多いため、美味しく仕上げるには味付けを濃くするとよいだろう。コブを含む頭部は脂やコラーゲンがとくに多くゼラチン質であるため、甘くとろとろした食感が楽しめるあら煮ができあがる。ゼラチン質のあら煮は冷めると煮凝りになり、煮付けとはまた違った楽しみ方ができるだろう。
あら汁
淡白な味わいが特徴のコブダイだが、あらや骨からは美味しい出汁と栄養が摂れるのだ。煮付けにした際の煮汁は残してしまいがちだが、あら汁にすれば溶け出た美味しい出汁も栄養も飲み干すことができる。ダブルで嬉しいあら汁は、寒い時期の身体もあたためてくれるやさしい味わいだ。コブダイは余すことなく、ぜひあらまで使おう。
結論
今回は、コブダイの生態や旬の時期、さまざまな食べ方を紹介した。見た目と性格のギャップや性転換できる生態など、いろいろな魅力が詰まったコブダイ。食べ方のバリエーションも豊富で美味しい魚であるため、見つけたらぜひ手に入れ、味わっていただきたい。