1. みかんにカビが生える原因
某ドラマの名言「腐ったみかん」からもわかるよう、1つにカビが生え始めるとどんどんと周りを侵食していくのが、みかんに生えるカビの怖いところ。ここではまず、みかんにカビが生える原因について調査していこう。
温度と湿度
カビは生き物である。胞子から増える性質があり、これが増えると人間の目に映るようになる。胞子とは植物でいうところの種に当たるものである。カビが生きる条件は温度、湿度、栄養の3条件がそろった環境だ。箱入りみかんの場合は、この環境が揃いやすい。とくに箱の底部分は通気性が悪く、湿気が溜まりやすいため、注意が必要である。
内皮の破れ
箱入りみかんは、前述の通りそもそもカビが生えやすい。箱の底部分は湿気の問題だけでなく、圧力がかかるという意味でもカビが生えやすい。押されることで内皮が破れたり、傷がついたりして、そこから果汁が染み出してくる可能性があるのだ。もちろん果汁は水分なので、これもまた湿度が上がる原因となる。さらに果汁はカビの栄養にもなりかねない。
柑橘の有する性質
そもそも柑橘類に発生しやすいカビがあるということも、みかんにカビが生えるひとつの原因といえるだろう。さらにみかんには、この青カビの成長を促す「プロリン」というアミノ酸が含まれている。このことから、カビが生えやすいのだ。
2. みかんのカビの正体
みかんはそもそもカビが生えやすい性質をもつ。さらに箱入りみかんは環境的にカビが生えやすいことがわかった。ここではみかんに生えるカビの種類についてリサーチをしていこう。
青カビの種類
みかんに生えるカビは、ペニシリウム・ディジタータムまたはペニシリウム・イタリカムと呼ばれる青カビの一種である。表面を覆う白い粉や緑の粉がこれらだ。持ち上げると粉が舞い上がることも多い。(※1)
3. みかんにカビが生えたときの対処法
注意していても、みかんにカビが生えてしまうこともある。ここではカビが発生したみかんを発見したときの対処法、さらにはカビを生えにくくする対策について掲載していこう。
カビが生えたものは捨てる
残念ながらカビが生えたみかんは、カビ部分を取り除いたとしても食べることはできない。廃棄するのが正解である。拡散しないようにビニール袋に入れて、しっかりと封をして捨てることをおすすめする。さらに持ち上げるだけで舞い上がるので、カビの処理をしたあとは、よく手を洗うこともお忘れなく。
カビが移っていないか確認する
みかんにカビが生えるとその周りにカビがどんどんと広がる。このため、カビが発生したみかんを1つ発見したら、即座に廃棄するのと同時に周りにカビが広がっていないか確認する必要がある。とくに箱入りみかんは注意が必要である。目には見えなくてもカビが周りに付着している可能性があるので、一度軽く表面をゆすぐか拭いて、しっかりと水気を拭き取ってから保存するのが正解である。
カビを生えにくくする対策
箱入りのみかんやビニール袋に入れたままのみかんは、どうしてもカビが生えやすい。箱入りみかんの場合は面倒でも、一度すべてを出し、傷物や柔らかくなっているものがないかを確認し、丸めた新聞紙を活用して、潰れないように箱に戻すといい。ビニール袋に入っているみかんは、ビニール袋から取り出し、通気性のいい場所で保管するのがおすすめである。
結論
みかんに生えるカビは青カビの一種だ。湿度が溜まりやすいところや傷ついたところから発生することが多く、カビが生えたものは食べることができない。箱入りみかんの場合は、とくに底部分にあるみかんに注意が必要である。湿度と温度が低く、通気性のいい場所に置くこと、重さで潰れないよう空間を上手に使って収納するなどの工夫をして、みかんにカビが生えるのを防ごう。
(参考文献)
※1出典:東京都福祉保健局「ペニシリウム」
監修管理栄養士:渡邉里英
経歴:大学で栄養学を学び、大学院卒業後、医学関連出版社に就職。管理栄養士としての知識と医学雑誌の編集経験をもとに、オリひと食料理記事の監修に至る。