1. カレーは日持ちしない食べ物
カレーは簡単に作れて美味しく、忙しい日などには助かる料理でもある。
しかし、カレーは日持ちしない食べ物でもあるのだ。作り置きをして数日食べることも可能だが、鍋のまま常温で保存するのは大変危険で、菌が繁殖しやすくなってしまう。
できるだけ早く食べる
カレーは「寝かせると美味しくなる」といわれている。「何回か火を通せば大丈夫だろう」と思われる方も多いはずだ。しかし常温だと冬場でも1日程度、夏場や湿度が高い時期の常温保存は少しの時間でも非常に危険で、ウェルシュ菌が繁殖し食中毒になるおそれがあるのだ。(※1)カレーを長期保存する場合は、真空パックや保存容器に入れて冷蔵保存をし、その日のうちに食べるか、できるだけ早めに食べることをおすすめする。
食中毒を防ぐには
カレーは放置することにより「ウェルシュ菌」が増殖する恐れがあるといわれている。ウェルシュ菌とは自然界に存在する菌のことで、50度以下になるとウェルシュ菌が繁殖しやすく、10度以下だと軽減される。熱に強いため火を通したくらいでは死滅することはなく、長時間煮込んでも鍋の中で生き続けることができるようだ。(※1)日持ちしないカレーは温かいままふたをしない方がいいだろう。中心が温かいまま保存することによりウェルシュ菌が繁殖しやすい環境ができるのだ。粗熱をとって冷蔵・冷凍保存することおすすめする。
2. カレーを日持ちさせる保存方法
カレーを長期保存し美味しく食べるための正しい保存方法を紹介する。
保存の仕方とポイント
カレーを日持ちさせるには、保存の仕方が重要である。ウェルシュ菌の繁殖を防ぐためには、急速に冷やして冷蔵・冷凍保存をするのがポイントだ。保存の仕方で日持ちする期間も変わってくる。正しく保存することが大切である。
ジップ付き保存袋で保存する場合は、密封度で保存期間が変わってくるだろう。できるだけ平らにし、空気を抜いてから保存することをおすすめする。小分けにすることによって場所を取ることもなく、冷蔵・冷凍どちらの場合でも湯煎だけで温め直せるのもメリットだ。
保存容器を使用する場合は、浅めのもので密封度が高い方がよりよい。プラスチック製の容器は色移りやにおい移りがあるので、ガラス製の容器を選ぶとお手入れもらくになるだろう。ガラス製の容器なら電子レンジで加熱できるため、冷蔵・冷凍どちらでもお皿に移すことなく温め直せるのもいいところだ。また、熱いままだとウェルシュ菌が繁殖しやすいので冷めてからふたをしめるのがいいだろう。
3. カレーの日持ちの目安
カレーを冷蔵保存するか冷凍保存するかによっても、日持ちする日数が違うのをご存知だろうか。密封度が高いほど日持ちするなど、保存方法によって期間が違うのだ。食中毒を起こさないためにも正しい保存方法を知ることが重要である。
冷蔵保存と冷凍保存
日持ちしないカレーを長く保存するための冷蔵保存・冷凍保存のコツを紹介しよう。
冷蔵保存する場合は鍋のまま保存するのは避けたほうがいいだろう。鍋は、密封度も低くウェルシュ菌が繁殖しやすくなる。すぐに食べるのであれば、密封度が高い容器に移し替えて保存することをおすすめする。冷蔵保存では長ければ2~3日程度日持ちするが、できるだけ早く食べるといいだろう。
冷凍保存する場合、多少風味は落ちるが約1カ月は日持ちするだろう。美味しく食べるには1カ月以内に食べることをおすすめする。冷凍する際は、水分が抜けやすいじゃがいも・にんじんなどの根菜類は取り除くとよい。冷凍することにより、食感が失われて美味しくなくなってしまうのだ。また、賞味期限を忘れないためにも、日付を記載しておくと安心だ。
結論
食卓によく出るカレーは、私たちが思っているより日持ちせず、食中毒のリスクが高い食べ物ということがおわかりいただけただろうか。カレーを日持ちさせるにはウェルシュ菌のことも考慮し、できるだけ放置せず冷蔵・冷凍保存するのがよさそうだ。安全に美味しく食べるためにも、調理後の保存方法には注意が必要である。
(参考文献)
(※1)農林水産省
ウェルシュ菌(細菌)[Clostridium perfringens]:農林水産省
監修管理栄養士:児玉智絢
経歴:女子栄養大学栄養学部を卒業後、管理栄養士免許を取得。食品メーカーの商品開発などを経験後、フリーランスとして栄養・健康分野の記事監修を中心に活動中。