目次
1. コハダはどんな魚?

コハダはどんな特徴がある魚なのか、詳しく見ていこう。
出世魚のコハダ
コハダは、大きさによって名前が変わる出世魚である。関東地方では、4~5cm程度のものが「シンコ」、10cm程度が「コハダ」、13cm程度が「ナカズミ」、15cm以上が「コノシロ」と呼ばれている。同じ魚だがそれぞれ生態が変わり、漁や旬の時期も違うという特徴がある。稚魚であるシンコは江戸前寿司の華とされ、初物が高値で取引されるほどだ。
コハダの歴史は古く、江戸時代から愛されてきた魚である。当時、江戸で大量に獲れたのだが、傷みやすく臭みもありとても食べられたものではなかった。また、傷むと腹が切れてしまうため「切腹魚」といわれ、武士には縁起の悪い魚だったのだ。しかし、どうにかして食べられる魚として売りたいという漁師たちの思いから、塩と酢で締める調理法が生み出されたのである。臭みが抜けて美味しくなったコハダは江戸の人々に愛されるようになり、現代まで続いているのだ。
生態や特徴について
コハダは、日本では北海道南部から九州南部付近まで、主に内湾や汽水域に広く生息している。エサは珪藻やプランクトン、小型の甲殻類などだ。初春から初夏にかけて産卵が行われ、初夏には稚魚のシンコが獲れるようになる。
コハダの見た目の特徴としては、背中側の小さな黒斑とエラ近くの黒斑がある。また、背びれの後ろ端が糸状に伸びているのが特徴的だ。形は左右に平たく、上あごは曲がらずにまっすぐ付いていて、口先は小さく丸い。色は背のほうが銀色がかっていて腹が白い。
2. コハダの旬の時期

ここでは、コハダの産地や旬の時期について紹介するので、チェックしていこう。
産地と旬の時期
コハダの産地は、静岡、東京、瀬戸内海、大阪、石川県などだ。近年では、静岡県の浜名湖でシンコが最も早く水揚げされる。浜名湖産の初物シンコは、皮が柔らかく身がふっくらとしていて、旨みもバツグンだ。最高品と評価され、高値で取引されている。
コハダの旬の時期は、産卵時期をのぞいた夏頃だ。秋から冬にかけてもコノシロとして旬を迎えるため、年中美味しく食べられる。成魚になると皮が硬く小骨が多くなるが、調理の際に工夫すれば問題ないだろう。とくに冬は脂が乗るので、より美味しく食べたい方にはおすすめだ。
3. コハダの選び方と美味しい食べ方

コハダを選ぶときのポイントやおすすめの食べ方を紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
選び方のポイント
コハダを選ぶときにチェックしたいのがお腹だ。新鮮なものはお腹が銀色に光っているので、より輝いているものを選ぼう。また、目は赤くないものがよい。さらに、触ってみてやや弾力のあるものは新鮮な証拠である。
サイズが小さいと捌くのが難しくなり、大きくなるほど小骨が多くなってしまう。そのため、ほどよいサイズのものを選ぶのがよいだろう。
おすすめの食べ方
・刺し身
寿司のイメージが強いコハダだが、刺し身にしても美味しい。切り方は3枚におろしてから切っていこう。骨切りをした方が食べやすい。酢、水、日本酒を混ぜた液にくぐらせると、臭み消しになるのでおすすめだ。
・酢締め
刺し身よりも旨みが強くなるのがこの方法だ。3枚におろしたコハダに塩をふり、酢に数分漬け込む。塩と酢の加減によっても、コハダの脂の乗り具合によっても味わいに違いが出るので、好みの味になるように試してみよう。美味しくできたら、そのまま食べても、寿司にしてもよいだろう。
・塩焼き
水洗いしたコハダに包丁を1mm程度入れて骨切りをする。塩をふり、1時間ほど置いてから焼こう。コハダは身離れがよいので、塩焼きもおすすめだ。小さいものであれば、骨までまるごと食べることもできる。
・煮付け
水洗いしたコハダの骨切りをした後、醤油、酒、みりん、砂糖などで煮付ける。生姜を入れると旨みが引き立つのでおすすめだ。また、卵巣も煮付けにすると美味しく食べられるので試してみてはいかがだろうか。
結論
コハダは成長とともに名前が変わり、旬の時期も少し変わるため年中美味しく食べられる魚である。選び方のポイントに気を付けて、新鮮なものを選ぼう。おすすめの食べ方もいろいろあるので、試してみてはどうだろうか。旬のコハダをぜひ味わってみてほしい。