目次
- (※1)内閣府|食品安全委員会|食品安全関係情報詳細 https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu02260230149
- (※2)JETRO|わさび | 日本産食材ピックアップ - 農林水産物・食品の輸出支援ポータル https://www.jetro.go.jp/agriportal/pickup/wasabi.html
- (※3)日本調理科学会誌Vol.36 2003|タマネギのにおいと調理 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1995/36/3/36_321/_pdf/-char/ja
- (※4)(※5)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/
1. キャベツが消毒や塩素臭いのはなぜ?

まず、キャベツの臭いの原因には、キャベツの成分、農薬や土壌などの生育環境、キャベツの品種といった以下のような3つが考えられる。
キャベツが臭い原因1:キャベツの成分
1つめは、キャベツの成分を由来とした臭いだ。キャベツには、もともと動物に食べられないように自身を守る科学的な機能がそなわっている。キャベツの細胞にキズがつくことで、「グルコシノレート類」(※1)が酵素と結合し、ワサビやカラシの成分である「イソチオシアネート類」(※2)を発生。「イソチオシアネート類」は加熱したり、時間経過したりすることで、にんにくの臭いに似た「スルフィド類」(※3)となるのだ。この「スルフィド類」により、人はキャベツからの臭いを悪臭と感じるとされている。
また、古いキャベツであったり、冷凍し解凍したものであったりすると、臭いがするケースも少なくない。
キャベツが臭い原因2:生育環境
2つめは、農薬や土壌などキャベツの生育環境によるものだ。キャベツの生産過程で必要となる微生物に「メチルイソボルネオール」(※4)がある。おもに藍藻類と呼ばれる菌類が作り出す物質で、キャベツから薬やカビのような臭さを感じる原因となるのだ。生育環境によるキャベツの臭いはキャベツ成分由来とは異なり、生育環境の違いによって臭いに個体差がでる。
キャベツが臭い原因3:キャベツの品種
3つめに、キャベツの品種による臭いの違いがある。4~6月頃に収穫される中早生種・中生種は、キャベツの呼吸量が多いため、臭いがキツくなるといわれているのだ。
以上3つの理由が、キャベツが消毒や塩素臭いといわれるゆえんである。
2. 臭いキャベツを食べると害がある?

腐敗が原因の酸っぱい臭いの場合は食べられないが、キャベツの成分が由来となる青臭さやカビ臭さのケースは食べても害はないだろう。しかしながら、キャベツが臭い状態でスープや煮込み料理として使用する場合、キャベツのキツい臭いが溶け出し、料理全体の風味が損なわれることがあるので注意しよう。
3. キャベツの臭いを消す方法

キャベツが臭い時にそのまま食材として使用すると風味が悪くなり、せっかくの料理が台なしとなる。では、キャベツの臭い取りはどうするのが適切だろうか。
加熱時間を短くする
前述した「イソチオシアネート類」がキャベツに存在したまま温めると、悪臭のもととなる「スルフィド類」が発生する。スープや野菜炒めであれば、キャベツを加熱しすぎないため、キャベツの臭いを抑えることにつながるだろう。
熱湯で茹でる
キャベツに含まれる成分である「グルコシノレート類」が酵素と反応することで、「イソチオシアネート類」や「スルフィド類」が作られることはすでに紹介した。「グルコシノレート類」の活性化ポイントは60度あたりといわれているため、加熱するのであればこの温度帯を避け、沸点に近い熱湯でさっと茹でるのがよい。キャベツを熱湯で茹でることで、酵素を不活性化させ、臭いの原因である成分の生成を抑えることができるだろう。
レモンやクエン酸を使う
キャベツにpH4.5以下のクエン酸を加えることで、キャベツの臭い成分となる「スルフィド類」が減り、キャベツの臭いを感じにくくなる効果があるといわれている。とくに、千切りにしたキャベツは劣化が早く、臭いを発生しやすいため、クエン酸水に浸すのもひとつの方法だ。クエン酸の代わりに、手に入りやすいレモン汁でもよいだろう。千切りにしたキャベツを2~3分浸すことで、レモン本来の香りにより、キャベツ特有の臭いがマスキングされる効果が期待できる。
臭い部分を避ける
キャベツが腐ると茶色くなったり、葉が黒ずんだりする。腐ることで腐敗臭や酸っぱい臭いがすることがあるからだ。臭い部分を避け、まだ食べられそうなところを食材として使うのもよいだろう。
スパイスやハーブを使う
煮物やスープ類は長時間茹でる必要があるため、キャベツの臭いを抑えづらい。また、野菜をそのまま蒸す料理も臭いが発生しやすいだろう。その場合は、ナツメグやローリエなど香りの強いスパイスやハーブといっしょに調理するのが効果的である。また、味付けを少し濃いめにするのも、キャベツの臭いを感じづらくするためおすすめだ。
4. キャベツでおならが臭い原因

キャベツでおならが臭くなる原因は、「イソチオシアネート類」が挙げられる。「イソチオシアネート類」はキャベツ由来の成分であり、ガスを生み出す硫黄化合物でもあるのだ。「イソチオシアネート類」がタマネギのようなキツい臭いのもととなるアンモニアを腸内で発生させ、卵が腐敗したような臭いのおならとなる。キャベツは繊維の柔らかい水溶性食物繊維(※5)であるため、便を柔らかくする作用があるが、過度の摂取とならないよう調整する必要があるだろう。
結論
本記事を通して、キャベツの臭いのなかには、食べても害のないものも含まれていることをご理解いただけただろう。キャベツは食物繊維が豊富なため、健康のためにもバランスよく食事に取り入れたい食材だ。どうしてもキャベツの臭いが気になる場合は、紹介した方法で臭いを抑えてみてほしい。さまざまな方法を試すことで、より美味しくキャベツを味わえるだろう。
(参考文献)
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