- ペーパーでドリップや水分をふき取る
- 1回分の量に小分けしてラップに包む
- ラップに包んだ牛肉をジッパー付きの保存袋に入れる
- ※1 公益財団法人 日本食肉消費総合センター 用語集:ミオグロビン http://www.jmi.or.jp/info/word/ma/ma_028.html
- ※2 厚生労働省 食中毒 https://www.mhlw.go.jp/
1. 変色した牛肉は食べても大丈夫?
牛肉が変な色になっていると、食べても大丈夫なのか不安になるだろう。変色した牛肉は食べても大丈夫な場合と、食べない方がよい場合がある。
食べられる色を紹介するとともに、牛肉が変色する原因を解説していく。
灰色や茶色に変色した牛肉は食べられる
買ってきたばかりの牛肉が鮮やかな赤でなくても、食べられることが多いだろう。新鮮な牛肉の色というと赤を思い浮かべるかもしれないが、実は切って間もない牛肉は灰色や茶色、黒っぽいのだ。
牛肉の色は、「ミオグロビン」に由来している(※1)。ミオグロビンが酸素と結合すると、鮮やかな赤に変わるのだ。つまり、切ってすぐにパッケージングしたり、真空パックに詰めたりと、酸素に触れる機会が十分でなかった場合は赤くないこともある。
ただし、買ってから時間が経って灰色や茶色になった牛肉は、酸化が進んで鮮度が落ちているので、食べない方が無難だ。
緑や青に変色した牛肉も食べられる
新鮮な牛肉で青緑色に光る部分を見つけても、食べられる可能性が高いだろう。胆汁の色素である「ビリベルジン」が、牛肉の筋繊維からしみ出てきているのだ。ビリベルジンは食べても心配いらない。
しかし、カビやウイルスといった微生物が繁殖しても、緑色に変わるケースがある。食中毒の危険性もあるので、しばらく放置した牛肉が緑色に変色していたら、食べないでおこう。
解凍した牛肉が変色している場合
牛肉を長期冷凍保存していると、冷凍やけを起こして変色することがある。いざ冷凍していた牛肉を解凍したところ、変色していたというケースもあるだろう。この場合、食べられないことはないが、パサパサしたり味が落ちたりと、あまり美味しくない。
牛肉を冷凍すると、乾燥により肉の水分が抜け酸化が進み、変色が起こる。これが冷凍やけだ。冷凍保存した牛肉は、1ヵ月以内を目安に消費しよう。
2. 変色した牛肉が腐ってるかの見分け方
牛肉が変色していても、食べられるケースがあることを紹介した。しかし、牛肉の色味だけで食べられるかどうか決めてしまうのは、時期尚早だ。変色とあわせて、以下に紹介するポイントを参考に、牛肉が腐っていないか見分けてほしい。
酸っぱいにおいがしないか
牛肉が腐ってくると、酸っぱいにおいがしてくる。鼻をつくツンとしたにおいがしたら要注意だ。酸っぱいにおいがしているということは、牛肉の酸化が進んでいる状態。よく加熱しても、酸っぱいにおいは消えず、食べるとお腹を壊してしまうだろう。
とくに気をつけたいのが、ヨーグルトに似たにおい。ヨーグルト臭は腐り始めている証拠なので、迷わず廃棄しよう。
ネバネバしていないか
牛肉を触ってみて、ネバネバしていたら食べられない。腐敗菌が肉の内部にまで広がってタンパク質を分解するため、ぬめりが出てくるのだ。
手触りがネバネバしているほか、ドリップのとろみや糸を引いている状態が確認できた場合、食べるのを控えておこう。
空気にさらして変色するか
前述したように、牛肉の色はミオグロビンの酸化によって変色する。牛肉が灰色や黒っぽくても、空気にさらして赤に変われば腐っていないだろう。とくに肉が重なっている部分は空気が届きにくいので、赤くないケースがある。空気にさらして色が変わるか確認してみよう。
反対に、変色している部分を空気にさらしても色が変わらない場合、鮮度が落ちている。そのため、食べない方が無難だろう。
脂肪の色を確認する
脂肪の色も腐っているかどうかの判断に役立つ。新鮮な牛肉の脂肪は、くっきりとした白で、赤身との境目が分かりやすい。鮮度が落ちている脂肪は、黄色や茶色味がかり、赤身との境目がぼやけている。赤身の変色だけでなく、脂肪の状態もチェックしよう。
消費期限切れでないか
消費期限とは、正しく保存した場合、劣化や腐敗など衛生上の問題が発生しない期間である。消費期限を過ぎると食中毒などのリスクが高まり、安全性が失われてしまうのだ。
消費期限から3日過ぎても見た目が変わらないこともあるが、見た目に問題なくても、消費期限を過ぎた牛肉は食べない方がいいだろう。
3. 牛肉の変色防止方法
ここまでで、牛肉の変色の理由や食べられるかどうか、判断の基準などご理解いただけたかと思う。変色しても食べられるケースもあるが、できれば変色は防ぎたいもの。ここからは、牛肉の変色防止方法について解説していく。
【牛肉の変色を防ぐ保存方法】
牛肉の保存方法において、最大のポイントは空気の遮断だ。牛肉を空気に触れさせないことで酸化を防止し、変色予防にもなる。ぴったりとラップに包み、密閉できる袋に入れて空気をシャットアウトさせよう。ブロック肉を冷凍保存する場合、あらかじめ切り分けておくことが大切だ。内側まで時間をかけずに冷凍でき、変色も防げる。
なお、ドリップや水分をふき取っておくことで、くさみ予防になるのだ。下味をつけて保存しておくのも有効だろう。
4. 傷んで変色した牛肉は加熱すれば食べられる?
牛肉が変色していても、新鮮な場合は焼いて食べても問題ないだろう。しかし、傷んで変色している牛肉は、焼いても食べない方がいい。よく加熱したところで、雑菌などは殺菌できても、肉の中に残る毒素までは取り除けないのだ。食中毒などのリスクがあり、とくに抵抗力が弱い子どもや高齢者は注意が必要である(※2)。牛肉が変色し、少しでも異変を感じたら、食べないようにしよう。
結論
牛肉は新鮮なものが変色していても、食べられるケースが多い。空気にさらして鮮やかな赤色に変わる場合、あまり心配いらないだろう。ただし、色合いだけでなく、においや手触りなどから総合的に判断してほしい。傷んでしまったら、加熱しても食べられないからだ。この記事を参考に、牛肉の鮮度を見分け、美味しく食べてほしい。
(参考文献)