1. パンを冷凍する方法とポイント
パンの美味しさを保ちつつ、日持ちさせる保存方法は「冷凍」だ。パンを冷凍保存する方法と、ポイントを説明しよう。
上手なやり方
パンと一口にいってもさまざまな種類があるため、大まかに分けて説明していこう。
バゲットのように大きなパンを冷凍保存する場合は、小分けにできるようカットしラップに包んで冷凍庫に入れる。カットするときのポイントは、なるべく同じ大きさに切り分けることだ。均等な大きさにすることで解凍時にまんべんなく熱が行き渡るため、美味しく焼き上がる。また、小分けにしておけば冷凍するときに早く凍結できるのだ。
そのほか、食パンのようにあらかじめ切れているパンを冷凍保存する場合は、袋に入ったままだと空気が入っておりパンが乾燥してしまうため、1~2枚に分けて保存しよう。
とりあえず冷蔵庫で保存しておこう、という方もいるだろうが、冷蔵庫の温度はパンに含まれているデンプンが劣化しやすいため冷蔵保存はおすすめできない。(※1)パンを美味しく日持ちさせたければ、ポイントを押さえながら冷凍で保存しよう。
2. パンを冷凍から解凍する方法
冷凍保存したパンを解凍するときは、オーブントースターを使用しよう。魚用のグリルや焼き網でも解凍できるが、使用中は目を離すことができない。時間や温度設定ができるオーブントースターは失敗も少なく手間がかからないのでおすすめだ。
解凍と加熱
パンの種類によって解凍するための焼き方や手順が異なる。
食パンは、冷凍のまま焼くだけでよい。200℃で予熱しておいたオーブントースターに凍ったままの食パンを入れ、200℃で4分ほど焼こう。
バゲットを解凍する場合は、バゲットに水分を含ませ高温で焼くとサクッとした食感を楽しめる。冷凍庫から取り出し10分ほど自然解凍させるのだが、パンに霜が付かないようフキンで包んでおこう。自然解凍後流水をサッとかけるか霧吹きを使って表面を湿らせ、200℃で予熱しておいたオーブントースターに入れたらバゲットをアルミホイルで覆う。1cmの厚さならば200℃で2分、4cm以上ならば200℃で約3分が目安だ。
クロワッサンは、ラップを外して約10分自然解凍しておこう。100℃で予熱したオーブントースターに入れ、120℃で約8分焼く。砂糖やバターが多く使われているため焦げやすいクロワッサンは、アルミホイルで包んでから焼くのがポイントだ。オーブントースターから取り出したあと2分ほど置いておくと、溶け出したバターが再度固まりバターの風味やサクッとした食感が復活する。
3. 菓子パンや惣菜パンの冷凍方法
さまざまな具材が入っている菓子パンや惣菜パンも冷凍で長期保存が可能なのだろうか。パンの種類ごとに冷凍・解凍方法のポイントや注意点を説明しよう。
冷凍できる種類
多くの菓子パン、惣菜パンは冷凍保存が可能である。しかし、使われている具材によって冷凍保存が不向きな種類もある。茹で卵、生の野菜や果物、大きいサイズのいも類、生クリームが入っているパンはおすすめできない。また、マヨネーズやケチャップが大量に使われているパンも冷凍保存はやめておこう。解凍時に水分がしみ出すため、美味しさが損なわれるからだ。ソーセージなど水分の少ない食材が入っているパンや、あんパン、メロンパンは冷凍・解凍しても美味しく食べることができる。
冷凍と解凍の仕方
菓子パンや惣菜パンを冷凍する場合、パンが酸化しないよう密閉するのがポイントである。コンビニなどで販売されている個包装のパンは、しっかりと密閉されているのでそのまま冷凍用の保存袋に入れてよい。パン屋で販売されている個包装されていないパンは、1つずつラップで包み冷凍用の保存袋に入れよう。
解凍方法はパンによって方法が異なる。カレーやクリームなどパンの中に具材が入っている場合は、パンを取り出し耐熱皿に乗せ、上にふんわりとラップをかけて500W20秒に設定した電子レンジで半解凍する。電子レンジを使わず、1時間ほど冷蔵庫に入れて半解凍してもよい。半解凍後、パンをアルミホイルで包んで200℃のオーブントースターで約6分焼き、余熱でそのまま2分あたためよう。
デニッシュパンやメロンパンなどの具材がないパンは、半解凍せずに加熱のみでよい。冷凍庫から出したパンをアルミホイルで包み200℃で焼く。メロンパンならば約6分、デニッシュパンは約10分、どちらもプラス余熱2分はマストだ。
結論
パンを美味しく保存したいのであれば、冷凍保存しよう。ただ冷凍庫に入れるのではなく、パンの種類に合わせた冷凍方法で保存し、解凍も種類に合わせた方法で行うことで美味しく食べることができる。食べきれなかったパンの保存方法に困ったときは、本記事を参考にして冷凍保存し、長く美味しくパンをいただこう。
(参考文献)
(※1)
科学技術振興機構|美味技術学会誌 13(1),2014