目次
- 素早く冷やした豚汁を小分けにする
- 急速冷凍などを活用して素早く冷凍する
- 表面に膜が張っている
- カビ臭がする、カビが生えている
- 食材を持ち上げると糸を引く
- 異臭(酸っぱいにおいなど)がする
- ※1:厚生労働省「食中毒」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
- ※2:食品安全委員会「ウエルシュ菌食中毒」 https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/03clostridium.pdf
- ※3:福岡県立大学「ショウカ゛の殺菌・抗菌効果とその実用化に向けた解析」 https://fukuoka-pu.repo.nii.ac.jp
1. 夏冬で違う!豚汁の日持ちの目安

一度にある程度の量を作ることも多い豚汁。1回では食べきれない場合、皆さんはどのようにしているだろうか?一体何日くらいまでもつのか、不安になる人も多いことであろう。ここではまず、保存方法別にいつまでもつのかを解説していきたい。
常温保存の豚汁の日持ち
残念ながら、豚汁を常温保存することはできない。というのも食中毒菌が最も増殖するのは、20~50℃の常温なのだ。(※1)作ったものを常温保存しても、見た目には違いはないかもしれないが、食中毒菌が増殖している可能性があるのだ。基本的には作った豚汁を常温保存することはできないと覚えておこう。
冷蔵保存の豚汁の日持ち
本来、豚汁は保存には向いていない食べ物である。理由は味の劣化が明らかだから。また、複数入る具材のなかには冷蔵に向かないものも。冷蔵であれ、冷凍であれ保存した豚汁は本来の味噌の風味が感じられず、味が煮詰まることもある。作りたてとは味わいが異なることをまずは理解しておきたい。
ただ、たくさんできてしまった豚汁を捨てるのは、フードロスに結びつく。さらに環境的にも家計的にもいいこととはいえない。もし、余ってしまった場合は、速やかに冷やして冷蔵するのがおすすめだ。
適切な方法で冷蔵庫に入れて保存した豚汁の日持ちは、夏場であれば翌日、春と秋なら2日、冬場であれば3日くらいが目安だ。あくまでも目安なので、食べる前に必ず状態を確認する必要がある。
冷凍保存の豚汁の日持ち
豚汁には冷凍に向かない食材が使われていることも多い。とくにこんにゃくやじゃがいもは冷凍すると食感が変わってしまって美味しく食べることができない。もし豚汁を冷凍する場合は、これらを取り除く必要がある。
適切な方法で冷凍庫に入れて保存した豚汁の日持ちは、季節を問わず2~3週間程度だ。こちらもあくまでも目安なので、食べる前に必ず状態を確認する必要がある。
2. 豚汁を日持ちさせるコツ

豚汁を保存する必要がある場合、いくつかのポイントをおさえる必要がある。これらを外すと食中毒の危険が伴うことも。ここでは豚汁を日持ちさせるために死守すべき、6つのポイントを解説していこう。
素早く冷やして冷蔵庫に入れる
豚汁を日持ちさせるためには、菌の増殖を防ぐ必要がある。前述の通り、食中毒菌は常温で繁殖しやすい。さらにウエルシュ菌のように無酸素状態を好み、耐熱性もある菌は、豚汁のような煮込み料理を作る場合、鍋底で増殖する危険性がある。(※2)
これらを鑑みると、豚汁は作ったら冷やして、冷蔵庫に入れる必要がある。ポイントは、とにかく素早く冷やすこと。氷を張ったボウルなどで鍋を一気に冷やし、完全に冷えたところで小分けにして冷蔵庫に入れるといい。途中でかき混ぜる、扇風機で風を当てるなどの工夫をするとさらにいい。
具材を炒めて水分を飛ばす
豚汁を日持ちさせるためには、作る過程でも注意すべきポイントがある。まずは食材の水分をしっかりと飛ばすように炒めること。これは多くの菌は水分を好むから。しっかりと炒めることで、時短になり、長時間煮込む必要がなくなる点でも嬉しい。
味噌を多めに使う
やむをえず、豚汁を保存する場合は味付けを少し濃いめにするといい。これは塩や塩分が腐敗を抑制してくれるから。ただ、何度も温めるとどうしても煮詰まり、味が凝縮してしまうので、過度に味噌を多く使うことはおすすめしない。
生姜を入れる
生姜には殺菌、抗菌効果があるとされている。(※3)豚汁にも生姜を入れるとこの効果を得ることができる。ただし、特有の風味がつくので、生姜が嫌いな人にとっては、苦手な味わいになってしまうことも。
十分に加熱する
煮込みすぎはあまりよろしくないが、食材にきちんと火を通すことは重要だ。多くの菌は熱に弱く、中心温度75℃で1分以上加熱すると死滅するとされている。(※1)
購入したての豚肉を使う
新鮮な食材を使うことは大前提だが、とくに注意が必要なのは豚肉だ。スーパーなどで購入できる肉は屠殺からある程度の時間が経過しているので、その時点で新鮮とはいえないことも。また家に持ち帰る間、常温状態に置かれる、冷蔵庫の開け閉めによる温度変化など、思っている以上に劣化が進行していることもある。
できる限り、買ってきたばかりの豚肉を使うことも腐敗を抑制することにつながるのだ。
3. 豚汁を冷凍保存で日持ちさせるコツ

前述の通り、豚汁には冷凍に向いていない食材が使われていることも多い。とくに注意すべきは、こんにゃく、いも類、豆腐だ。これらを取り除いてから、冷凍する必要がある。
解凍する場合は、電子レンジを活用してある程度解凍したのち、鍋で温めるといい。
4. 保存した豚汁が食べられるかの見分け方

冷蔵や冷凍で保存することができるものの、劣化はどうしても食い止められない。このため冷蔵、冷凍した豚汁を食べる際には、腐敗していないかしっかりと確認する必要がある。
このような変化がある場合、残念ながら食べることはできない。少しでも異変を感じたら、捨てる勇気を持つことも重要である。
結論
豚汁は基本的に、できたてを1度で食べきるのが基本である。保存するとどうしても味の劣化を免れることはできない。ただし、どうしても保存したい場合は、新鮮な食材を使用し、しっかりと加熱し、味は濃いめにするといい。さらに素早く冷やしたのち、冷蔵または冷凍することが重要だ。
(参考文献)