- 餅(もち米製品):223kcal(※1)
- 白飯(うるち米):156kcal(※2)
- 餅を食べやすい大きさにする(小さく切る)
- 一度に口に入れすぎない
- ゆっくりとよく噛んでから飲み込む
- お茶や汁物で喉を潤してから食べる
- よく噛んでいない餅をお茶や汁物で流し込まないようにする
- ※出典1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こめ/[もち米製品]/もち https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01117_7
- ※出典2:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」穀類/こめ/[水稲めし]/精白米/うるち米 https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=1_01088_7
- ※出典3:日本消化器病学会雑誌第110巻第10号「餅により消化管障害(イレウス,潰瘍)をきたした 8 症例の検討―CT 診断の有用性―」p80~84 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nisshoshi/110/10/110_1804/_pdf
- ※出典4:消費者庁 年末年始、餅による窒息事故に御注意ください! -加齢に伴い、噛む力や飲み込む力が衰えてきます。小さく切って、少量ずつ食べましょう- https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_046/
- ※出典5:厚生労働省e-ヘルスネット 食品による窒息事故 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-001.html
- ※出典6:医療法人社団江正会 桜田内科 自分の目安を知って、美味しく食べて良いお正月を迎えましょう! http://sakuradanaika.web.fc2.com/eiyou-osyougatu.pdf
1. 餅の食べすぎによる身体への影響
餅の食べすぎによって出る可能性のある身体への影響について見ていこう。
太る可能性
餅は見た目はコンパクトだが、米が凝縮された食品のため、高カロリーな点に注意が必要だ。餅と白飯の100gあたりのカロリーを比較してみよう。
同じ重量でも、白飯より餅のほうが高カロリーである。白飯1膳(約150g)と切り餅2個(約100g)がだいたい同じカロリーということになる。とくに切り餅は見た目がコンパクトなため、食べすぎてしまいがちだ。しかし、カロリーを気にせずにたくさん食べてしまうと、カロリーの過剰摂取により太るリスクは高まる。
消化管障害
餅は、消化管障害の原因になる場合がある。とくに、腸閉塞を含むイレウスの症例報告が多い。腹痛が主な症状で、絶食などで治癒するケースもあるが、手術が必要となるほど重症化することもあるため、注意が必要だ。餅は消化しにくい食品である。それに加え、早食いや丸飲みにより咀嚼が不十分だと、消化管障害を誘発しやすい。(※3)
食べすぎは咀嚼不足の早食いになりやすいため、よく噛んで少しずつ食べることが大切である。
窒息事故のリスク
正月になると、高齢者の餅による窒息事故のニュースが毎年出るが、実際に1月(とくに三が日)に件数が増えているという。餅の窒息事故は高齢者に多いが、早食いや咀嚼不足はどの年代においても事故のリスクを高めてしまう。餅の食べすぎと窒息事故を防ぐには、下記の食べ方を意識するとよい。(※4、5)
2. 餅の食べすぎにならない量
餅にはとくに摂取量の上限が設けられていない。また、一般的には正月に消費量が増え、日常的に継続して食べられる食品ではない。そのため、どのくらいの量だと食べすぎになってしまうのかわかりにくい。そこで、餅を主食と考えると、適量の目安がわかりやすくなる。
1食の適量
一日に必要な摂取カロリーは、年齢や性別、体格、運動量によって個人差がある。1食あたり1膳(約150g)のカロリー(234kcal、※2)を基準とすると、ほぼ同カロリー(223kcal、※1)である切り餅2個(約100g)が1食の適量となる。
高齢者やダイエット中の人など摂取カロリーの必要量が少ない場合はより少なめ(1個~1個半)に、運動量の多い人や大柄の男性、若年層などカロリーがより必要な場合は、多め(2個半程度)に調整しよう。(※6)
3. 餅の食べすぎを防ぐ方法
餅をつい食べすぎてしまうという場合は、調理を工夫するのも一つの方法である。おすすめなのは、ほかの食材と組み合わせた食べ方だ。
具沢山の雑煮にする
野菜やきのこなどをたっぷりと入れた雑煮で餅を食べれば、餅を多く食べなくても満足感を得やすい。カロリーの低い具材をメインで使ったり、汁を多めに盛り付けたりと、カロリーの調整もできる。鶏肉などを加えれば、旨みも出て薄味でも美味しく食べられる。
餅の食べすぎを防ぎたいなら、餅のみを食べるのではなく、料理の材料の一つとしてほかの食材と一緒に食べるとよいだろう。
結論
餅は白飯よりも高カロリーなため、白飯の2/3程度の量を目安にするとよい。食べすぎると、カロリーの摂りすぎで太るリスクが高まる。また、早食いが伴いがちなため、腸閉塞や窒息事故にもつながりやすく危険だ。餅を食べる際はよく噛んで少しずつ食べよう。食べすぎを防ぐには、具沢山の雑煮など、料理の食材として使うのがおすすめである。
(参考文献)
監修管理栄養士:佐々木倫美
経歴:管理栄養士取得後、介護施設、病院にて給食業務、栄養管理業務に携わる。現在病院にて主に透析患者への栄養指導に携わる傍ら、栄養・健康分野の記事監修を手掛ける。
監修医師:中澤 佑介先生
経歴:患者さんに近い立場で専門的医療を提供したいという想いから、泌尿器科クリニック(泌尿器科/内科)を開院。2023年5月 金沢駅前にメンズヘルスクリニックを開院予定。
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医