目次
- トムヤムクン
- カレー
- クワクリン(ひき肉を唐辛子やスパイスとともに炒めた料理)
- トムカーカイ(鶏肉のココナッツミルクスープ)
- トートマンプラー(さつま揚げのような料理で、刻んだバイマックルーを入れる)
- ※1出典:静岡県「ミカンに含まれる機能性の成分」 https://www.kajuken-shizuoka.jp/wadai.html
- ※2出典:日本がん予防研究会 NEWS LETTER No.23 p4「カンキツによるがん予防研究の現状」(村上 明) https://jacp.info/wp/wp-content/uploads/2020/03/No.23.pdf
- ※3出典:愛媛大学「学生も参加-産学官連携で製品化- 「温州みかん葉」を活用した 「みかん葉っこう茶」」 https://www.ehime-u.ac.jp/wp-content/uploads/2019/07/837713b3cf7d744694c7f47613cf5317.pdf
- ※4出典:キューピー株式会社「アジアンテーブル かんきつハーブソース バイマックルー&レモングラス」 https://www.kewpie.co.jp/prouse/recommend/asiantable/
1. バイマックルーとはこぶみかんの葉のこと

バイマックルーは、バイ(葉)とマックルー(こぶみかん)を合わせたタイ語の名称だ。マックルーは、英語ではkaffir lime(カフィアライム)と呼ばれる。バイマクルー、バイマックルートなどと表記されることもあるが、いずれも「こぶみかんの葉」という意味のハーブである。タイやマレーシアを含む熱帯地方が原産とされる。
バイマックルーの特徴
バイマックルーは、2枚の葉が連なっているようなユニークな形をしている。1枚は葉だが、もう1枚は葉の柄の部分にある翼(ヒダ)が生長したものだ。厚みなどほかの特徴に関しては、一般的な柑橘類の葉と大きな違いはない。
バイマックルーの葉は硬く、柑橘系の爽やかな香りをもつ。この香りがバイマックルーの最大の特徴で、東南アジアではさまざまな料理の風味付けに用いられる。
バイマックルーの効能
みかんは実だけでなく、皮や葉、根などにも栄養成分が含まれている。バイマックルーには、グリセロ糖脂質の一種であるDLGGという成分が含まれており、皮膚がん抑制効果があることが報告されている。(※1、2)
また、温州みかんの葉に含まれる栄養成分に着目し、みかんの葉を製品化する取り組みも見られる(※3)。バイマックルーの栄養や効能に関しての研究も、今後さらに発展することが期待される。
バイマックルーの選び方
生のバイマックルーは、鮮度がよいと鮮やかな緑色をしている。また、葉と翼が2枚の連なった葉のような状態になっているものを選ぶとよい。鮮度が落ちたものは黄色く変色していたり、葉と翼が離れて1枚の葉のような形になっていたりするため、避けよう。
バイマックルーを保存したい場合は、密封できる保存袋に入れて冷凍するとよい。
2. バイマックルーの使い方

バイマックルーの基本の使い方や定番料理について見ていこう。
料理に使う方法
バイマックルーはさまざまな使い方ができる。ローリエのように煮込み料理に加えるほか、肉や魚の臭み消しなどにも役立つ。また、刻んで炒め物に加える、すり潰してソースに使う、粉末状にしてサラダに使うなどの方法がある。
バイマックルーを使う料理
とくに、下記のようなタイ料理にはバイマックルーが欠かせないといわれる。
また、唐揚げやベトナム料理のフォーに使われることも多い。
バイマックルーは食べない
バイマックルーを料理に使うのは香り付けのためである。クワクリンのように刻んで料理に混ぜ込まれている場合や、粉末状の場合は料理と一緒に食べられる。しかし、バイマックルーは煮込んでも柔らかくならないため、葉の形状のままでは食べられない。もし葉の形状のバイマックルーが料理に入っていたら、食べずによけておこう。
3. バイマックルーを代用する方法

バイマックルーは、香りの強さや風味が独特でほかの柑橘類とは異なる。そのため、代用は基本的に難しいと考えたほうがよい。しかし一方で、バイマックルーは入手が難しい食材でもある。バイマックルーとは異なる風味になってしまうが、柑橘系の香りをもつ下記のようなものを代用品として使うとよいだろう。
ほかの柑橘類で代用
カボス、スダチの葉は、バイマックルーには劣るが香りをもつ。葉付きの実を購入し、バイマックルーと同様に使うとよい。また、みかんやオレンジの皮で柑橘系の香りを付けることもできる。ただし、内側の白い部分や表面のワックスを取り除く下処理が必要だ。加熱調理に代用する場合は、苦味が出るため3分ほどで取り出そう。
ちなみに柚子の葉は比較的入手しやすいが、香りが弱くトゲがあるため代用には向かない。
レモンバームで代用
シソ科の多年草であるレモンバームは、芳香が強く入手もしやすい。ただし、葉が繊細で柔らかいため煮込み料理や炒め物などには不向きである。柑橘系の香り付けとして、サラダに加えたり料理のトッピングに用いたりする方法がおすすめだ。
4. バイマックルーの入手方法

バイマックルーは一般的なスーパーではほとんど販売されていない。カルディなど輸入食品を扱う店舗やタイ食材専門店で取り扱われている食材である。確実に購入したいなら、ネットショップの利用がおすすめだ。食材専門店をはじめ、園芸店や苗木店など、生のバイマックルーを販売する店舗が複数ある。
また、キューピー「かんきつハーブソース バイマックルー&レモングラス」(※4)など、バイマックルーを使用したソースも販売されている。風味を知りたい場合は試してみるのもよいだろう。
5. バイマックルーの苗の育て方

バイマックルーの苗を購入して育てれば、新鮮な葉を料理に使うことができる。また、苗木を鉢植えにすれば観葉植物として楽しめるというメリットもある。
バイマックルーは暑さに強い植物だが、強い霜を避ければ戸外で越冬も可能だ。日当たりのよい場所で育て、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えよう。春から秋にかけての生育期には、2ヵ月に一度を目安に、有機肥料を与える。また、この時期に害虫に葉を食べられないよう対策することが、実を育てるコツである。鋭いトゲがあるため、手入れの際はケガをしないよう注意が必要だ。
結論
タイ料理に欠かせないバイマックルーは、ほかの柑橘類とは異なる強い香りや風味が特徴だ。どこでも購入できるような食材ではないが、ネットショップを利用すれば比較的入手しやすい。葉だけでなく加工品や苗を購入してみるのもよいだろう。代用が難しい独特な風味をもつバイマックルーを、ぜひ試してみよう。
(参考文献)