目次
- ※1参照:財団法人東京顕微鏡院「食肉の保存温度と微生物の消長」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfm1994/16/2/16_2_125/_pdf
- ※2参照:松坂牛協議会「食肉の香りと和牛香」 https://www.city.matsusaka.mie.jp/site/matsusakaushi/kaori.html
1. 牛肉の臭いの原因とは

まずは、なぜ牛肉が臭いと感じるのかを紹介する。
冷蔵庫の臭い
牛肉を保存している冷蔵庫内が汚れていたり、臭いの強い食材が近くにあったりすると、臭いが移ってしまう可能性がある。スーパーなど牛肉が乗せられているトレーは臭いを通しやすいため、冷蔵庫で保存するときは臭い移りに注意しよう。臭いのあるものとは離しておき、冷蔵庫内はキレイにしておくのがおすすめだ。
個体の違いによる臭い
牛肉自体がもともと臭い場合には、餌による個体差である可能性が高い。オーストラリア産やニュージーランド産など外国産の牛肉は、牧草を食べて育つグラスフェッドが主流。その牧草に含まれているミネラル分が、臭いのもととなっているのだ。国産牛の多くは穀類を食べて育つグレイフェッドで、グラスフェッドよりも臭いが少ない。
冷凍焼けによる臭い
牛肉を冷凍し、解凍したときに臭いと感じる場合は冷凍焼けを起こしている可能性がある。長く冷凍しておくと水分が抜け、油分が酸化して臭いが出てしまうのだ。臭いを気にせず食べるなら、冷凍してから3週間を目安に食べきろう。
2. 牛肉が腐った時の臭い

牛肉特有の臭いについて分かったところで、次は腐ったときの臭いや状態について見ていこう。食べられるかどうか見分ける際の参考にしてほしい。
食べられない時の特徴
腐った牛肉はアンモニアのような強い刺激臭がするほか、ドリップと呼ばれる水分が出たり変色したりする。また、表面がぬるぬるしているものや糸を引いている場合も腐っているので食べずに捨てよう。腐った牛肉には多くの細菌が繁殖しており、食べると食中毒を引き起こす可能性がある。(※1)臭いとあわせ、見た目も確認しながら判断しよう。
3. 牛肉が臭い時の対処法

牛肉の臭いについて分かったところで、次は臭い消しの方法を見ていこう。
洗い流す
臭いを手軽に取りたいなら50℃くらいのお湯に4分程度漬け、洗い流すのがおすすめだ。ただし、うまみが流れ出てしまいやすいため、短時間でサッと洗うようにしよう。また、薄切り肉やひき肉など、洗い流す方法が適さない種類の牛肉もある。
香りのある食材を使う
臭いが気になるときは、にんにくやネギなど香りのある食材を組み合わせるのもおすすめだ。ステーキならガーリックバターソースを付けるなどすれば、臭いが気にならなくなる。また、玉ねぎに漬け込んでから焼いてもよい。
漬け込む
臭いをしっかり取りたいときは、酒や牛乳などの乳製品に漬け込むのもおすすめだ。酒と一緒にハーブやスパイスを30分ほど漬け込んでおけば、そのまま焼くだけで美味しく食べられる。牛乳に漬ける場合には、30分~6時間ほど漬けたあとに洗い流して水分をふき取ろう。
4. 牛肉の臭いは国産和牛では異なる

牛肉の臭いのなかでも、国産和牛は少し香りが異なる。ここでは、和牛の香りについて見ていこう。
和牛の香り成分
和牛には特有の香りがあり、これを「和牛香」と呼んでいる。和牛香は基本的に生肉では感じられず、熱を加えることで発生するのが特徴だ。80℃で2分程度加熱したときに最も香りが出るとされており、甘くコクのある香りが楽しめる。(※2)外国産の牛肉で感じる臭いは生の状態でも発生するが、和牛香は加熱したときのみに感じられるのが大きな違いだ。
結論
外国産の牛肉はグラスフェッドである可能性が高く、産地によっては臭いが気になる場合もある。しかし、牛肉特有の臭いは腐敗が原因であるわけではないため、食べてもとくに問題はない。臭いが気になるときは本記事を参考にしながら、臭い消しの方法を試してみてほしい。
(参考文献)