1. ウールとは?100%は洗濯できない?
ウールとは?
一般的にウールというと羊毛、毛というとカシミヤやアンゴラなどを指すことが多いが、本来、ウールは動物繊維の総称、アンゴラ、カシミヤなどを獣毛と呼ぶ。だが、いずれにせよ動物繊維に変わりはないため、基本的な洗濯方法も同じと思っていい。弾力性や保温性に優れており、シワになりにくく暖かいことなどから、秋冬モノの素材として人気がある。なお、ウール製品にはコート、ニット、セーター、マフラーなどがあるが、ここではそれらに共通する洗濯方法を解説していく。
ウール100%は洗濯できない?
「ウール100%」というと、デリケートなモノであるイメージだ。自宅で洗濯できるのか?できるとしたらどんな方法で洗濯するのか?など気になる方も多いだろう。答えを言えば、ウール100%の中には、洗濯できるものとできないものがある。それは、洗濯表示を見れば判断できる。
洗濯表示の見方
ウール素材の衣類の洗濯表示を見てみよう。桶のようなマークに波線が引かれ、中に数字が書いている場合は、その数字(水温)を上限に洗濯機で洗える。一方、数字ではなく手のイラストがあれば手洗い可能ということだ。×が書かれていれば、水洗いはできない。
そのほか、丸の中にPやFと書かれていたらドライマーク。ドライクリーニングが可能という意味だ。洗濯表示について詳しくはこちらの記事でも解説しているので、併せてチェックしてほしい。
そのほか、丸の中にPやFと書かれていたらドライマーク。ドライクリーニングが可能という意味だ。洗濯表示について詳しくはこちらの記事でも解説しているので、併せてチェックしてほしい。
2. ウールの洗濯洗剤の選び方
ウール素材の衣類を洗濯する場合の洗剤の選び方も覚えておこう。洗剤によって仕上がりが変わってしまうことがある。せっかく高いお金を出して手に入れたウール素材の衣類を台無しにしないためにも、洗濯洗剤選びは重要だ。
ウールの洗濯洗剤の選び方
ウールを洗濯するなら「中性洗剤」を選ぼう。分からなかったら、市販されているオシャレ着専用の洗濯洗剤がおすすめ。オシャレ着専用の洗濯洗剤は中性なので、ウールも洗える。
3. ウールの洗濯で失敗を防ぐためのコツ
ウールの洗濯方法の前に、失敗を防ぐためのコツを覚えておいてほしい。これらを踏まえて、洗濯方法をチェックしていただきたい。
お湯はNG
ウールを手洗いで洗濯する際のポイントは水温。お湯は使わないのが鉄則だ。色落ちや縮むといった失敗を防ぐため、30℃以下のぬるま湯で優しく洗うことが重要。一方、洗濯機を使う場合や、手洗いでもすすぎをする場合は水を使う。
柔軟剤を使う
中性洗剤で日常的な汚れは落とせるが、ウール特有のふんわり感を蘇らせるには、柔軟剤を使った方がいい。部屋干しの生乾きの臭い対策としても有用だ。オシャレ着専用の柔軟剤入りの中性洗剤があれば、ぜひ試してみてほしい。
色落ちチェック
目立たない場所に洗剤の原液を少量つけ、5分程度置いてから白いタオルで軽く押さえる。もしくは、白いタオルに洗剤の原液を含ませ、ウールの衣類の目立たない場所を軽く数回たたく。タオルに色が移った場合、色落ちする可能性がある。ドライクリーニングが可能なら洗濯は控えてクリーニング店に任せる、クリーニング不可なら洗剤を変えることを検討しよう。
4. ウールの洗濯方法を解説
ウールの洗濯で失敗を防ぐコツを把握していただいたところで、次はいよいよ、ウール素材の衣類の洗濯方法を解説する。基本的に、洗濯は手洗いがおすすめだが、ここでは洗濯機を使った洗濯方法もお伝えする。なお、セーターをはじめニット、コート、マフラー、ウール100%の衣類なども、同じ手順で洗濯可能だ。
ウールを手洗いする方法
- 桶に30℃以下のぬるま湯をはり、洗剤をよく溶かす
- 袖口、襟など汚れた部分が外側にくるように畳み、衣類を浸していく
- 優しく手早く、手のひらで「沈める」「持ち上げる」を繰り返す
- 畳んだまま洗濯機で30秒程度脱水する
- 桶にキレイな水をはって手のひらで「沈める」「持ち上げる」を繰り返してすすぐ
- さらに水を替えてもう一度すすぐ
- 洗濯機で30秒程度脱水する
手のひらで優しく沈め、手を衣類の下に入れたら浮き上がらせるように持ち上げるのがコツだ。これを20〜30回を目安に行う。柔軟剤と洗剤が分かれている場合、2回目のすすぎの際に柔軟剤を投入しよう。
ウールを洗濯機で洗う方法
- 袖口、襟など汚れた部分が外側にくるように畳み、洗濯ネットに入れる
- 中性洗剤と柔軟剤を投入する
- オシャレ着コース(なければドライコース)で洗濯する
以上だ。汚れが目立つ場所があれば、洗濯ネットに入れる前に中性洗剤の原液を少量含ませ、指で押さえるなどして馴染ませておこう。
ウールの干し方
- 脱水が終わったらすぐに取り出す
- 縦1回、横1回に軽く畳み、手でパンパン叩く
- 平干しハンガーに広げる
- 陰干しする
平干しハンガーは事前に用意しておきたい。もし手元にない場合は、ピンチハンガーの上や、浴槽のふたなどでも代用できる。紫外線によって変色したり黄ばんだりしてしまうため、必ず陰干しすると覚えておこう。
5. ウールが洗濯できない場合は?
洗濯機での洗濯や手洗いができないウールの場合、かなりデリケートだと思って無理に洗濯することは避けよう。ウールの寿命が縮む原因になってしまう。ただ、洗濯できないからといってそのまま着続けるわけにもいかないので、洗濯不可のウールはクリーニング店などプロにお任せしよう。
6. ウールを洗濯したら縮むのはなぜ?対処法も紹介
ウールが縮むのはなぜ?
ウールを洗濯するとなぜ縮むのだろうか?答えはウールのスケールの特性にある。スケールとは、ウールの表面にあるうろこ状のもので、洗濯などで水に濡れると開く性質がある。開いた状態でスケール同士が絡まり合うと収縮し、固くなってしまう。これをフェルト化と呼ぶ。
ゴシゴシ洗濯してこすれたり、高温のお湯にさらされたりして開いたスケール同士がフェルト化することで、ウールの衣類自体が縮むというわけだ。洗濯表示や洗い方は、ウールにとってとても重要になってくる。
ゴシゴシ洗濯してこすれたり、高温のお湯にさらされたりして開いたスケール同士がフェルト化することで、ウールの衣類自体が縮むというわけだ。洗濯表示や洗い方は、ウールにとってとても重要になってくる。
ウールが縮んだ場合の対処法
スチームアイロンや衣類スチーマーでスチームをかけよう。ウールとの間は1cm程度離した状態でスチームをたっぷりかけたら手で軽く叩き、ウールを伸ばしていく。引っ張りすぎると型崩れの原因になるため、あくまで優しくが基本だ。
あるいは、桶に40℃くらいのお湯をはり、髪に使うトリートメントを溶かす。水温が30℃以下になったのを確認してからウールを1分程度浸し、しっかり染み込ませる。
その後、バスタオルで挟んで水気を切り、平干しネットで平干しする。ぬるま湯から出したときに縮みが改善されていなければ、バスタオルの上から軽く叩いて伸ばしてみよう。
あるいは、桶に40℃くらいのお湯をはり、髪に使うトリートメントを溶かす。水温が30℃以下になったのを確認してからウールを1分程度浸し、しっかり染み込ませる。
その後、バスタオルで挟んで水気を切り、平干しネットで平干しする。ぬるま湯から出したときに縮みが改善されていなければ、バスタオルの上から軽く叩いて伸ばしてみよう。
7. ウールの洗濯の頻度
ウール素材の衣類は、あまり頻繁に洗濯しすぎるとウールが傷む原因になることがある。もちろん、汚れが目立つ場合などは洗濯した方がいいが、基本的なウールの洗濯頻度は、1シーズン1回を目安にしよう。洗濯できないウールも同様に、1シーズンに1回はクリーニングに出すことをおすすめする。
8. ウールの洗濯を楽にするお手入れのコツ
ウールは頻繁に洗濯しないからこそ、日々のちょっとしたお手入れが大切になってくる。洗濯できないときの対処法でもあり、洗濯したときの負担を減らすための処置にもなるので、次のお手入れ方法を覚えておこう。
着たら必ず干す
ウールを着たら、必ず干す習慣を身につけたい。ウールは保湿性が高い素材のため、空気中の水分や汗などを吸収している。放置すると臭いや素材の劣化に繋がるため、ウールを着た日は脱いでひと晩、干しておくことをおすすめする。
スチームで型崩れと臭い対策
型崩れや臭いが気になってきたら、スチームをかけよう。熱い蒸気によってウールがふんわり感を取り戻したり、汗などの臭いが分解されたりする。ただし、スケール同士がフェルト化しないよう、スチームをかけたらこすらないなどの注意点は覚えておこう。
結論
ウールの洗濯について、徹底解説してきた。手洗いが基本だが、洗濯機で洗濯できるウールも増えている。この記事を参考に、ぜひ失敗しないウールの洗濯方法を身につけてほしい。洗濯不可のウールは、無理に洗わずクリーニング店にお任せしよう。