1. 清酒とは?味わいや香り・定義など基本的な特徴について解説
はじめに、清酒の味わいや定義、また日本酒との違いなど、清酒がどのようなお酒なのか、基本的なことを解説していこう。飲む前にぜひ押さえておいてほしい。
清酒の味わいや香り
清酒の味わいや香りは、もちろん銘柄によって異なるが、とくに大きく4つに分けられている。フルーティーで香り高い「薫酒」、すっきりと淡麗で香りが少ない「爽酒」、5年以上熟成の重厚感のあるうまみが際立つ「熟酒」、コク深くふくよかな味わいの「醇酒」、これら4つのタイプがあることを覚えておこう。
清酒の定義とは
清酒には酒税法で決められた定義がある。まずアルコール度数が22度未満であること、原料に使用しているのが米、米麹、水、そのほか政令によって定められたものだけであること、これらの原料を発酵させ、こすという工程を行うことだ。この3つを条件を満たして作られるものだけが清酒を名乗ることができるのである。
清酒の賞味期限
清酒には賞味期限があり、未開封で約1年はもつとされている。ただし賞味期限の記載はなく、製造年月を記載することが義務づけられている。空気に触れることで味落ちが始まるので、開封後はなるべく早く飲み切るようにしよう。
清酒は日本酒とは違う?
清酒と日本酒に違いがあるのかというところは、多くの人が気になるポイントだろう。日本酒とは清酒や合成酒、みりんなど日本古来のお酒の総称のことを指すので、清酒は日本酒の一種なのである。ただし2015年に指定された「地理的表示における日本酒」の定義により、原材料に国産米のみを使用し、日本国内で製造された清酒のみを日本酒とするとされたので、海外で作られた清酒は日本酒を名乗ることができなくなった。つまり、純国産の清酒だけが日本酒であると覚えておけばよいだろう。
2. 清酒にはどんな種類がある?それぞれの違いや特徴について詳しくご紹介
清酒の種類は、原料や製造方法によって8種類に分けられ、これらはまとめて「特定名称酒」といわれている。では、特定名称ごとの清酒の特徴を確認していこう。
特定名称酒とは
清酒は、主に精米歩合や醸造アルコールが使用されているかという点によって、それぞれの特定名称がつけられる。精米歩合とは、白米の重量の割合を指す。精米歩合が少ないほど雑味が少なく、高級品であるとされている。また、特定名称に「純米」がつくものには、醸造アルコールが使用されていないことも覚えておこう。
特定名称酒一覧
・「本醸造酒」精米歩合70%以下で、醸造アルコール使用
・「特別本醸造酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール使用
・「純米酒」精米歩合の規定なし、醸造アルコール不使用
・「特別純米酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール不使用
・「吟醸酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール少量使用
・「純米吟醸酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール不使用
・「大吟醸酒」精米歩合50%以下で、醸造アルコール少量使用
・「純米大吟醸酒」精米歩合50%以下で、醸造アルコール不使用
・「特別本醸造酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール使用
・「純米酒」精米歩合の規定なし、醸造アルコール不使用
・「特別純米酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール不使用
・「吟醸酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール少量使用
・「純米吟醸酒」精米歩合60%以下で、醸造アルコール不使用
・「大吟醸酒」精米歩合50%以下で、醸造アルコール少量使用
・「純米大吟醸酒」精米歩合50%以下で、醸造アルコール不使用
3. 清酒は自分で作れる?作り方をご紹介
ここでは清酒の作り方について解説する。しかし作り方を知っていても、自宅で清酒作りを行ってはいけないので注意しよう。梅酒などの一定の果実酒作りについては例外とされているものの、日本では酒税法により、酒類製造免許なしにアルコール度数が1度以上の飲料を作ることは禁止されているのだ。
清酒の作り方
清酒の製造工程はとても細かく分けられている。まず精米から始まり、洗米、浸漬が行われる。次に米蒸し、製麹の工程で麹菌を繁殖させたら、清酒のもとである酒母作りに入る。ここからは仕込みの工程に入り、タンクで糖化とアルコール発酵が同時に行われる。できあがった醪をしぼり、酒と酒粕に分けたら、滓引き、ろ過、加水、火入れなどの仕上げの調整が行われ、貯蔵される。実際に瓶詰めに至るまでに、これだけの繊細な製造工程を踏んで清酒は作られているのだ。
4. 清酒のおすすめの飲み方は?合う料理も合わせて紹介
ここでは清酒のおすすめの飲み方に加え、清酒の種類別に合う料理を紹介しよう。自分の好みのスタイルで清酒を楽しんでほしい。
清酒のおすすめの飲み方
きりっと冷えた清酒が好みの人には、冷酒をおすすめしたい。華やかに広がる香りが楽しめる。飲むまで清酒をしっかりと冷蔵庫で冷やしておき、あらかじめグラスなども冷やしておけばより美味しく飲めるので、ぜひ実践してもらいたい。一般的に冷やと呼ばれる飲み方は冷酒とは異なるので注意しよう。冷やとは、常温で飲むことを指すのだ。清酒本来の味わいや香りを楽しめるのはこの飲み方だろう。寒い冬場であれば燗をつける飲み方も人気である。30度から55度あたりで、好みの温度でじっくりと清酒特有のうまみをゆっくりと味わえる。
清酒の種類別に合う料理
清酒の味わいは4つに分けられていることを前述したが、その味わいごとに合う料理を紹介していこう。「薫酒」にはカルパッチョや魚の塩焼きなど、素材の味が活きた料理がおすすめ。「爽酒」はクセのない淡麗な味わいなので、どんな味つけの料理とも相性がよい。「熟酒」には甘みが濃い料理がおすすめ。鰻のかば焼きや豚の角煮などと合わせてみよう。「醇酒」はご飯に合う料理と相性がよい。しっかりとした味つけの、煮物料理や肉料理、野菜炒めなどがおすすめだ。いろいろと試して、自分の好みを見つけてみよう。
5. 清酒のおすすめの銘柄は?
最後に、おすすめしたい清酒の銘柄をいくつか紹介しよう。数多くの種類があるため、最初はどれを選ぶべきか悩んでしまうものである。ぜひ参考にしてもらいたい。
旭酒造「獺祭 純米大吟醸」
「獺祭」は人気の銘柄なので、これから清酒を飲むという人にもおすすめしたい銘柄だ。お米本来の味がしっかりと活きたフルーティーな味わいが特徴で、誰にとっても飲みやすく仕上がっている。
朝日酒造「久保田 純米大吟醸 萬寿」
「久保田」は誰もが知る高級清酒として知られている銘柄だ。地元新潟県の米、水だけを使用するこだわりがあり、辛口でありながら淡麗で飲みやすい味わいである。この「萬寿」は久保田の中でも最高ランクに値する銘柄で、贈答品としても高い人気を誇る。
廣木酒造「飛露喜 特別純米」
とても入手困難であり、「幻の酒」とも称される清酒が「飛露喜」である。透明感がありながら、しっかりとした存在感もある味わいは、現在でも一度は飲んでおきたい清酒として通から高い支持を受けている。
結論
清酒と一言で表しても、これだけさまざまな種類があり、味わいもバリエーション豊かであることをわかってもらえただろう。お酒売り場の清酒のラベルを少し意識して見てみてみるのもおもしろいだろう。これから清酒を飲む人は、ぜひ本記事を参考に自分のお気に入りの銘柄を選んでもらいたい。