1. あんこうの肝を下ごしらえする
海底に生息するあんこうは、鱗がなくヌメリの強い魚。水洗いだけではどうしても落としきれない汚れや臭みがあるため、食べるときには下ごしらえが欠かせない。あんこう鍋でもまさに味の肝となる、肝の下ごしらえから紹介しよう。
旨みを引き出す方法
あんこうの下ごしらえで判断が難しいのが血抜きだろう。基本的には表面上の目に見える部分だけの処理で大丈夫。血は雑味となり旨みを左右するので、身がほぐれない程度の力を加えて押し出そう。串などを使って数か所穴を開けると血が出やすい。薄皮を取り除いたら水で洗い流そう。酒100ml、水100ml、塩小さじ2/3をいれてよくかきまぜたボウルに肝を入れて5分ほどおく。塩で下味をつけておきたければ30分ほど浸すとよい。
2. あんこうのエラを下ごしらえする
あんこうの下ごしらえで次に気になるのがエラだ。コリコリとした鶏の軟骨のような食感が楽しめるので、唐揚げにするのもおすすめ。あんこうを美味しく食べるためにも引き続き下ごしらえの血抜き作業を根気よく試みてほしい。
ヌメリと汚れをしっかり落とす
あんこうの赤いエラは鮮度がよい証拠ではあるが食べたときの臭みの原因となるので、下ごしらえでは血抜きは真っ白になるまでするのが目安だ。包丁の背や刃先、歯ブラシを使ってガシガシとそぎ落とすようにしごこう。
3. あんこうの汚れを無くすことがポイント
鮮魚店やスーパーで買えるあんこうの鍋用セットはぶつ切りしてほぼ下ごしらえが終わっているものが多いが、どうしても血や汚れが残っている場合がある。最後まで美味しく食べるためにはあんこうのヌメリや血などの汚れを取り除くのが下ごしらえのポイントなので、注意して掃除しよう。
血管や膜を取り除く
肝は表面の血抜きだけでも大丈夫だが、血管がついている場合もある。その場合は中央の太い血管を包丁で取り除き、血の塊があれば刃先で切り込みを入れて指でしごくと取り除ける。
あんこうの皮、ヒレ、卵、胃などの部位の下ごしらえでは、ヌメリや血管、膜を同じように包丁でしごいて取り除き、軽めに塩をふってしばらく置くと臭みが取れる。
4. あんこうの下ごしらえと湯引き
ここまでくればゴールは近い。食べ方によってあんこうの下ごしらえの方法も変わってくるので、作りたいレシピを確認しよう。とくにあんこう肝の下ごしらえは意見の分かれるところ。
みじん切りにして油をひかずにフライパンで軽く炒めて酒を少々加えると、あん肝ペーストになる。肝を溶かしたい派はこれで鍋スープをつくるとあんこうの旨みとコクがプラスされる。
そのまま肝を鍋に入れる場合は、ほかの食材を煮立てた最後に葉物野菜と一緒に加えて3分煮るとよい。肝そのままを味わえる食べ方だ。
下処理をしてようやく湯引き
別の鍋にたっぷりと湯を沸かし、肝以外のあんこうをすべて入れよう。さっと数秒くぐらせる程度で身の表面が白くなるので、お湯から上げたら冷水で冷やす。熱が取れたらザルにあげて水気をとっておくと水っぽくならない。この時点でまだ表面に汚れがついているかも確認しておこう。あんこうの下ごしらえもここまで終えればあとは土鍋に加えるだけだ。
結論
冬の味覚の代表格、あんこう鍋に欠かせない、あんこうの下ごしらえについて解説した。手間がかかるイメージの下ごしらえだが、ヌメリや血などの汚れの取り方も包丁でしごくことがメインなので、意外と手を出しやすい。鍋以外の食べ方にも応用できる方法なので、この冬は自分好みのあんこうの食べ方にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
監修管理栄養士:佐々木倫美
経歴:管理栄養士取得後、介護施設、病院にて給食業務、栄養管理業務に携わる。現在病院にて主に透析患者への栄養指導に携わる傍ら、栄養・健康分野の記事監修を手掛ける。