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ブショネとは?ワインを開けたときの匂いへの対処法や予防法を紹介

ブショネとは?ワインを開けたときの匂いへの対処法や予防法を紹介

投稿者:ライター 岡本優美(おかもとゆみ)

鉛筆アイコン 2021年11月 1日

ブショネという言葉を聞いたことはあるだろうか。ブショネという言葉に馴染みがなくても、高いワインを開けたとき、何か嫌な匂いがして飲めなかった経験はないだろうか。ブショネとは、ワインの劣化のひとつである。ここではブショネについてやブショネの対処法、これによる返品が可能なのかどうかを紹介しよう。

  

1. ブショネとは?

まずは、ブショネについて紹介しよう。また、ブショネ以外の劣化についても紹介する。

ブショネについて

ブショネは「bouchoneé」と書き、コルクを意味する「bouchon」というフランス語から作られた言葉だ。その名の通り、ブショネとはコルクが原因で発生する劣化である。コルクは樹皮から作られたものだ。そのため中に微生物が潜んでいたり、あるいは保存中に微生物が発生することもある。微生物の働きと、コルクの消毒に使われる塩素によって化合物のTCA(トリクロロアニゾール)が発生し、異臭を放つのである。コルクが原因なので、レストランのソムリエはブショネを発見するためにコルクを慎重に嗅ぐことがある。

ブショネの特徴

まず、ブショネのワインは飲んでも健康被害はないとされている。ただ、匂いが独特で「濡れた段ボールのような匂い」「カビ臭い」「陰干しした雑巾のような匂い」という表現をされることが多い。おおよそ湿気とカビの匂いだと考えればいいだろう。そのため、ブショネの特徴としては、飲めないわけではないが心地いい香りとは程遠い匂いだといえそうだ。

他の劣化との違い

ブショネ以外の劣化には、酸化や酢酸化がある。まず酸化は、よい酸化と悪い酸化がある。劣化したといわれてしまうのは悪い酸化だ。空気がなんらかの原因でボトルの中に入ってしまった場合は、この悪い酸化とされる。また、酸っぱくなる「酢酸化」も、ブショネではないが困った劣化のひとつだ。一方、ブショネに似ているが劣化ではないものの中に「ビオ臭」と「硫黄臭」がある。ビオ臭は自然農法ワインなどによく見られる現象で、独特の匂いがするがブショネではなくどちらかというとそのワインの個性だ。また、硫黄臭は酸欠状態のワインに起こることがあり、硫化水素の還元臭である。硫黄臭は時間が経てば消えるので、ブショネとは違うのである。

2. ブショネの見分け方は?どうしたら良い?

ブショネかどうかを判別するのは、なかなか難しい。ワインに相当詳しい人でなければブショネをすぐには判断できない。そこで、ブショネを判別するための方法について紹介しよう。

ブショネの判別方法

一見ブショネに思えるワインでも、実は硫黄臭だったということがある。そこで、ブショネが硫黄臭かを見分ける方法を紹介しよう。まずブショネだろうと思われるワインをグラスに注ぎ、空気を含ませる。このときグラスを数度回し、しっかりと空気を含ませるのだ。そのまま1〜2分放置し、さらに空気に触れさせる。この所作によって酸化し、香りが引き立つのだ。そして、立った香りが最初に開けたときに感じた嫌な匂いがそのままだったり、さらに悪化した場合はブショネだ。

ブショネは外見でわかる?

ブショネは全体の2%程度のワインで発生するが、なるべく外見で見極めたいものである。しかしこの現象はコルクや瓶詰め段階で発生する。そのためなかなか外見ではわかりづらく、一見なんの問題もないワインやスクリューキャップのワインでも発生している場合がある。ワインにはコルクの外側(液面に接していない方)にカビが発生していることがあるが、実はこれは飲んでも問題がないワインだ。ワインの保存にはカビが発生するくらいの温度と湿度が必要なのである。吹きこぼれてカビが生えているワインには注意が必要だが、ブショネを外見だけで判別するというのは難しい。

3. ブショネのワインを救う方法はある?

ブショネのワインをどうしても飲みたいときはどうすればいいのだろうか。また、ブショネのワインを避ける方法はあるのだろうか。ブショネのワインをなんとかして飲む、あるいは利用する方法を紹介しよう。

ブショネのワインは返品可能?

不運なことにブショネのワインに当たってしまった場合、返品したいと思うのは当然かもしれない。しかし、一部の会社では返品受付をしていないことがある。これには理由があり、ブショネだと認定するのが非常に難しいためだ。高級なボルドーワインも開けてすぐの香りがブショネの匂いに似ていることもあるほど、ワイン特有の個性とブショネの違いは曖昧だ。そのため、消費者がブショネだと感じても返品できないこともある。もちろん高級なワインがブショネだった場合は残念だが、一方でワイナリーやインポーターにとってブショネではないワインもブショネとして返品されてしまうと赤字になってしまうのだ。ブショネの判別は慎重に行わなければいけないので、返品可能かどうかも含めてまずは購入店に相談してみよう。

ブショネはラップで改善する?

ブショネの原因であるTCA(トリクロロアニゾール)は、ポリエチレンと結びつきやすいという。そのためポリエチレン製のラップを使ったブショネ改善方法が知られている。手順は以下の通りだ。

1. 30cmほど切り取ったラップをデキャンタなど別の容器に入れ、ワインを注ぐ。
2. ワインとラップを触れさせるように軽くかき混ぜる。
3. 5分から10分おいて味見をする。まだブショネを感じたらラップを新しいものに取り替え、さらに様子を見る。
4. ブショネを感じなくなったらさらに別の容器に移す。

以上の手順でブショネが改善するといわれているが、完全に除去するのは不可能なようだ。あくまで応急処置法として使うといいかもしれない。

ブショネへのその他の対処法は?

ブショネのワインは、煮込み料理などに利用できる。特に赤ワインの場合はビーフシチューなどの肉の煮込み料理に使うことができ、匂いも飛び肉も柔らかくなる。ただ、白ワインの場合は香りづけに使うとブショネがより際立ってしまう。そこで匂いが飛ぶような煮込み料理などに使用するようにしよう。また、レストランでワインを飲む際はソムリエが責任をもって提供してくれるので、ブショネに遭遇しても替えてもらえる。どうしてもブショネに遭いたくない場合はレストランで飲むのもいいかもしれない。

結論

ブショネはどんなワインにも起こりうる現象だ。飲んでも体に害はないが、美味しくはない。高級なワインのブショネであればあるほど判別できればいいのだが、外見では判別できないのも困りものだ。またほかの劣化やワインの個性との判別も難しく、はっきりとブショネといえないのも特徴である。ブショネかな?と感じたらまずは購入店に相談することをおすすめする。
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  • 公開日:

    2021年2月17日

  • 更新日:

    2021年11月 1日

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