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灰持酒は九州の特産品!?知る人ぞ知る旨味と甘さの美味しいお酒とは

灰持酒は九州の特産品!?知る人ぞ知る旨味と甘さの美味しいお酒とは

投稿者:ライター 岡本優美(おかもとゆみ)

2020年10月23日

「灰持酒」と書いて「あくもちざけ」と読む。なかなか不思議な名前のこのお酒は、実は料亭などでよく使われているお酒だ。スーパーなどの小売店で販売されているよりも、飲食業界の業務店が買うことが多いのが灰持酒である。もちろん飲んでも美味しいため、九州地方ではお屠蘇としても愛飲されている。馴染みのない人には不思議なお酒だが、そんな灰持酒について解説しよう。

  
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1. 灰持酒とは

灰持酒は読み方がわからない人が多いお酒である。難読酒といっても過言ではないが、しかしその名前は由緒正しい歴史からつけられたものだ。灰持酒の由来や歴史について紹介しよう。

灰持酒のプロフィール

灰持酒と書いて「あくもちざけ」。この灰とは、文字通り木灰のことだ。灰持酒はほぼ日本酒のような作り方なのだが、日本酒を絞る前のもろみに木灰を投入する工程が特徴的なのである。木灰はアルカリ性なので、腐敗を防ぐ効果がある。一方の清酒は加熱(火入れ)をしてすべての酵素を失活させ発酵を止めるので「火持酒」と呼ばれている。

灰持酒の歴史

灰持酒の発祥はかなり古く、遡れば平安時代の「延喜式」という公式文書の記述が最古といわれている。当時は加熱し発酵を止め保存しやすくする現在の「火入れ」はまだ開発されていなかった。そのため木灰を入れて発酵を止める灰持酒が一般的だったとされている。その後、中世になると木灰を入れずに済むお酒は上等なもの、そうでないものは庶民向けといわれるようになった。戦国時代以降から江戸時代にかけては、灰持酒のうち熊本のものは肥後藩の特産物として公に保護されるようになる。しかし明治時代になると清酒が席巻し、とうとう第二次世界大戦中に消滅してしまう。戦後には消費者の声に応えて復活し、現在でも作り続けられている。

灰持酒の分類

灰持酒には4つの種類がある。これは産地によって呼び名が変わるもので、鹿児島県の灰持酒は地酒、熊本の灰持酒は赤酒、そして島根県の地伝酒だ。地酒、赤酒、地伝酒は日本三大灰持酒としても呼び声が高い。またこれらの灰持酒を元にさらに発展したものが黒酒と呼ばれている。これらのお酒は灰持酒であることが多いので覚えておくとよいだろう。

2. 灰持酒の作り方

灰持酒の作り方は日本酒を知っている人でもイメージするのが難しいだろう。木灰を混ぜて発酵を止めるという工法はかなり独特だ。そんな灰持酒の作り方や味わいについて紹介しよう。

灰持酒の製法

灰持酒は途中まで日本酒と同じような作り方である。まず食用米を蒸し、そこに黄麹を混ぜる。これが米麹である。米麹に仕込み水や酵母を足し、酒母と呼ばれる状態にする。酒母に蒸した米、米麹、仕込み水をさらに加え発酵させる。これが醪(もろみ)である。醪は米が分解されて糖になり、その糖がアルコールに分解されるという現象が起こっている状態だ。杜氏は醪の状態を見ながら混ぜていく。木灰を水に溶かし、その上澄である灰汁を最後に入れる。これで発酵は止まるが、酵素は失活しないままの状態である。酵素が生きたまま出荷され、店頭に並ぶのが特徴である。

灰持酒の味わい

旨みが多いのが灰持酒の特徴であるが、これは実際にアミノ酸が多く含まれていることに起因する。みりんの味にも似ているといわれるが、濃厚な甘味は紹興酒に近いものがあるといえそうだ。というのも紹興酒も似たような製法であり、酒母にさらに米や水を加えて作るお酒だからである。糖が多く独特な香りと甘さがあるのが灰持酒の味わいである。

3. 灰持酒を使った料理

灰持酒は料理に使われることが多い。これは灰持酒の成分に秘密があるという。そこで灰持酒がどうして料理に適するのか、レシピとともにその理由を紹介しよう。

灰持酒は料理用?

発酵を木灰で止めるため、酵素は失活しない灰持酒は有機酸などに富んでいる。旨み成分であるアミノ酸も多く含み、とある商品は本みりんの2倍近くも多くアミノ酸を含んでいるのだとか。多くの酵素も失活せずに含まれるため、タンパク質を漬けておくとさらに熟成する。しかも煮物などに使えば照りやつやを出し、なおかつコクを加える効果もある。まさに、オリーブオイルをひとまわしならぬ灰持酒をひとまわしで味が変わるのである。

灰持酒で手羽先塩焼き

まず、灰持酒で素材の旨みを生かしたレシピを紹介しよう。手羽先を灰持酒に漬けて焼くだけの簡単な料理だ。灰持酒の成分が中はジューシー、外はパリパリの美味しい手羽先に仕上げてくれる。レシピは、瑞鷹酒造株式会社が公表するものを引用した。材料と作り方は以下の通り。

材料(2人分)
手羽先 6本
塩 少々
灰持酒 大さじ1
七味唐辛子 少々

作り方
手羽先の皮目に切れ目を入れておき、ビニール袋などに入れる。そこに灰持酒をふりかけ、よくもみこんで冷蔵庫に入れてひと晩置く。調理前の約30分前に冷蔵庫から出しておき焼く際は、まず表面に塩を満遍なくかけて皮目を下にし、グリルで焼く。全体的に焼き目がついたら、パリッとするまで皮目を上にしてしっかり焼く。最後に七味唐辛子をかければ完成だ。

灰持酒でカクテル

灰持酒の甘さは、カクテルにしても美味しい。たとえば、熊本県酪農業協同組合連合会が公表するレシピでは牛乳:灰持酒を7:3で割り、氷を加えてカクテルにしている。灰持酒は甘いため、牛乳などに加えても美味しいのである。

4. 市販で人気の灰持酒3選

最後に、美味しい灰持酒を3つ紹介しよう。灰持酒で仕込んだ梅酒など、とても珍しい種類もある。いずれも値段もお手頃で、なおかつ楽しみ方が多いお酒である。

出雲地伝酒

島根県松江市にある米田酒造の「出雲地伝酒」は主に料理用の灰持酒だ。漬け丼のタレに使ったり、煮付けに使用したりと幅広く和食に使うことができる。魚の生臭みを取ることができる島根県の灰持酒「地伝酒」は、古くから利用されてきた料理酒である。価格も比較的リーズナブルなのもありがたい。

本伝東肥赤酒

熊本県のお屠蘇としても利用される瑞鷹酒造の「本伝 東肥赤酒」は、飲用としても美味しく、もちろん料理に使うこともできる。オリジナルの赤酒に近いため料理用のものよりは甘さが控えめだ。そのためハイボールなどのカクテルとして味わうことも可能なのである。

灰持酒の梅酒

最後に紹介するのは、東酒造の「灰持酒仕込 完熟梅酒」だ。梅酒として灰持酒を使用した商品であるため、ほかの灰持酒とは少し違った特徴を持つ。完熟梅に旨みの溶け込んだ灰持酒を使うことで、とろりとした飲み心地の個性的な梅酒になるのだ。

結論

灰持酒は基本的には料理酒として使われるお酒だ。日本古来のお酒でもあり、木灰を入れるという独特な製法で作られている。失活しない酵素は旨みを引き出す効果があり、しかも糖度が高いため和食には欠かせないお酒である。しかし本来は飲むために作られており、梅酒などに使っても素材の美味しさを引き出すなど、使い方は無限と言えるだろう。灰持酒を買って、料理や晩酌にとさまざまに使ってみてはいかがだろうか。
  

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