目次
- たんぱく質:19.7g
- 脂質:4.6g
- 炭水化物:0.1g(食物繊維0g、糖質0.1g)
- ミネラル類
- ナトリウム:50mg
- カリウム:370mg
- カルシウム:24mg
- マグネシウム:28mg
- リン:240mg
- 鉄:0.2mg
- 亜鉛:0.6mg
- 銅:0.04mg
- マンガン:0.01mg
- ビタミン類
- ビタミンA:17μg(レチノール活性当量:17μg)
- ビタミンD:12.0μg
- ビタミンE:1.2mg
- ビタミンB1:0.21mg
- ビタミンB2:0.10mg
- ナイアシン:4.0mg(ナイアシン当量:7.3mg)
- ビタミンB6:0.36mg
- ビタミンB12:6.0μg
- 葉酸:13μg
- パントテン酸:1.63mg
- ビタミンC:2mg
- カロリー:116kcal
- 脂質:ニジマス4.6g、トラウトサーモン14.2g
- DHA:ニジマス550mg、トラウトサーモン1300mg
- EPA:ニジマス140mg、トラウトサーモン600mg
- カロリー:ニジマス116kcal、トラウトサーモン201kcal
- ニジマス:19.7g(※1)
- トラウトサーモン:21.4g(※8)
- ※1※8:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://fooddb.mext.go.jp/
- ※2※3※5〜※7:ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量|公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/
- ※4出典:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所栄養素の説明-脂質EPA・DHA https://www.orthomolecular.jp/nutrition/epa-dha/
1. ニジマスの主な栄養素と効果効能

ニジマス(淡水養殖、生)に含まれる代表的な栄養素と、それぞれの効果効能を見ていこう。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※1)より、ニジマスの可食部100gあたりの各栄養素の含有量も併せて紹介する。
ビタミンB12(※2)
ビタミンB群の一つであるビタミンB12は、たんぱく質や核酸の生合成に関与する栄養素だ。補酵素として働き、アミノ酸や脂肪酸の代謝を助けるのに役立つ。また、葉酸とともに働き、赤血球をつくり出すことから、貧血予防効果も期待できる。ニジマスのビタミンB12の含有量は、6.0μgである(※1)。
ビタミンD(※3)
ビタミンDはさまざまな食品に含まれるほか、皮膚を日光にあてることでも生成される。カルシウムとリンの吸収を促したり、たんぱく質の働きを活性化したりするのが主な働きだ。骨や歯の発育促進に役立つ栄養素で、神経伝達や筋肉収縮の機能を維持する作用もある。ニジマスには、12.0μgのビタミンDが含まれる(※1)。
DHA(※4)
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内では合成できない必須脂肪酸の一種で、ニジマスに550mg含まれている(※1)。中性脂肪を低下させる作用があり、血小板凝集の抑制やさまざまな炎症の予防にも役立つ。また、脳の機能維持に関与する成分としても重視されている。抗酸化力もあり、疾病予防効果が期待できる点もDHAのメリットである。
EPA(※4)
EPA(エイコサペンタエン酸)も、DHAと同様に必須脂肪酸の一つである。IPAとも呼ばれる。ニジマスには140mg含まれ(※1)、中性脂肪低下や血小板凝集の抑制、炎症の予防などに効果が期待できる。
カルシウム(※5)
ミネラルの一種であるカルシウムは、主に骨や歯の構成成分として知られる。不足しがちな栄養素で、骨や歯の健全な成長、骨粗しょう症の予防のためにも摂取が求められる。ただし、過剰摂取にも高カルシウム血症などを招くリスクがあり、ほかのミネラルの吸収も妨げてしまうため注意が必要だ。また、カルシウムは細胞の分裂や分化、筋肉の収縮にも関与している。ほかにも、神経興奮を抑制する作用や、血液凝固を促進する作用などがある。ニジマスのカルシウム含有量は24mgと少なめだ(※1)。
鉄(※6)
鉄もミネラルの一種である。体内で吸収されるとヘモグロビンやミオグロビンの成分となる。ヘモグロビンは酸素を輸送する働きを行い、ミオグロビンは筋肉中に酸素を蓄える。鉄は造血に必要な栄養素のため、貧血予防に効果的だ。ヘム鉄と非ヘム鉄があり、ニジマスなどの魚を含む動物性食品はヘム鉄を含有する。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも体内で吸収されやすい特性をもつため、鉄の補給に効果的だ。ニジマスの鉄含有量は、0.2mgである(※1)。
リン(※7)
リンもミネラルの一種で、カルシウムとともに骨や歯の発達に欠かせない栄養素である。細胞膜や核酸などの構成成分でもあり、体液の浸透圧や酸・アルカリのバランスを調節する作用、臓器の機能維持作用、神経伝達への関与など、役割は多様だ。効率的な吸収には、カルシウムとリンの摂取比率が同量程度であることが望ましい。ニジマスのリン含有量は240mg(※1)とカルシウムの10倍のため、ほかの食品でバランスを調整する必要がある。
2. ニジマスの栄養価とカロリー

ニジマスの可食部100gあたりに含まれる栄養素やカロリー(※1)を、一覧で見てみよう。
3. ニジマスとトラウトサーモンの栄養成分の違い

ニジマスは淡水で養殖される魚である。トラウトサーモンもニジマスの一種だが、海面養殖される海魚であり、川魚のニジマスとは区別されている。では、ニジマスとトラウトサーモンの栄養面にはどのような違いがあるのだろうか。
脂質、脂肪酸の量
ニジマスとトラウトサーモンの最大の違いは脂質量と脂肪酸の量である。カロリーも含め、可食部100gあたりの各数値を比較してみよう。(※1、8)
脂肪酸にはDHAとEPAだけでなくさまざまな種類があるが、全体的にニジマスのほうが少ない。ニジマスの脂質量はトラウトサーモンの約1/3量のため、カロリーも比較的低い。健康効果のある必須脂肪酸(※4)の量はトラウトサーモンに劣るが、脂質やカロリーが低い点はニジマスのメリットである。
たんぱく質
脂質量ほどの差はないが、たんぱく質の含有量(100gあたり)も下記のように異なる。
そのほかの栄養素の違い
トラウトサーモンは、ニジマスには含まれないミネラルのセレンやヨウ素、ビタミンのビオチンを含む。しかし、カルシウムの含有量はニジマスの約半量である。また、ビタミンAはトラウトサーモンのほうが多い。このように、ニジマスに多い栄養素もあれば、トラウトサーモンに多い栄養素もある。いずれも、さまざまな栄養素を含んでいる点は共通している。(※1、8)
結論
ニジマスには、たんぱく質や必須脂肪酸、ミネラル類、ビタミン類などさまざまな栄養が含まれる。また、海水養殖のトラウトサーモンと比較すると、ニジマスは低脂質で低カロリーだ。ダイエット中でも、比較的食べやすい魚といえるだろう。
(参考文献)