目次
1. ピルスナーとはラガービールの一種

冒頭でも述べたように、ピルスナーとはラガービールの一種に分類されるビールである。つまり、普段飲んでいる大手メーカーのビールはそのほとんどがピルスナーであるといっても間違いではない。ピルスナーとは、それほど日本で馴染み深いビールなのである。では、ビールのスタイルで大きく分類されるエールビールとラガービール、その違いとは一体何なのだろうか。ここで解説していこう。
エールビールとラガービールの違いとは
エールビールとラガービールでの大きな違いは、発酵方法にある。エールビールは「上面発酵」という伝統製法が用いられており、常温から高温で発酵し、発酵期間が短いことが特徴である。しかしラガービールは対照的で、「下面発酵」という製法が用いられている。こちらは低温で発酵し、発酵期間も長いことが特徴だ。下面発酵は雑菌が繁殖しにくく、大量生産にも向いている発酵方法として、19世紀以降から世界的に主流になったのだ。
エールビールとラガービールの味わい
発酵方法によって味わいが異なることも覚えておこう。エールビールはモルトやホップの旨味や香りが際立った味わいが特徴だが、ラガービールはのどごしのよいキレのある味わいが特徴だ。もしビールと聞いて真っ先にイメージすることがキリッと冷えたビールののどごしだとしたら、普段飲んでいるビールがラガービール、つまりピルスナーであることが簡単に理解できるだろう。
2. ピルスナーの代表格「ピルスナーウルケル」

ピルスナーの歴史は深く、1842年にチェコのピルゼン地方で生まれたビールである。1800年代、ヨーロッパでラガービールの製法がメジャーになりつつあったころ、その噂を聞いたチェコのビール醸造者が作り出したものがピルスナーの原型とされる。後に世界中のビールのスタンダードとなったピルスナーだが、現在でもその当時の味わいを守って作られているピルスナーがあり、それがピルスナーウルケルだ。ピルスナーウルケルについて解説していこう。
ピルスナーウルケルとは
ピルスナーウルケルは、ピルスナーを語るうえで外せない銘柄である。ウルケルという語は日本語で「源泉、元」という意味を持つので、名前通りピルスナーウルケルは、まさにピルスナーの元祖であることを示している。一般で流通するピルスナーに比べコク深い味わいがあり、ホップの苦みも強い。日本ではアサヒビールが販売しており、瓶、缶入りのどちらも流通が多く、簡単に手に入る。ぜひピルスナーの深い歴史も一緒にピルスナーウルケルを味わってみてもらいたい。
3. おすすめピルスナー3選

前項ではピルスナーの元祖、ピルスナーウルケルについて解説したが、ここでは大手メーカーのものではない国産ピルスナーから、おすすめ商品を3つ紹介しよう。普段あまり目にする銘柄ではないだろうが、この機会にぜひいろいろと試し、好みの味わいを見つけてほしい。
コエドビール「瑠璃」
ビールの種類によってラベルが色とりどりに変化することでも人気のコエドビール、ピルスナーは瑠璃と名付けられており、清涼感あふれる青色のラベルが印象的である。ピルスナーならではの軽やかな口当たりはそのままに、ホップの香りと苦みをしっかりと感じられるコクのある味わいを実現しており、その味わいは世界でも認められている実力派だ。
おすすめ商品
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伊勢角屋麦酒「伊勢ピルスナー」
伊勢ピルスナーは、三重県は伊勢志摩地方限定で販売されているプレミアムピルスナーである。原料にはチェコ産のホップがふんだんに使用されており、本場のピルスナーのコク深い味わいと豊かなホップの香りをオリジナルで再現している。
明石ビール「神戸麦酒物語」
神戸麦酒物語を製造する明石ブルワリーでは、地域性を生かしたビール作りにこだわっており、原料に兵庫県の西灘の名水が使用されていることが特徴である。神戸麦酒物語は香り豊かでまろやかな味わいでありながら、軽いのどごしとキレのある後味が冴える唯一無二のピルスナーだ。
4. ピルスナーがさらに美味しくなるピルスナーグラス

せっかくピルスナーを飲むのであれば、グラスにもこだわってみてはいかがだろうか。ピルスナーを飲むことに適したグラスを使用することで、美味しさもグッと上がることだろう。
ピルスナーグラスでもっと美味しく!
ピルスナーグラスとは、基本的に細長い形をしたグラスのことを指す。文字通りピルスナーと相性がよいとされ、ピルスナーの泡立ちや香り、味わいを引き立ててくれる役割を持つ。また、デザインによって楽しみ方が変わることも特徴だ。たとえば飲み口が薄く作られたピルスナーグラスであれば、より口当たりなめらかにピルスナーを楽しめる。ほかにもグラスのふくらみに合わせてビールと泡の黄金比を簡単に実現できるものや、飲み口のふちが内側に入っていることで泡持ちをよくしてくれるという優れものもある。ぜひお気に入りのピルスナーグラスでピルスナーを楽しんでもらいたい。
5. 豆知識:ピルスナーとヴァイツェンの違い

クラフトビールを見るとよく目にする種類が、ヴァイツェンという種類だ。こちらもピルスナーとならび人気の種類ではあるが、ピルスナーとヴァイツェンの違いとは一体何なのか、解説していこう。豆知識として覚えておいてほしい。
ピルスナーとヴァイツェンの違いとは
実はピルスナーとヴァイツェンは似て非なるもので、まず発酵方法から異なるのである。ピルスナーはラガービールの一種なので下面発酵で作られるが、ヴァイツェンはエールビールの一種なので上面発酵で作られる。ヴァイツェンは南ドイツで生まれたビールであり、小麦麦芽を50%以上使用して作られている。苦みがほとんどなく、バナナのような甘い果実香が味わいの特徴だ。ビールの苦みがあまり得意でないという人には、ヴァイツェンをおすすめしたい。
結論
ピルスナーと聞くと、特別なビールという印象を受ける人もいるかもしれないが、実は日ごろ飲んでいるビールのほとんどが、ピルスナーに分類されるものなのである。本記事を機にピルスナーについての知識を得たら、いろいろなメーカーのピルスナーを手に取ってみよう。歴史も感じながら、ぜひピルスナーをじっくりと味わってみてほしい。