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日本酒の【醪】についてじっくり解説!日本酒造りの基礎を覚えよう

日本酒の【醪】についてじっくり解説!日本酒造りの基礎を覚えよう

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

監修者:管理栄養士 水島知美(みずしまともみ)

鉛筆アイコン 2021年11月 1日

日頃日本酒を好んで飲むという人は多いだろうが、その製法は意外と知らないという人も少なくないだろう。本記事では日本酒の原型ともいえる醪に着目して、その意味や酒母との違い、また醪の三段仕込みなどについて詳しく解説する。日本酒造りの基本をしっかりと理解していこう。

  

1. 醪とは?読み方や意味・歴史などの基本的な情報をご紹介

はじめに、醪についての基本的な情報から紹介していこう。用語の意味をしっかりと理解することは、日本酒の製法を学んでいくうえで重要なポイントである。本項では日本酒の歴史も含め、醪とは一体どのようなものなのかを詳しく解説する。

醪の読み方と意味

醪という漢字は普段頻繁に使用するものではないので、日常生活では平仮名表記されることも多いが、「もろみ」と読む。まずは読み方を間違えないよう、しっかり押さえておきたい。次に醪の意味だが、これは「原料が発酵した状態の液体」のことを指す。日本酒だけでなく、醤油などの食品でも共通しているが、醪とはつまり「完成する手前の段階」のものであると覚えておけばよい。

日本酒の歴史

日本酒の歴史は諸説あるものの、起源は稲作が日本に伝わった時期と同時期であると考えられている。日本に稲作が伝わったのは弥生時代であるとされ、約2000年前までさかのぼる。しかし一説では弥生時代の前、縄文時代よりすでに稲作は始まっていたともいわれており、同時に米を原料とした酒造りも行われていたと推測されている。どちらにしても正確な文献はないものの、日本酒の歴史はロマンにあふれたものなのである。

日本酒の歴史から見る醪の起源

日本酒はもともと神のために捧げられた酒として考えられている。700年代に記された書物であり、米を原料にした酒、つまり日本酒の起源を示す最古の文献「大隅国風土記」の中に興味深い記述があるので紹介しよう。それは「口噛みノ酒」というものである。これは加熱した米を口の中でよく噛みつぶし、それを甕の中に吐き出して溜め置き、造り出された酒のことを指す。現代では考えられない原始的な醸造方法だが、唾液に含まれる酵素で米のデンプンを糖化し、野生の酵母によって発酵させ、アルコールを生成するという点は理にかなっている。まさに現代の日本酒造り、また醪のルーツともいえるだろう。記述によると、これは神聖な醸造方法であり、限られた巫女しか作業することを許されなかったという。

2. 醪は酒母とどう違う?

日本酒用語でたびたび聞かれるのが、酒母という言葉である。酒母も醪と同じく、日本酒造りにおいて重要な役割を担うものだ。醪と見た目も似ているため、混同して考えている人もいるかもしれない。本項では醪と酒母の違いについて詳しく解説していこう。

醪と酒母の違い

醪とは日本酒の原型であると冒頭で述べたが、酒母もまた、「酒の母」とも書くように、日本酒の源となるものだ。では、醪と酒母の違いとは一体どのようなものなのだろうか。まず覚えておきたいのが、酒母とはアルコールの発酵を促すための酵母を大量に培養したものであることだ。日本酒の製造工程を表す言葉に「一麹、二酛、三造り」という、順番で示されたものがあるが、これは「一麹」で麹を造り、次に「二酛」で酒母を造り、最後に「三造り」で醪を造ることを指す。つまり、酒母とは、「日本酒の原型になる醪のベースになるもの」なのである。醪なくして日本酒は造れないが、同じように酒母なくして醪は造れない。それぞれ似て非なるものであれど、日本酒造りにおいて欠かせないものなのである。

3. 醪仕込みの特徴でもある三段仕込みとは?

三段仕込みとは、醪の仕込み方で最も一般的に採用されているものである。では、三段仕込みとは一体どのような仕込み方なのだろうか。本項では醪の仕込み方の基本、三段仕込みについて解説する。

三段仕込みとは

醪は酒母をベースに、麹、蒸米、仕込み水を加え、発酵させて造られるが、一度に全量を発酵させてしまうと雑菌が繁殖する原因となってしまう。そのため酵母の様子を見ながら数回に分けて材料を加え、ゆっくりと発酵させることが重要な工程となっているのだ。これを3回に分けて行う仕込み方こそが、三段仕込みと呼ばれるものである。

三段仕込みの工程

三段仕込みは、一般的に4日間の工程で行われる。また工程それぞれに名称があり、作業も日によって異なることが特徴だ。それぞれの工程について確認していこう。

・1日目「初添」

「初添」の工程では、タンクに酒母を移し、そこに酒母の2倍ほどの分量の麹、蒸米、仕込み水を加えて、櫂棒を使ってよくかき混ぜて発酵を促す。

・2日目「踊り」

「踊り」の工程では、蒸米が水を吸って膨らんでくることがわかる。材料は何も加えないが、手を休めずとにかくよくかき混ぜて、酵母菌をさらに増殖させる。

・3日目「仲添」

「仲添」の工程は、仕込みの第2段階である。初添で使用したさらに2倍の分量の麹、蒸米、仕込み水を加えて仕込んでいく。

・4日目「留添」

「留添」の工程は、三段仕込みの最終工程である。使用する麹、蒸米、仕込み水の分量は最も多く、仲添で使用した2倍の分量を使用する。初添、仲添、留添で使用する仕込み材料の分量は、比率で表すとおよそ1対2対3となることを覚えておこう。仕込みの工程が終了した後は、低温状態を保ちながら、じっくりと時間をかけて発酵させていく。こうして約3週間から1ヵ月の発酵期間を経て、醪が完成するのである。

結論

醪とは、日本酒造りにおいて重要な役割を担う存在であることをわかってもらえただろう。日本酒の味わいや個性は、蔵人たちの手間ひまかけた作業があって生まれるものなのだ。醪を知ることは、日本酒の基礎を知ることでもある。本記事を機に、醪のことをしっかりと理解しておこう。
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  • 公開日:

    2021年1月28日

  • 更新日:

    2021年11月 1日

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