1. 冷凍に向いているきのこ
きのこは鮮度が落ちやすいため、その日のうちに使わないのであれば冷凍保存をするといい。冷凍保存をすると鮮度を保てるだけでなく、冷凍によりきのこの水分が膨らんで細胞壁が壊れ、旨みや栄養が出やすくなるといわれているのだ。(※1)では、きのこを冷凍するとどれほど旨みが増すのかきのこの種類ごとに見ていこう。
種類と旨み
先に結論から伝えると、きのこを冷凍しただけでは旨み成分が増すことはなく、冷凍後加熱することで大幅に増す。「日本食生活学誌 第26巻 第1号 きのこは冷凍に適しているか」を参考に、冷凍加熱した後の旨みヌクレチオドの5'-GMP含有量がきのこの種類ごとにどのように変わるか見ていこう。ここでは、論文内の3回の試験データをもとに、平均した5'-GMPを記載することとする。
ナメコは100g当たり生鮮品の状態では5'-GMPが約3mgであるのに対し、冷凍加熱後は約7.6mgと2倍近く増加した。ブナシメジは、100g当たり生鮮品の状態では約0.3mgに対して、冷凍加熱後は約1.9mgと約6倍と大幅に増えたのだ。エノキダケ100g当たり生鮮品は約1.5mg、冷凍加熱後は約4.9mgで約3 倍に増加している。このことから、3種類のきのこすべてが冷凍加熱することで5'-GMP含有量が増加していることがわかっていただけるだろう。ただし1番大きく変化が見られたブナシメジは、5'-GMPが元から少なく、冷凍加熱後も数値だけ見ればほかの2種類のきのこよりは低い。(※2)
2. きのこの基本的な冷凍方法
冷凍加熱するときのこが美味しくいただけるとわかったところで、きのこの基本的な冷凍方法を紹介しよう。
冷凍保存のしかた
きのこは生のまま冷凍するのが鉄則だ。ほかの野菜の中にはいったん火を通してから、冷凍したほうがいいものもあるが、きのこは火を通すと水っぽくなり風味や味が落ちてしまう。また、きのこは湿気に弱いため水洗いも厳禁だ。汚れが気になる場合は軽く湿らせたキッチンペーパーで拭き取るようにしよう。冷凍する際には、料理にすぐ使えるように食べやすい大きさにカットするのがポイントだ。きのこの種類ごとにカットの仕方が異なり、しいたけは軸を根本から切り落としかさの部分だけを冷凍用保存袋に入れ密封して冷凍保存をする。シメジやエノキダケは石づきを切り落とし、手でほぐしてから冷凍保存するようにしよう。
3. 冷凍きのこの使い方
最後に、冷凍きのこの使い方を紹介する。
解凍の方法と調理法
冷凍したきのこは、解凍する時に水分と一緒に旨みが流れ出るため、凍ったまま加熱調理をするのがおすすめだ。どのようなレシピにも使えるため、凍ったまま鍋に入れてスープにするのもよし、米と一緒に炊飯器に入れて炊き込みごはんにするのもよし。ベーコンやウインナーと一緒にレンジで加熱するだけでも美味しくいただける。ただし、エリンギやシメジ、エノキダケなど歯ごたえのあるきのこは、冷凍加熱することであまり歯ごたえがなくなるため、食感を重視しない料理に使用するといいだろう。
結論
きのこを冷凍保存しておけば、解凍する手間もなく、いつでも好きな時に料理に使えて便利だ。冷凍すると味が落ちるイメージがあるが、きのこは冷凍することで旨みを増すため冷凍しない手はない。スーパーで安くなっている時にまとめて買って、冷凍しておくといいだろう。
(参考文献)
※出典1:医療法人社団 純正会 東大泉病院
広報誌 2020.09
※出典2:女子栄養大学
きのこは冷凍に適しているか