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真さば

サバの寄生虫に注意!アニサキスの特徴や食中毒の対策を解説

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)

鉛筆アイコン 2023年1月29日

サバを生食する際は、寄生虫に注意が必要だ。本記事では、サバに寄生しやすいアニサキスという寄生虫について、特徴や食中毒の症状、有効な対策を中心に詳しく解説していく。サバを安全に美味しく食べるためにも、ぜひチェックしておこう。

  

1. サバにつく寄生虫の正体

魚屋
サバやサンマ、サケなどの生魚を食べて体調を崩す原因の一つが、アニサキスという寄生虫による食中毒である。とくにサバなどの内臓に寄生することが多く、時間の経過とともに身の部分に移動するため、気付かずに食べてしまうと食中毒を起こす。アニサキスとはどのような寄生虫なのか、詳しく見ていこう。(※1~3)

アニサキス

サバなどの魚に寄生するアニサキスは、長さ2~3cm、幅0.5~1mm程度の大きさの幼虫で、半透明の白色をしている。直径4mm程度の渦巻き状に丸まって付着していることも多く、目視により発見できる。(※1~3)

2. サバの寄生虫による食中毒

腹痛
アニサキスの付着したサバを食べて起こす食中毒は、アニサキス症と呼ばれる。症状は胃に出るケースが多いが、腸に出ることもある。また、稀に消化器官外の症状やアレルギーを引き起こす場合もある。アニサキス症について詳しく見ていこう。(※1~4)

アニサキス症

アニサキス症の症状には個人差があるが、多くは急性胃アニサキス症といわれる。
  • 急性胃アニサキス症:みぞおちの激痛、悪心、嘔吐(食後数時間~十数時間後に発症)
  • 急性腸アニサキス症:下腹部の激痛、腹膜炎症状(食後十数時間~数日後に発症)
多くは食後8時間以内に発症するという。しかし、胃に症状が出なくても、上記のように時間が経過してから腸に症状が出る場合もあるため注意が必要だ。また、無症状だが胃の粘膜にアニサキスが潜り込む「緩和型胃アニサキス症」もあり、健康診断などで発見されるという。
消化管外アニサキス症では、消化管から腹腔内を経て大網や腸間膜、腹壁皮下などへ虫体が移動し、部位により異なる症状を起こす。また、アニサキスアレルギーの主な症状はじんましんだが、血圧降下、呼吸不全、意識消失など重症化するケースもある。(※1~4)
【診断方法や治療方法】
アニサキスの駆虫薬は開発されていない。そのため、症例の多い胃アニサキス症では、胃内を視鏡検査し、鉗子でアニサキスを摘出するのが基本的な診断を兼ねた治療法である。ただし、医療機関によっては摘出を行わず痛み止めの投薬で処置する場合もあるという。腸アニサキス症の場合は、症状に合わせた対症療法が行われる。アレルギーに関しては、IgE抗体の検出により診断される。(※1~4)

3. サバの寄生虫対策

グリルで焼きサバ
アニサキス症を防ぐには、サバなどの魚介類の取り扱い方が重要である。下記の方法で、食中毒を予防しよう。

基本的な注意ポイント

アニサキスは主にサバなどの内臓に寄生する。そのため、内臓は生で食べないのが基本中の基本だ。さらに時間の経過とともに内臓から身の部分に移動するため、鮮度のよいものを選ぶことも重要である。サバをまるごと調理する場合は、購入後すぐに内臓を取り除いておくのも効果的だ。(※1~4)

目視で確認する

アニサキスは、目視で確認できる大きさだ。半透明の糸状のものがサバの身に付着していないか、食べる前に確認し除去することで食中毒を予防できる。また、アニサキスはシストと呼ばれる巣のような袋に入っている場合もある。シストは半透明の粘膜だが、時間が経つと黒色になる。サバの身に半透明か黒っぽい不自然な円状のマークが見えたら、アニサキスが入ったシストの可能性が高い。(※1~3)

冷凍や加熱

アニサキスは、冷凍や加熱により死滅する。目視により除去する方法では取りきれない場合もあるため、確実に予防するには冷凍や加熱処理をしたほうが安心だ。ただし、不十分な冷凍や加熱では効果がない。下記の温度と時間を踏まえて、アニサキスを死滅させよう。
  • 冷凍の場合:-20℃で24時間以上
  • 加熱の場合:60℃で1分以上
いずれの場合も、中心部まで完全に凍結・加熱することが重要だ。とくに鮮度の落ちたサバの生食は危険なため、加熱調理してから食べよう。また、アニサキスはわさびや醤油をつけても死滅しない。(※1~4)

4. サバの寄生虫と正露丸

海と太陽とシマサバ
市販の胃腸薬として古くから使用されてきた「正露丸」が、アニサキス症に有効という情報がある。

症状緩和と殺虫効果

正露丸を飲むことでアニサキス症による腹痛などの症状が和らぐということは、漁業の船員を中心に古くから知られてきたという。さらに、2021年7月には、正露丸にアニサキス幼虫の殺菌効果があることが高知大学理工学部生物科学科の研究グループ(松岡達臣教授)により発表された。(※5)
ただし、特効薬として承認されているわけではないため、効果が確認されたからといって正露丸に頼りきるのは危険である。やはり、寄生虫の予防には十分な冷凍や加熱が確実だ。

結論

サバなどの魚介類にはアニサキスという寄生虫が付着していることがある。気付かずに食べると、激しい腹痛や嘔吐などの症状を招く危険性があるため注意が必要だ。サバの生食は新鮮なもののみにしよう。寄生虫は目視で確認しやすい大きさだが、除去しきれない場合もあるため、冷凍や加熱で死滅させるのが最も安心できる方法といえる。
(参考文献)

監修管理栄養士:佐々木倫美

経歴:管理栄養士取得後、介護施設、病院にて給食業務、栄養管理業務に携わる。現在病院にて主に透析患者への栄養指導に携わる傍ら、栄養・健康分野の記事監修を手掛ける。

監修医師:鈴木 幹啓先生

経歴:自治医科大学卒業後/三重県立総合医療センター/三重中央医療センター/三重病院/伊勢赤十字病院/紀南病院で勤務後、平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。株式会社オンラインドクター.comのCEOも兼務
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  • 更新日:

    2023年1月29日

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