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酒造好適米とはどんなお米?種類やおすすめの品種についても解説

酒造好適米とはどんなお米?種類やおすすめの品種についても解説

投稿者:ライター 森本泰斗(もりもとたいと)

鉛筆アイコン 2021年2月15日

日本酒は、お米を原料に造られるお酒であることは知っている人は多いだろうが、どんなお米から造られるお酒なのかと聞かれると、説明できる人は多くはないのではないだろうか。本記事では、日本酒造りで使用される酒造好適米について詳しく解説する。酒造好適米についての基本的な特徴をはじめ、酒造好適米の種類やおすすめの品種まで、じっくりと紹介していこう。

  

1. 酒造好適米とは?

はじめに、酒造好適米とは一体どのようなお米なのか、解説していこう。酒造好適米の定義や、食用米との違いは一般的にあまり知られていない。本項で酒造好適米の基本をしっかりと押さえておいてほしい。

酒造好適米の定義

酒造好適米の定義とは、日本酒造りのために作られた米であることだ。農林水産省から「醸造用玄米」に指定されているお米だけが、酒造好適米として扱われるのである。食べて美味しいお米があるように、日本酒の味わいを際立てるためのお米もあるということを覚えておこう。

食用米との違いとは

酒造好適米が食用米と違う点は、ただ見た目の違いがあるだけでなく日本酒造りに適した品質を持つということも挙げられる。酒造好適米の特徴をいくつか解説していこう。まず「粒の大きさ」だが、酒造好適米の粒の大きさは、食用米に比べて大きくなる傾向にある。日本酒を造るうえで、お米の表面を削る「精米」の工程があるため、すぐに砕けてしまわないよう大粒になっているのだ。また、お米の中心にある不透明な部分を「心白」と呼び、食用米に比べて割合か大きいことも特徴だ。心白の性質は、脂質やタンパク質の含有量が少ないということ。脂質やタンパク質は食用米の場合は旨みとなるが、日本酒造りでは苦みや雑味となって表れるのである。これらの雑味を前述の精米の工程で取り除いていくのだ。また、心白は粘度が高いため磨いても砕けにくく、醪にも溶けやすくなっていることも大きな特徴である。最後に、お米が日本酒造りに適しているかを定める「醸造適正」も挙げられる。酒造好適米は吸水性や保湿性が高く、日本酒造りの重要な過程において、適した性質を持っているのである。酒造好適米と食用米との違いとは、大きく分けると以上の点だ。酒造好適米について知ることは、日本酒造りの基本を知ることである。よく理解しておこう。

2. 酒造好適米にはどんな種類がある?

酒造好適米のような特殊な種類のお米は、食用米に比べて種類もそこまで多くないのではと思う人もいるだろう。本項では、酒造好適米にはどのような種類があるのか、また、たびたび酒造好適米の同義語として使用される酒米との意味の違いも含め解説していこう。

酒造好適米と酒米の違いとは

酒造好適米は、日本酒造りのために作られ農林水産省より「醸造用玄米」に指定されているものと前述したが、酒米との違いはあるのだろうか。実は酒米とは酒造好適米の略称であり、基本的には同じ意味で考えておけばよい。しかし厳密に分類すると酒米は日本酒造りだけでなく、酒造全般で使用するお米という意味も持つので、一般米も含まれる。あまり深く考える必要はないことではあるが、豆知識として頭に入れておこう。

酒造好適米の種類について

酒造好適米は、現在なんと120を超える品種が登録されている。現在日本では、食用米も含めると全国で900種類以上が栽培されているが、そのうちの約13%ほどが酒造専用の品種となるのだ。品種によって日本酒味わいもさまざまなので、原料の酒造好適米で日本酒を選ぶというのも通の楽しみ方といえるだろう。

酒造好適米の栽培が盛んな県

酒造好適米は食用米とは異なるため、栽培が盛んな県も異なることが特徴だ。それぞれの県の酒造好適米の生産量などの特徴を確認していこう。酒造好適米の生産量が、堂々の1位を誇る県である兵庫県は「灘五郷」を代表とする、日本有数の酒どころとしても有名だ。酒造好適米の王様とも称される「山田錦」は、兵庫県が全国の生産量の約9割を占めている。次に新潟県で、食用米はもちろんのこと、酒造好適米の栽培も盛んな日本の米どころである。山田錦と並び酒造好適米の2大巨頭といわれる「五百万石」は、新潟県を代表する品種となっている。最後は長野県で、東北地方を中心に栽培されている酒造好適米、「美山錦」の生産量が全体の半分以上を占める県だ。美山錦は昭和53年に長野県の農事試験場にて、突然変異により偶然誕生した品種としても知られている。

3. 酒造好適米のおすすめは?

最後に、おすすめの酒造好適米をいくつか紹介する。前項で触れた「山田錦」や「五百万石」といった有名な品種は、数多くの日本酒で使用される酒造好適米の定番だが、ここでは近年話題の品種にしぼって紹介しよう。

雄町

「雄町」は、酒造好適米の父とも称される品種である。その理由は、雄町は山田錦や五百万石のルーツとなる最古参の酒造好適米であるからだ。山田錦や五百万石に比べて栽培が難しく、生産量の減少から一時は絶滅の危機も迎えた品種だが、近年岡山県の酒造メーカーが主となり雄町の栽培を積極的に再開、作付面積を増やすなど復活の道を歩んでいる。雄町を原料にした日本酒は、芳醇でコクのある味わいが特徴だ。

愛山

「愛山」は、近年人気が上がりつつある品種である。兵庫県の一部でのみ栽培されており、灘の老舗である剣菱酒造が長年守り続けてきた秘蔵の酒造好適米であることから、幻の酒米とも称されている。愛山を原料にした日本酒は奥深く繊細な風味と、やさしい甘みのある味わいが特徴だ。

吟風

「吟風」は、北海道で「初雫」に次いで2番目に酒造好適米として登録された品種である。北海道は酒造好適米の栽培の歴史は浅いものの、この吟風の誕生により北海道産の酒造好適米を原料にした日本酒も、全国的に注目を浴びるようになったという。吟風を原料にした日本酒は、品種の名前の通り華やかな吟醸香が風のようにやさしく香る味わいが特徴だ。

結論

酒造好適米が日本酒造りに適しているのには明確な理由があり、食用米とは似て非なるものであることを理解してもらえただろうか。今後日本酒を選ぶ際は、原料の酒造好適米にも注目してもらいたい。品種によって変わる日本酒の味わいを、じっくりと楽しもう。
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  • 更新日:

    2021年2月15日

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