1. 9つの焼酎製造業者の共同運営が母体、焼酎 海の誕生まで

焼酎海が生産される大海酒造は、鹿児島県の焼酎製造業者の共同運営から始まった。彼らの思惑通り、海は日本の焼酎ブームの火付け役となる銘柄のひとつとなる。詳しい経緯をみていこう。
■1967年に誕生した大海酒造
大海酒造は1967年に鹿児島県の9つの焼酎製造業者によって設立され、当時はそれぞれの工場に分かれて生産や瓶詰を行っていた。1975年にさらに1社を加え運営を刷新、近代的な工場を建設し焼酎製造を一本化した。焼酎といえば麦の時代ではあったが「芋焼酎を表舞台に出しブランド化したい」という熱意がやがて実を結んだのである。
■芋焼酎のファンの幅を広げた海
大海酒造が注目を浴び始めるのは、1900年代も半ば。看板となった「海シリーズ」の販売開始後である。原料は、地元の生産者組合と契約し栽培した高品質のさつまいものみを使用。また、ベースとなる水も鹿児島ブランドの認定を受けている垂水の「寿鶴」なる名水を用いた。
1975年から販売が開始された海のシリーズは、それまでの芋焼酎とは一線を画した飲みやすいタイプが多く、焼酎を敬遠していた若い世代や女性にも大いに受けた。こうして海は21世紀に入って間もなく、日本を席巻した焼酎ブームの一翼を担うことになったのである。
1975年から販売が開始された海のシリーズは、それまでの芋焼酎とは一線を画した飲みやすいタイプが多く、焼酎を敬遠していた若い世代や女性にも大いに受けた。こうして海は21世紀に入って間もなく、日本を席巻した焼酎ブームの一翼を担うことになったのである。
2. 芋の香りになじめない人にも飲んでほしい芋焼酎海

芋焼酎が敬遠される大きな理由である、芋独特のにおいを一掃した焼酎海は「とにかく飲みやすい」というのが定説になっている。その味わいはどのように生まれるのであろうか。
■原材料、製造法へのこだわり
薩摩半島の焼酎製造の重鎮たちのもとで修業をつんだ大牟禮(おおむれ)良(よし)行(ゆき)氏が、1998年に杜氏に任命された以後、とくに海の質があがったといわれる。杜氏のこだわりは、原材料の厳選から始まる。原材料となるさつまいもは、地元産の質の高い「高系14号」やベニオトメと黄麹である。仕込みの水は、桜島を仰ぐ垂水から汲出した「寿鶴温泉水」を使用する。発酵は低温で丁寧に行い、減圧蒸留する。
数々のこだわりによって、クセのない味わいと甘み、キレのよい香りが生まれるのである。海の人気は鹿児島県を出て全国レベルとなり、数々の賞にも輝いている。
数々のこだわりによって、クセのない味わいと甘み、キレのよい香りが生まれるのである。海の人気は鹿児島県を出て全国レベルとなり、数々の賞にも輝いている。
■「焼酎を飲まない世代と女性」をターゲットに
焼酎 海は女性や若い世代など、焼酎とはあまり縁が深くない層にターゲットを絞って開発された。海をきっかけに焼酎の世界に入ったという人も多く、その人気は群を抜いている。海の味わいは、焼酎でありながら柑橘類を思わせるさわやかさが特徴である。クールでシャープなイメージは、クリスタル感あふれるボトルからも想像できる。その人気から、現在は特約販売店にのみ蔵出しされている。
3. 大海酒造の焼酎海シリーズ

社名「大海酒造」にちなみ、同社の焼酎には海と関連する名が多くつけられている。「海王」「くじら」は、いずれも特約店のみに販売する大人気の焼酎である。そのほかにも、「さつま大海」「さつまの海」「大海蒼々」などポエティックな名前が多い。
飲みやすさでは突出した人気の海は、ロックや水割り、クールなストレートで美味しく飲むことができる。焼酎初心者にとっては、海のフルーティーな味わいは意外なほど飲みやすく感じられることまちがいない。
飲みやすさでは突出した人気の海は、ロックや水割り、クールなストレートで美味しく飲むことができる。焼酎初心者にとっては、海のフルーティーな味わいは意外なほど飲みやすく感じられることまちがいない。
結論
日本酒と同じ黄麹をつかう焼酎海は、飲みやすさが身上の焼酎である。研究熱心な杜氏による味わいは、芋焼酎らしからぬ洗練がボトルからもうかがえる。焼酎を飲まない層をもとりこにした海、今後も人気は続きそうである。
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