目次
- 1. 【左利きの割合】日本と世界でこう違う
- 2. 左利きと右利きは遺伝なのか
- 3. なぜ現代の日本人に左利きの割合が増えたのか
- 4. 左利きの人は右脳が発達するのか
- 5. スマホは右手・左手どちらで持つ?
- 6. 左利きが一定数存在する理由
- 全年代:右手35.9%、左手57.0%、両手7.1%
- 10代:右手40.5%、左手42.9%、両手16.7%
- 20代:右手49.2%、左手42.9%、両手7.9%
- 30代:右手48.4%、左手47.6%、両手4.0%
- 40代:右手22.7%、左手72.7%、両手4.7%
- 50代:右手18.8%、左手78.9%、両手2.3%
- 日本人のスマホの持ち方は独特?−国際比較調査でみるスマホ操作の国別傾向− - 知るギャラリー by INTAGE
https://gallery.intage.co.jp/smartphone-operation/
1. 【左利きの割合】日本と世界でこう違う

まずは純粋に左利きの割合から見ていこう。世界各国と日本との比較も交えながら解説する。
【左利きの割合】世界人口に占める割合は約10%
正確に調べるのは不可能なのであくまで目安だが、世界人口のうち左利きの割合は約10%といわれている。つまり10人に1人は左利きということだ。だが世界各国で見てみるとバラつきがある。面白いのは、母数(人口)と左利きの割合は比例しない点だ。
【日本】左利きの割合は約11%
日本人は人口の約11%が左利きといわれている。世界人口における割合よりもやや高めだ。しかし第二次世界大戦前は、左利きを右利きに変える文化が根づいていた。このため現在よりも低い約6.5%であった。
箸文化の日本では、左利きの人と並んで座ったときに箸を持つ手がぶつかること、集団意識が強く人と違うのを嫌う傾向が強かったことなどが背景とされている。
【アメリカ】左利きの割合は約1.8%
アメリカの左利きの割合は1.8%で、世界人口における割合よりもかなり低い。一方、両利きは28%と高い。アメリカでは左利きを右利きに変えることは子どもに悪影響を及ぼすと考えられており、無理に利き手を変えるよりも両利きに育てる方針を取ったのかもしれない。
【イタリア】左利きの割合は約5.8%
イタリアの左利きの割合は約5.8%。アメリカと同じで世界統計よりも低く、両利きは約30%とこちらも高い。カトリックでは左利きは禁忌とされており、右利きや両利きに変える人が多いとされている。
【台湾】左利きの割合は約3%
台湾の左利きの割合は約3%だ。イタリアや世界統計よりも低いのは、戦前の日本のように右利きに変える文化があるためではないかと指摘されている。
【香港】左利きの割合は約9.7%
香港の左利きの割合は約9.7%で世界統計に近い。香港はイギリスに占領された歴史を持ち、左利きに関しても欧米の思想が根づいている。台湾と違い無理に利き手を変えようとしないからではないかといわれている。
2. 左利きと右利きは遺伝なのか

右利きと左利きがいる理由はなにか。また左利きになる特別な要素などはあるのか。そんなところを少し掘り下げていこう。
遺伝の要素がないとは言い切れない
右利きや左利きを決定づける要素はわかっていない。だがI.C.McManusとM.P.BrydenMcManusの調査結果(1992年)をひとつ紹介しよう。
それによれば、両親が右利きの場合9.5%の確率で、左利きの場合26.1%の確率で、右利きと左利きの場合19.5%の確率で、それぞれ左利きの子どもが生まれるといわれている。これを見ると遺伝的な要素がゼロとは言い切れないだろう。
3. なぜ現代の日本人に左利きの割合が増えたのか

先述のように、日本では第二次世界大戦前まで左利きの割合が低かった。ではなぜ、現代の日本人には左利きの人が増えたのだろうか?
多様性を受け入れる時代の流れが大きく影響
現代の日本人に左利きの人が多い理由として、多様性を受け入れる時代に変遷したこと、左利き用の道具などが増えてきたことなどが挙げられる。また左利きを個性として尊重するようになったことなども要因だろう。一言でいってしまえば時代の流れということか。
男女比は?
とある調査で現在の日本人の左利きの割合を男女別に比較したところ、男性3.6%に対して女性は2.7%であり、男性のほうが若干多かったという結果が出ている。
4. 左利きの人は右脳が発達するのか

よくいわれるのが「左利きは天才」「器用」など。実際、左利きの人は右脳が発達しているといわれることもあるが、それについても考えてみよう。
そもそも右脳の役割とは
右脳は記憶力・想像力・ひらめきなどの機能を持つ。五感や感情のコントロールに深く関わっており、見たもの・触れたものなどを認識したり、感動を覚えたりするのも右脳が関係している。
左利きの人は右脳をよく使うことがわかっている
左利きの人はよく右脳を使うことが分かっている。人間は胎内にいる間テストステロンという男性ホルモンを分泌する。右脳の発達を促すホルモンだ。上述のように男性のほうが左利きの割合が多いのには、こうしたことも関係していると考えられる。
5. スマホは右手・左手どちらで持つ?

インテージグループのdataSpring社が実施したアンケート調査の結果を紹介しよう。より詳しい調査結果は記事の最後にリンクがあるのでそちらをご確認いただきたい。
日本人のスマホを持つ割合(年代別)
ご覧のように10〜30代まではおおよそ半々だが、40代以降は一気に左手の割合が増加する。「右手に持って左手で操作する」「左手に持って左手で操作する」など、操作方法で変わってくると思われるが、たとえば左利きの人は野球のグローブを右手にはめるように、右手だと「つかむ」安定感があるなどの影響も考えられる。
6. 左利きが一定数存在する理由

世界人口の約10%が左利きである事実は、考古学上50万年も前から変わらないとされてきた。古い遺体の骨密度や腕の長さ、左利き用の道具や工芸品からも、昔から左利きが一定数存在していたことがわかっている。最後に、なぜ左利きの人が一定数存在するのかについてお話しよう。
遺伝や家庭環境、人間同士の競争、協調などの「バランス」
ノース・ウェスタン大学のDaniel M. Abramsは、左利きが一定数存在する理由として「遺伝や家庭環境、人間同士の競争と協調のバランス」を挙げている。上述のように右利きか左利きになる割合は親の利き手に影響を受けると考えられている。
また野球のトップ選手の約半数は左利きというデータもある。これは、敵と競争する格闘技やスポーツ競技の場合、左利きのほうが不意をつく攻撃に有利だからではないかと指摘されている。
結論
世界人口に占める左利きの割合は約10%。遺伝や文化、家庭環境や人間同士の競争、そして協調などのバランスで変わるため、その割合は国別に異なる。これが、単純に母数(人口)とは比例しない理由であろう。いままでなんとなく不思議に思っていた左利きの不思議も少し解消されたのではないだろうか?
(参考文献)
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