目次
1. ヒラメとカレイの違いを向きで見分ける

ヒラメとカレイの代表的な見分け方は、顔の向きである。どちらも平べったい体形で、目が片方に寄っているという特徴は共通しているが、目を上にして置くとそれぞれ向きが異なるため簡単に見分けられる。
左ヒラメに右カレイ
一般的には、目を上にしたときに顔が左を向くのがヒラメ、右向きなのがカレイとされる。そのため、「左ヒラメに右カレイ」と覚えている人も多い。ただし、すべてのヒラメとカレイが該当するわけではないため、注意が必要だ。日本近海に生息するヌマガレイはカレイでも左向きである。また、ボウズガレイには左向きと右向きのどちらも存在する(※)。
このような例外もあるため、確実にヒラメとカレイを見分ける方法とはいえない。あくまでも一般的な見分け方として覚えておくとよいだろう。
2. ヒラメとカレイの違いを口で見分ける

ヒラメとカレイを確実に見分けたいなら、顔の向きではなく口の部分を見るとよい。食べるエサに違いがあるため、口の発達の仕方も異なるのだ。ヒラメとカレイの口の形にはどのような違いがあるのだろうか。
口の形
ヒラメの口は大きく、鋭利な歯が生えている。一方、カレイは歯が発達していないおちょぼ口をもつ。
ヒラメのエサは、イワシやアジなどの小魚である。海底に身を潜め、小魚を自ら補食するために口や歯が発達した。カレイの口や歯が発達していないのは、エサがエビや虫など小さな生き物で、大きな口や鋭い歯を必要としないからだ。
このように補食対象が異なるという生態の違いにより、ヒラメとカレイの口の形には対照的な特徴が見られる。顔の向きと異なり例外がないため、覚えておくと便利だ。
3. ヒラメとカレイの食感の違い

ヒラメとカレイはいずれも白身魚で、切り身にすると見た目はほぼ同じだ。しかし、味と食感には違いがある。作りたい料理や好みに合わせて選び分けるために、それぞれの特徴をおさえておこう。
味と食感
ヒラメはさっぱりとした味と、弾力がありコリコリとした食感が特徴である。小魚を補食するために瞬発力や筋肉が発達し、身が引き締まっているからだ。一方カレイの特徴は、脂のりがよくコクのある味と、やわらかい食感である。ヒラメとは真逆で常に海底でじっとしているため、筋肉質ではなく脂が蓄えられているのだ。
使い分け方
上記のようにヒラメとカレイの味や食感は大きく異なる。美味しく食べるには、それぞれの特徴を生かした調理方法がおすすめだ。
ヒラメは刺身や寿司、カルパッチョなどで生食されるほか、ムニエルなどに向く。加熱すると身がやわらかくなり、上品な旨みも楽しめる。カレイはヒラメと比べるとややクセがあるため、加熱調理して食べるのが一般的だ。煮付け、干物、唐揚げ、フライなどにすると美味しい。
結論
ヒラメとカレイの一般的な見分け方は顔の向きだが、例外もある。確実に見分けたいなら、口の形の違いに注目するとよい。ヒラメとカレイは補食対象が異なるため、口や歯の発達の仕方が違うのだ。また、切り身にするとさらに見分けにくくなるが、味や食感にも大きな違いがある。筋肉質でさっぱりした味のヒラメは生食やムニエルに、やわらかくコクのあるカレイは煮付けなどの加熱調理に向く。それぞれの違いを踏まえて上手に使い分けよう。
(参考文献)
※出典:公益社団法人 日本農芸化学会「化学と生物(Vol. 45, No. 7, 2007)」生物コーナー 左ヒラメに右カレイの謎に迫る