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女酒とはなんのこと?日本酒を作る水と味わいの深い関係を探る!

女酒とはなんのこと?日本酒を作る水と味わいの深い関係を探る!

投稿者:ライター 岡本優美(おかもとゆみ)

2020年11月26日

女酒という言葉をご存知だろうか。女酒と聞くとなにやら演歌の曲名のような気もするが、実はお酒の分類である。最近では、醸造技術が発展したからこそ女酒と男酒といわれることは減った。しかしこの2つの言葉はその土地のお酒を理解するのに必要な言葉だ。今回は、そんな女酒について紹介しよう。

  
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1. 女酒とは?特徴や歴史など基本的な情報をご紹介

女酒という言葉は日本酒好きの間では聞かれるかもしれないが、あまり一般的ではないのも事実だ。そこで、まずは女酒について解説しよう。

女酒とは?

女酒は主に伏見などで醸造されるお酒だ。特徴としては口当たりのよさと酸の少なさ、そして繊細で淡麗といわれる味わいが特徴である。いわゆる「女性的」と昔ではいわれるような味わいで、京都を中心として発展した宮廷料理やそこからさらに発展した京料理に合うお酒である。

軟水でできた女酒

女酒は主に軟水でできているといわれている。そもそも醸造用水は水道水よりも基準が厳しく、鉄分はほぼ入らないことが大きな条件だ。そんな醸造用水の中でも、カルシウムやマグネシウムがなるべく少ない水を使うのが女酒の条件である。これらのミネラルは酵母の栄養素なので多く含まれるとその分だけ発酵が進む。養分の少ない軟水でできた女酒は発酵が遅く、それゆえにまろやかで柔らかな味わいのお酒になるのだ。

2. 灘の酒とは?特徴や歴史、女酒との違いなどについてご紹介

では、次に女酒と対照的な男酒・灘のお酒とはどのようなものか、歴史も含めて紹介しよう。

灘の酒は男酒

日本のもう一つの酒どころ・灘の酒は「男酒」と呼ばれる。これは女酒とは対照的に酸が強く、一般的には「辛口」と呼ばれる部類の味わいだ。また、特に新酒の時期では力強い味わいがあり、いかにも「男性的」といわれる特徴を持つのである。そんな灘のお酒は江戸時代に江戸に輸出され、絶大な人気を誇ったことも有名だ。

灘の酒と宮水

宮水とは「西宮の水」を縮めた言葉だ。灘の男酒は伏見の女酒と違い硬水を使って仕込むが、この水こそが西宮神社という神社付近の六甲山系の水なのである。硬水は軟水と違いマグネシウムをはじめミネラル分がしっかり含まれた水だ。これらの養分は日本酒を仕込む際の麹菌の栄養になることは前述した通りだ。宮水を使って日本酒を仕込むことで、女酒よりも早く発酵が進み辛口のお酒になるのである。

3. 女酒や灘の酒はどこのお酒が有名?

女酒や灘の酒はどのような地域で特に有名なのだろうか。女酒の有名な3つの地域と、男酒の有名な地域について紹介しよう。

元祖女酒・伏見

灘の男酒、伏見の女酒といわれるほど、灘と伏見は酒の名産地として古くから有名だ。安土桃山時代に酒造りが始まったといわれるほどその歴史は古い。しかし伏見の酒造は江戸幕府から冷遇され、明暦年間から現代に至るまで残っている酒造は北川本家と月桂冠しかない。とはいえ明治以降は名声が復活し、現在のように酒造りが盛んになったのである。

実は日本三大酒処の1つ・広島

広島の酒も女酒として有名だ。特に女酒の発展においては欠かすことのできない歴史を持っているのが広島の酒造りだ。明治時代、広島県出身の三浦仙三郎氏が軟水で日本酒を作る方法を開発した。これが広島の女酒独自のまろやかな口当たりを生み出したとされている。広島も女酒の発展には一役買っているのである。

隠れた女酒産地・伊予

四国山地の伏流水を使う伊予の清酒も女酒であるとされる。特に女性に人気で、瀬戸内海に面した愛媛の食文化にあった味わいのお酒だ。ほのかな甘みと旨みを感じられ、白身魚の和料理と相性がいいのも特徴である。

「くだらない」を産んだ灘五郷

灘五郷は江戸時代に発展した男酒の産地だ。酒造りで有名な5つの地域を総称して呼ぶ呼び方である。室町時代に酒造りが始まったとされ、江戸時代には樽廻船と呼ばれる専用の船で、杉の樽で熟成されながら江戸に運ばれるほど需要が高まっていた。当時の男酒こと灘のお酒は、上方から「下ってくるもの」として珍重された。逆に下ることがないものは粗悪品である、という考えから「くだらないもの」という言葉を生み出したほどだ。それほど江戸時代では高級日本酒として扱われていた灘のお酒は、現在でも灘のお酒・男酒として有名なのである。

4. 女酒や灘の酒を代表する銘柄は?

最後に、女酒などの代表的な銘柄を紹介しよう。ここでは伏見の女酒、広島の女酒、愛媛の女酒、そして灘の男酒をそれぞれ1つずつ紹介する。

月桂冠「伝匠月桂冠 純米吟醸酒」

伏見を代表する酒造・月桂冠の純米吟醸は、米・米麹・伏見の水だけで作られたお酒だ。そのため伏見の水と米の旨さをストレートに感じられるのが特徴だ。フルーティながら後味がすっきりとしているのは女酒ならでは。米と伏見の名水を感じられるこのお酒は1.8L当たり3000円と非常にリーズナブルな値段なのも嬉しいポイントである。

賀茂泉「純米大吟醸 延寿」

広島の名水である西条の水と広島の伝統的な杜氏の技法を用いて作った純米大吟醸はまさに女酒の粋である。広島県産山田錦を100%使った贅沢な仕込みで、まさに広島のお酒だ。米の甘みが生かされ酸が少なめな女酒なので飲みやすい。

成龍酒造「伊予賀儀屋 熟成純米 無濾過 生詰」

愛媛県東予地方で作られるお酒は、基本的に味わいが淡麗ですっきりとしたものが多く、特に伊予の女酒の特徴がわかりやすいのでおすすめだ。そんな中でも成瀧酒造のこちらのお酒は無濾過なので特にその独創性が味わいやすい。特約店でしか手に入らないのが難点だが、もし手に入った場合はぜひ飲んでみよう。

福寿「純米原酒 コウノトリlabel」

兵庫県産のコシヒカリを100%使用した灘のお酒がこちら。米を70%しか削らずに使用することで、男酒特有の濃厚な旨みや後味の苦味と辛さがわかりやすい。純米吟醸などの華やかなお酒とは違い、しっかりと米の味わいが引き立つのである。米だけでなく米麹にも兵庫県産コシヒカリを利用しているのも特徴といえそうだ。

結論

女酒と男酒は、その味わいや仕込み水によって変化する名称だ。さまざまなお酒が飲まれるようになった今だからこそ、女酒や男酒という言葉は自分の好みを探すのに役立つだろう。ここで紹介した以外にも、女酒や男酒と呼ばれるお酒には多くの名酒がある。その土地のおつまみとともに男酒と女酒を飲み比べてみると、さらに日本酒への理解と愛が深まるのではないだろうか。
  • 更新日:

    2020年11月26日

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