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生酛とはどんな日本酒?伝統製法から日本酒の歴史を学んでいこう

生酛とはどんな日本酒?伝統製法から日本酒の歴史を学んでいこう

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

鉛筆アイコン 2021年2月 2日

日頃スーパーマーケットなどのお酒売り場では、さまざまな種類の日本酒が並んでいるが、中でも希少な種類として知られる、生酛という日本酒をご存じだろうか。普段日本酒を飲まない人はピンとこないかもしれないが、生酛とは日本酒の歴史を語る上で重要な存在なのだ。本記事では生酛についての基本的な特徴をはじめ、似た種類である山廃との違い、また生酛のおすすめの銘柄まで、詳しく解説する。

  

1. 生酛とは?造り方や味わいなどの基本的な特徴について解説

はじめに、生酛についての基本的な特徴から解説する。生酛の製法や歴史、また現代における日本酒の製法との違いなどを押さえておこう。また、日常生活ではあまりなじみのない漢字が使われている生酛だが、「生酛」と書いて「きもと」と読む。日本酒用語の基礎として、読み方もしっかり覚えておこう。

生酛の製法と歴史

生酛の製法の特徴は、酒母を手作業で造るということだ。酒母とは、日本酒造りに欠かせない材料である酵母を大量に培養したものを指し、これが日本酒の原型となるもろみのベースである。自然界に存在する乳酸菌を取り込みながら、じっくりと時間をかけて酵母を育てるため、生酛の場合、酒母ができあがるまでに約4週間もの期間を要するのだ。その間に行われる作業も負担が大きく、中でも米をすりつぶす「山卸」という作業は、生酛の製法で最も重労働とされる工程としても知られている。生酛は古くから現代まで受け継がれる日本酒造りの伝統製法であり、その歴史はさかのぼること17世紀後半、江戸時代の頃より続く歴史ある製法なのだ。

生酛と現代の日本酒の製法の違い

現代における日本酒の製法では、乳酸菌を人工的に加えて酒母を造る、「速醸酛」という製法が一般的となっている。従来長い期間を要した酒母造りが2週間で可能になったことに加え、日本酒の品質も安定しやすいとして、現在ではほとんどの蔵元が速醸酛を採用して日本酒を造っている。実際に、現在日本酒の製法で生酛を採用する蔵元は、市場全体のわずか1%とされるほど希少となっている。

生酛の味わい

生酛の味わいの特徴は、コク深く力強い濃醇な飲み口でありながら、キレのある余韻が楽しめることである。生酛で育った酵母は非常に強い生命力を持ち、速醸酛で育った酵母に比べ、雑味成分が少なくなるという。時間と手間をたっぷりとかけて造られる、生酛ならではの味わいといえるだろう。

2. 生酛と山廃には違いがある?

生酛について知る上で、生酛と似た種類の製法である山廃について知っておくことも、重要なポイントである。山廃と聞いただけでは、どのような製法なのか予想がつきにくいだろうが、その意味を知ることで納得できるだろう。本項では、生酛と山廃の違いについて詳しく解説する。

生酛と山廃の違い

前項では、生酛の工程にある米をすりつぶす作業「山卸」について触れた。しかし、この山卸という作業は冬場の極寒の深夜から早朝にかけて行う必要があり、蔵人にとって非常に根気を要する重労働なのである。この工程の目的は米を溶かすことだが、明治時代末期頃の技術革新によって、山卸を行わなくても麹から溶け出した酵素の力により米を溶かせることが発見された。これが山廃という製法の誕生のきっかけである。つまり山廃とは「山卸廃止」の略称であり、生酛から山卸を省いた製法という意味を持っているのである。

3. 生酛の日本酒の保存方法は?

本項では生酛の日本酒の保存方法についての解説をはじめ、気になる賞味期限についても解説しよう。せっかく生酛の日本酒を手にしたのなら、正しい保存方法をよく理解しておくことは大切だ。

生酛の日本酒の保存方法

生酛は生という字を使っているが、生酒のように、「火入れ」といわれる加熱処理の有無を示す言葉ではない。生酛の日本酒にも生酒タイプのものはあるが、ほとんどの生酛の日本酒は火入れがされている。まずここは混同しやすいポイントなので、よく覚えておこう。生酛の日本酒の保存方法は一般的な日本酒と同じく、紫外線を避けること、高温多湿の場所での保存を避けることが重要だ。光が当たらず、なるべく1年を通して涼しい室内で保存するようにしたい。

生酛の日本酒の賞味期限

生酛の日本酒を含め、日本酒自体に賞味期限はあるのかということは、疑問に思う人も多いだろう。その答えだが、実は日本酒は焼酎やウイスキーなどと同じく、賞味期限が明確に設定されていないのである。ただし、日本酒は製造年月の記載が義務づけられていることが特徴だ。この製造年月から、美味しく飲むための期間を確認できることを覚えておこう。火入れがされている日本酒であれば、製造年月から約1年間は問題なく美味しく飲める。火入れがされていない日本酒の場合は少し期間が短くなり、製造年月から約9ヵ月が美味しく飲める期間の目安とされている。開栓後は、種類を問わず早く飲み切ってしまおう。これらの目安は、前述の正しい保存方法あってのことである。保存状態がよくないと、早い段階で味落ちや品質劣化が起こる可能性もあるので、十分注意しよう。

4. 生酛の日本酒のおすすめ銘柄は?

最後に、生酛の日本酒のおすすめの銘柄をいくつか紹介する。本項で紹介するのは数ある生酛の日本酒の中でも定番の銘柄なので、生酛の日本酒が初めてという人はぜひ参考にしてもらいたい。

大七酒造「大七 純米生酛」

福島県二本松市に本社を置く大七酒造は、1752年の創業以来、生酛一筋の日本酒造りを続ける蔵元として知られている。「大七 純米生酛」は大七酒造の生酛の日本酒のスタンダードであり、生酛ならではの濃醇な味わいとバランスのとれた酸味が特徴だ。

菊正宗酒造「菊正宗 上撰生酛」

「灘五郷」のひとつとしても知られる日本有数の酒どころ、兵庫県神戸市東灘区に本社を置く菊正宗酒造は、日本を代表する大手酒造メーカーである。「菊正宗 上撰生酛」は「生酛は酒造りの原点、菊正宗の原点」として、一切の妥協をすることなく造られている本格派だ。コクとキレが冴える、爽快な辛口の味わいは、菊正宗ならではのものである。

東北銘醸「初孫 伝承生酛 本醸造」

山形県酒田市に本社を置く東北銘醸は、大七酒造と同じく、すべての日本酒造りをで行う数少ない蔵元だ。代表銘柄である「初孫 伝承生酛 本醸造」は、日本国内生酛ではもちろんのこと、世界でも認められる生酛の日本酒としても有名であり、ワインの本場イタリアでも人気の日本酒である。生酛ならではのコク深い味わいはそのままに、なめらかでクセのない飲み口が特徴だ。

結論

生酛とは、古くからの日本酒の伝統製法であることをわかってもらえただろう。日本酒造りにおける原点の味わいは、一般的な日本酒では味わえない特別なものがある。まだ生酛の日本酒を一度も飲んだことがないという人は、ぜひ本記事を機に生酛の日本酒を手に取って、じっくりと手間をかけて造られた生酛の味わいを楽しんでもらいたい。
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  • 更新日:

    2021年2月 2日

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