目次
1. さつまいもの中が青いのは青カビ?

さつまいもは青や緑色、黒色に変色することがある。切り口が緑色になることもある。一見、カビのようにも思われるこの変色、一体何か?その正体に迫ってみよう。
さつまいもの中や皮が青くなるのはクロロゲン酸が原因
さつまいもが、カビているわけではなく、青や緑色になる原因はさつまいもに含まれているある成分によるものである。その成分がクロロゲン酸だ。
クロロゲン酸はポリフェノールの一種である。このクロロゲン酸が加熱やアルカリ性の物質に反応すると緑色になるのだ。アルカリ性の物質は数多くあるが、例えば天ぷら粉に含まれている重曹やこんにゃくなどもそのひとつだ。
さつまいもの青い部分は食べられる
加熱やアルカリ性の物質に反応して青や緑色に変色したさつまいもは、食べることができる。ただし、見た目にはあまり美味しそうではない。
味わいに変化はないが、クロロゲン酸は人間にとってはアクの要素なので、苦く感じるという人もいる。
さつまいもは黒く変色することもある
さつまいもは、青や緑色だけでなく黒く変色することもある。その原因は大きく分けて3つある。
ポリフェノールオキシターゼ
りんごを切ってそのままにしておくと茶色に変色する。さつまいもが黒くなるのは、この現象に近い。原因となるのはポリフェノールオキシターゼをはじめとする酸化酵素だ。これらが空気中の酸素と結合することによって褐変反応が起こるのだ。
ヤラピン
さつまいもを切ると断面からミルク色の汁がにじみだしてくる。これがさつまいも独自の成分、ヤラピンである。皮やその付近に多く含まれており、このヤラピンもまた酸素に反応して褐変するのだ。
低温障害
さつまいもに限らず、野菜は低温障害を起こすことがある。暖かい場所を好む作物にとって、冷蔵庫は寒すぎる可能性が高く、黒変が起こるのだ。
2. さつまいもの茹で汁が青いのはアントシアニンが原因

さつまいもを洗ったり、茹でたりすると水が青くなることがある。これはクロロゲン酸ではなく、さつまいもの皮に含まれるアントシアニンが原因だ。
アントシアニンは水溶性の色素のため、水に溶け出す性質があり、この結果水や茹で汁が青くなるのである。
3. さつまいもの青い変色の防止方法

さつまいもが青や緑色、黒色に変色したとしても、クロロゲン酸や低温障害などであれば、食べることができる。ただ、見た目にはあまり美味しそうとはいえないので、できれば変色を避けたいというのが本音だろう。ここでは変色を防止する方法について解説をしていこう。
切ったらすぐ水にさらす
さつまいもは、調理前の下ごしらえとして、カットしたら水に放ってアク抜きをするのが一般的だ。実はさつまいもの変色は、私たちが普段アクと呼んでいる物質が引き起こすのだ。
水の中につけることで、酸化や反応を防ぐことができ、結果変色を防止することができる。
皮を厚く剥く
変色の原因になるクロロゲン酸やヤラピンなどは、皮の近くに多く含まれている。このため、皮を厚く剥くと変色が起こりにくくなる。
4. さつまいもの青カビと青い変色の見分け方

青や緑色に変色したさつまいもは食べることができると述べたが、これはクロロゲン酸やヤラピンなどが原因で変色した場合のみ。カビている場合は、もちろん食べることはできない。
見分け方のポイントは、においと見た目だ。ふわふわとした綿毛のようなものがついている場合は、カビである可能性が高い。さらにカビ臭い場合は危険。柔らかくなりすぎているなど、いつもの状態と異なる場合は、慎重に判断したい。適切な保存方法を用いて、カビが生えないようにしたいものである。
結論
さつまいもが青や緑色、黒に変色するのは、さつまいもに含まれている成分が原因だ。クロロゲン酸やヤラピン、ポリフェノールオキシターゼの酸化などによって起こることが多い。この変色は、味わいはやや落ちるものの食べることができる。ただし、カビや腐敗の場合は食べられないので、慎重に見極める必要がある。