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日本酒の【山廃仕込み】とは?昔ながらの伝統製法について知ろう

日本酒の【山廃仕込み】とは?昔ながらの伝統製法について知ろう

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

監修者:管理栄養士 水島知美(みずしまともみ)

鉛筆アイコン 2021年1月30日

日本酒は、製法などによりさまざまな種類に分けられているが、とくに希少な日本酒といわれる、山廃仕込みという種類をご存じだろうか。本記事では山廃仕込みについての基本的な解説をはじめ、山廃仕込みのおすすめの飲み方や、おすすめしたい銘柄まで、詳しく紹介していこう。

  

1. 山廃仕込みとは?味わいや香りなどの基本的な特徴について解説

はじめに、山廃仕込みとはどのような日本酒なのか、基本的な部分を解説する。実際に山廃仕込みを手に取る前に、基本はしっかりと押さえておこう。また、山廃仕込みの読み方だが、「山廃」と書いて「やまはい」と読む。読み方は間違いやすいので、注意しよう。

山廃仕込みとは

山廃仕込みとは、昔ながらの日本酒の製法である「生酛(きもと)造り」と深く関わりのある日本酒である。生酛造りについては詳しく後述するが、生酛造りには、最も重労働とされる「山卸」という工程がある。この山卸という工程を廃止して造る製法が、山廃仕込みなのだ。つまり山廃仕込みの「山廃」とは、「山卸廃止」という言葉を略したものである。生酛造りは17世紀後半に誕生した製法だが、山廃仕込みは明治末期頃に誕生した製法であることも覚えておこう。

山廃仕込みの味わいや香り

山廃仕込みの味わいや香りは、苦みや酸味の主張が強すぎて、飲みづらいのではというイメージを持つ人も少なくないが、実際はコク深い旨みのある濃醇な味わいと、複雑味がありながら華やかな香りがあることが特徴だ。山廃仕込みならではの、しっかりと骨太な味わいを楽しめるだろう。

2. 山廃仕込みに種類はある?他の造り方との違いは?

山廃仕込みの中でさらに製法が分かれるケースは見られないが、山廃仕込みを語るうえで押さえておきたい製法が、前項でも触れた生酛造りである。生酛造りは山廃仕込みのベースとなる製法なので、どのようにして造られる日本酒なのかということを確認していこう。

生酛造りとは

生酛造りとは、アルコールの発酵を促す酒母造りに特徴がある。自然界に存在する乳酸菌を取り込み、じっくりと時間をかけて酒母を培養するのである。そのため酒母ができあがるまで約1ヵ月という期間を要するが、その分旨みや酸味がしっかりとある酒質になりやすく、強い酵母が育つのだ。生酛造りの工程にある山卸という作業を廃止する代わりに、水麹を加えることで酒母を育てられることが発見され、山廃仕込みは誕生したのである。

蔵人泣かせの重労働「山卸」とは

山卸とは生酛造りの工程において最も重労働であると前述したが、どのような作業なのか覚えておこう。麹の酵素の作用により、デンプンの糖化を促すため、蒸し米と米麹、水をいくつかの浅い桶に分けて仕込み、15時間から20時間ほど経つことで水分を吸って膨張した米を、すりつぶしていく作業が山卸である。極寒の深夜から早朝にかけて作業を行う必要があり、非常に根気が必要な重労働なのだ。米をすりつぶすために使用する道具には、もともとは櫂というものが使用されてきたが、現在では櫂を使用する蔵元は少なく、専用の長靴で踏んだり、電動のプロペラで撹拌するなど、時代とともに変化している。

山廃仕込みと生酛造りは希少?

現在では、ほとんどの蔵元が酒母造りに速醸造りを採用している。速醸造りとは、乳酸菌を人工的に加えることで、生酛造りの約半分の期間で酒母造りが可能であり、日本酒の品質も安定しやすいことが特徴だ。このこともあり、生酛造りや山廃仕込みは希少となっているのである。現在速醸造りを用いる蔵元の割合は全体の90%を占め、次に山廃仕込みが全体の9%、生酛造りはわずかに全体の1%とされている。

3. 山廃仕込みのおすすめの飲み方は?

ここまでで解説した通り、山廃仕込みは手間と時間をかけて造られる日本酒だが、ここで気になるのが相性のよい飲み方だろう。本項では、日本酒の定番の飲み方についての解説をはじめ、山廃仕込みに合うおすすめの飲み方も紹介しよう。

日本酒の飲み方の種類

日本酒の定番の飲み方は、大きく3つに分けられる。それぞれの違いや味わいの特徴などを覚えておこう。

・冷や
冷やとは、日本酒用語で常温のことを指す。冷やしたものとは異なるので、混同してしまわないよう、注意しておこう。日本酒の風味や米の旨みをじっくりと楽しみたいという人に好まれる飲み方である。

・冷酒
冷酒とは、冷やした日本酒のことを指す。風味や味わいが引き締まり、すっきりと日本酒を楽しみたいという人に好まれる飲み方である。温度により呼び名が変わり、5度ほどに冷やしたものを「雪冷え」、10度ほどに冷やしたものを「花冷え」、15度ほどに冷やしたものを「涼冷え」と呼ぶことも覚えておこう。

・燗酒
燗酒とは、温めた日本酒のことを指す。温めることで米の旨みや甘みがふくらみ、華やかな香りも立ちのぼる。日本酒のまろやかな風味を楽しみたい人に好まれる飲み方である。こちらも温める温度により呼び名が変わり、40度以下のぬるめの温度で温めたものを「ぬる燗」、45度ほどに温めたものを「上燗」、50度に温めたものを「熱燗」など、さまざまな呼び方がある。

山廃仕込みに合う飲み方とは

山廃仕込みによく合う飲み方には、ぜひ燗酒をおすすめしたい。もちろん冷酒や冷やでも美味しいが、温めることで山廃仕込みのしっかりとした濃醇な味わいがまとまり、やわらかな口当たりが楽しめる。温める温度は、上燗から熱燗あたりがおすすめ。山廃仕込みならではの個性をじっくりと楽しもう。

4. 山廃仕込みのおすすめ銘柄は?

最後に、おすすめしたい山廃仕込みの銘柄をいくつか紹介する。初めての1本を手に取る際の参考にしてもらいたい。

菊姫合資会社「菊姫 山廃純米」

菊姫合資会社は、石川県白山市に本社を置く酒造メーカーである。「菊姫 山廃純米」は山廃仕込みの定番として知られており、昭和53年に日本酒業界で初めて「山廃仕込み」と表示した銘柄としても有名である。しっかりとした酸味と濃醇な味わいがあり、山廃仕込みならではの重厚な飲み応えが楽しめる。
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車多酒造「天狗舞 山廃仕込み 純米酒」

車多酒造は、石川県白山市で約200年もの古い歴史を持つ蔵元である。「天狗舞 山廃仕込み 純米酒」は、山廃仕込みらしく濃醇な味わいはそのままに、風味のクセを抑えて造られていることが特徴だ。初めて山廃仕込みを飲む人にもおすすめしたい銘柄である。
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土田酒造「群馬 山廃 純米吟醸」

土田酒造は、群馬県利根郡に位置する小さな村、川場村で古くから酒造業を営む老舗の蔵元である。「群馬 山廃 純米吟醸」は、山廃仕込みは飲みづらいというイメージを覆し、誰にとっても飲みやすい味わいを目指して造られた、新たな味わいの山廃仕込みだ。やさしい米の旨みとほどよい酸味のバランスがよく、果実香のような甘い香りの余韻があることが特徴である。
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結論

山廃仕込みとは、日本酒の歴史を知るうえで重要な存在であることをわかってもらえただろう。しっかりと意味を理解してから山廃仕込みを飲んでみると、よりじっくりと深く味わいを堪能できるはずだ。日頃日本酒を好んで飲むという人は、ぜひ一度山廃仕込みもレパートリーに加えてみてはいかがだろうか。
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  • 更新日:

    2021年1月30日

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