目次
- できあがったら、別の容器に入れて急冷する
- 冷えたら冷蔵庫で保存する
- 酸っぱいにおいがする
- どろっとしている
- 白いカビが浮いている
- 腐敗臭がする
- ※1出典:東京福祉保健局「知って防ごうカンピロバクター食中毒」 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/campylo/report2a.html
1. 鶏肉のゆで汁は飲んだら危険?

鶏肉をしっとりゆでるためには、火を通しすぎないことが重要だ。そこで低温調理をしたり、余熱を活用して仕上げたりするレシピが増えている。このゆで鶏を作ると当然ゆで汁ができるが、これには食中毒の危険があるという噂がある。ここではまずその真相について解説をしていこう。
鶏肉のゆで汁は旨みたっぷり!危険はない
結論からいうと、きちんと調理された鶏肉のゆで汁に危険はない。むしろ、鶏肉の旨みが凝縮したスープなので捨ててしまうのはもったいない。そのままスープにするのはもちろん、料理の味の要にもなってくれる存在だ。
低温調理の鶏肉のゆで汁は注意が必要
しかし、すべての鶏肉のゆで汁が安全だとは言い切れない。とくに危険を伴うのは、低温調理や余熱調理をした場合のゆで汁だ。これには食中毒の危険が潜んでいる。
鶏肉を食べて食中毒を起こすことがある。このときによく聞くのがカンピロバクターだ。カンピロバクターは食中毒の原因菌のひとつで、肉だけでなく牛や豚の消化器官にも生息している。とくに鶏肉の生食や加熱不足が原因でカンピロバクター食中毒になることが多いという。(※1)
もし低温調理で加熱不足を招いた場合は、ゆで汁にもこのカンピロバクターがいる可能性が高くなるのだ。
2. 鶏肉のゆで汁で食中毒の危険を減らすコツ

間違った方法でゆで鶏を作った場合に食中毒になる危険性がある。この情報が先行し、鶏肉のゆで汁が危険と捉えられるようになったと考えられる。しかし正しい方法で行えば、鶏肉、そしてゆで汁で食中毒を引き起こす危険を回避することができるともいえるだろう。ここでは、食中毒を回避するコツを見ていこう。
コツ1:中心部が65℃以上になるよう加熱する
カンピロバクター菌は65℃以上で数分加熱すれば、大方死滅する。食品用の温度計を使って中心部の温度を測るのがもっとも正確だ。もしない場合は、見た目で判断するほかない。見た目の判断基準は、肉の中心部が生のピンク色からしっかりと白色に変わっているのが目安だ。(※1)
コツ2:熱伝導のいい厚手の鍋を使う
低温調理や保温調理の場合は、その環境によって大きく状況が変わってしまう。例えば、冷蔵庫から出したばかりの冷たい鶏肉を薄手の鍋でゆでた場合と常温に戻した鶏肉を厚手の鍋でゆでた場合では、危険度がかなり変わってくる。もちろん、後者の方が安全だ。
そのほか、室内の温度やお湯が少ないなどにも注意したい。
コツ3:低温調理器を活用する
設定した温度をキープしてくれる低温調理器を活用すると安心してゆで鶏を作ることができる。こちらは加熱不足がないだけでなく、しっとり感をキープしてくれるところも嬉しい。
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3. 何日から危険?鶏肉のゆで汁の日持ち

正しい方法で作ったゆで鶏とそのゆで汁は、一体いつまで日持ちするのだろうか?せっかくならば、無駄にせず、美味しく使い切りたい。ここでは鶏肉のゆで汁の日持ちについて詳しく紐解いていこう。
冷蔵なら1~2日が目安
この2点をしっかり守れば、鶏肉のゆで汁は1~2日ほど日持ちする。食べる場合は必ず、再加熱、再沸騰させてから食べること。
傷んで危険な鶏肉のゆで汁の見分け方
適切な保存方法でない場合は、1~2日で腐ることもある。
腐っているかどうかは、においと見た目で判断する。上記に当てはまる場合は、食べるのをやめること。怪しいと思ったときは、残念だが食べない選択をすべきである。
また、素手で触れるなどの行為も腐敗を進めることになるので注意が必要である。
4. 鶏肉のゆで汁の活用方法

きちんとした方法で作り、冷蔵したゆで汁は活用の幅がかなり広い。味の決め手になる嬉しい存在だ。ここでは鶏肉のゆで汁の活用方法をご紹介していこう。
即席鶏ゆで汁スープ
もっとも簡単なゆで汁の活用方法はやはりスープであろう。卵を溶いたり、春雨やわかめを入れたりしても旨い。中華スープの素、鶏がらスープの素をお湯に溶いたものをイメージすると使いやすい。
鶏塩うどん
ゆで汁を温め、塩、胡椒、ごま油で調味して、ゆでたうどんにかければ、あっさり美味しい塩うどんが完成する。ゆでた鶏やネギをトッピングするのもおすすめだ。
海南鶏飯
シンガポール風のチキンライス=海南鶏飯は、ゆで汁がキモとなる料理だ。ジャスミンライスをゆで汁で炊き上げ、ゆで鶏と一緒に食べるメニューだ。パクチーの根っこや生姜のスライスを乗せて炊くとより風味が増す。タレをいくつか用意すると本格的。
結論
鶏肉をゆでるときに出るゆで汁は旨みの宝庫。さまざまな料理に活用できる嬉しい存在だ。そんなゆで汁は、正しい方法で作れば、1~2日は冷蔵庫で保存することができる。ただし、中心部分が65℃以下の場合はきちんと火が通っていない可能性があり、結果として食中毒を引き起こしかねない。きちんと準備をし、適切に鶏肉をゆで、ゆで汁を作ることが肝心だ。
(参考文献)
監修管理栄養士:児玉智絢
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士免許を取得。食品メーカーの商品開発などを経験後、フリーランスとして栄養・健康分野の記事監修を中心に活動中。
監修医師:鈴木 幹啓先生
経歴:自治医科大学卒業後/三重県立総合医療センター/三重中央医療センター/三重病院/伊勢赤十字病院/紀南病院で勤務後、平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院。株式会社オンラインドクター.comのCEOも兼務