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日本酒の火入れとは?日本酒用語の基礎をしっかり押さえよう

日本酒の火入れとは?日本酒用語の基礎をしっかり押さえよう

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

鉛筆アイコン 2021年11月 1日

日本酒の火入れという工程をご存じだろうか。火入れとは、日本酒の品質や味わいをよい状態で保つための、加熱処理の工程を指す。あまり聞き慣れない用語かもしれないが、火入れは基礎知識として覚えておきたい日本酒用語のひとつである。本記事では火入れについての詳しい解説をはじめ、生酒との違い、保存方法や自宅でも実践できる方法、またおすすめの銘柄についても触れていこう。

  

1. 日本酒の火入れとは

はじめに、日本酒の火入れについての基本的な部分から解説をしていこう。冒頭でも述べた通り、火入れとは日本酒の品質を一定に保つための重要な工程である。火入れを行うことにより雑菌の繁殖を防ぎ、また酵母の働きを止める効果があるのだ。火入れと聞くと日本酒を直接火にかけるイメージを持つ人もいるだろうが、実際には異なる。ここでは火入れの歴史や方法について詳しく解説する。

火入れの歴史

火入れの歴史は深く、なんと江戸時代までさかのぼるという。冷蔵庫もなかった当時、温度変化により日本酒の品質が著しく変化することもたびたびあったそうだ。そこで、貯蔵前と出荷前の2回のタイミングで加熱処理を行うことで、日本酒の品質を一定に保つ技術を考案、これが現在でも続く火入れの始まりとなったのである。

火入れの方法

火入れは、前述の通り2回のタイミングに分けて行われる。1回目は仕込み終えたもろみをしぼってろ過した直後、2回目は貯蔵された日本酒を瓶詰めする直前だ。その方法とは、日本酒の温度が60度から65度になるように、じっくりと湯煎するのである。火入れの際、温度はとても重要で、加熱時間が長過ぎたり、温度が上がり過ぎてしまうと日本酒の香味が失われてしまうので、一瞬たりとも気の抜けない作業なのだ。

2. 日本酒の火入れと生酒の違い

日本酒はすべてが同じ種類ではなく、実は工程によってさまざまな種類に分けられることも覚えておこう。ここでは火入れした日本酒と生酒の違いをはじめ、ほかに混同しやすい種類である生詰め酒、生貯蔵酒についても解説する。

生酒との違いとは

生酒とは、その名称からイメージできるように、火入れの工程が一切行われていない生の状態の日本酒のことを指す。火入れが行われていないので品質の変化が起こりやすく、非常にデリケートな日本酒ともいえるが、生酒特有の酸味のあるフレッシュな味わいが特徴で、日本酒ファンから高い人気を誇る種類である。生酒の場合、ほとんどがラベルに生酒であることを示す「生」などの記載がある。こちらも含めて覚えておこう。

生詰め酒と生貯蔵酒について

生酒と同じく「生」がつく生詰め酒、生貯蔵酒だが、実はこれらには1回ずつ火入れが行われている。ただし火入れのタイミングがそれぞれ異なるので、混同しないようによく覚えておこう。

生詰め酒

火入れが行われるのは貯蔵前だけで、瓶詰めのときには行われない。生酒に比べると酸味が落ち着いており、まろやかな味わいが特徴だ。代表する生詰め酒には「ひやおろし」がある。

生貯蔵酒

火入れが行われるのは瓶詰めの前だけで、貯蔵前には行われない。生酒のようなフレッシュさと、火入れした日本酒のまろやかさを併せ持った味わいが特徴だ。

3. 火入れした日本酒は常温保存OK?

火入れした日本酒の保存方法は気になるポイントだろう。火入れが行われていない生酒はもちろん、火入れが1回しか行われない生詰め酒や生貯蔵酒の保存は、冷蔵庫での保存が一般的となっているが、火入れした日本酒の場合はどうなのだろうか。

火入れした日本酒の保存方法を確認

火入れした日本酒の場合、生酒などに比べて品質の劣化が起こりにくいため、とくに冷蔵庫で保存する必要などはなく、高温多湿を避けた室内であれば常温で保存可能である。ただし、いくら常温で保存可能とはいえ、あまりに長く置き過ぎては温度変化などにより品質劣化の原因となるので、十分気をつけたい。また、直射日光が当たる場所での保存は厳禁だ。日光は日本酒にとって天敵ともいわれるので、室内保存であっても日光には注意しよう。

4. 自宅で日本酒の火入れをするには

実際に蔵元で行うような本格的な日本酒の火入れを、自宅で実践しようとしても難しいものではあるが、自宅でも簡易的な方法で日本酒の火入れは可能である。とはいえ火を使う作業になるので、十分に気をつけて実践してほしい。

自宅での火入れの方法

自宅で日本酒の火入れを行う目的は、主に飲み切れなかった生酒を長期保存したい場合などだろう。生酒は開栓後はとくに、冷蔵庫で保存したとしてもすぐに飲み切ってしまわないと、味落ちのスピードが早いことが特徴だ。そこで、飲み切れない分を火入れすることで、保存期間を延ばすのである。方法はシンプルで、日本酒を瓶ごと大きめの鍋に入れ、温度計で60度から65度を保つように加熱する。30分程度加熱したら、すぐに流水や氷水で冷却して完成だ。加熱の際は日本酒の膨張によりキャップが飛んでしまう可能性があるので、日本酒のキャップは必ず緩めにしておくことを忘れずに。

5. 火入れの日本酒おすすめ3選

最後に、火入れの日本酒のおすすめ銘柄を3つ紹介しよう。紹介する火入れの日本酒の各銘柄ともに、さまざまな種類が販売されているので、飲み比べをしてみるのもおもしろいだろう。火入れについての基礎知識を理解した後は、実際に味わってみることも大切である。

朝日酒造「久保田」

朝日酒造の「久保田」は、どこのスーパーマーケットでも並ぶほど流通量の多い、日本酒の定番銘柄である。安価で手に入るものから高級品まで、ラインナップも豊富だ。酒米の開発から始めるほど、酒米へのこだわりが強く、その華やかな香りとバランスのとれた旨みは久保田ならではのものである。

旭酒造「獺祭」

旭酒造の「獺祭」もまた、メジャーな日本酒として全国で愛されている銘柄である。たびたびプレミアム日本酒として取り上げられる獺祭だが、蔵元のこだわりは売るためではなく味わうための酒作り。そんな蔵元の思いが込められた獺祭の味わいは、余韻まで米の旨みを感じられるほどの逸品である。

白瀧酒造「上善如水」

白瀧酒造の「上善如水」は、日本酒が得意でない人や、女性からも高い人気を誇る銘柄である。口当たりはなめらかで、すっきりとした味わいの中に感じるほのかに甘い米の香りが特徴で、誰にとっても飲みやすく仕上がっている。

結論

日本酒造りにはさまざまな工程があり、本記事で紹介した火入れという工程もまた、日本酒造りでは重要な工程のひとつなのである。また火入れの有無や回数によって、日本酒の種類が分けられることもわかってもらえただろう。次に日本酒を飲む際は、火入れの工程も頭に思い浮かべながら、じっくりと味わってみてほしい。
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  • 公開日:

    2020年12月 1日

  • 更新日:

    2021年11月 1日

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