- 1. ノンアルコールビールとは
- 2. ノンアルコールビールは健康的なのか?
- 3. ノンアルコールビールの「カロリー」「糖質」「プリン体」は?
- 4. ノンアルコールビールの肝臓への影響は?
- 5. 健康機能が付加されたおすすめのノンアルコールビール3選
- 6. ノンアルコールビールもビールも「適量」が健康につながる
1. ノンアルコールビールとは
「ノンアルコールビール=アルコールがまったく入っていない飲み物」といったイメージがあるかもしれないが、実は微量含まれているものが多い。
アルコール1%未満の「ビールテイスト飲料」のこと
酒税法における「酒類」とはアルコール1%(1度と同義)以上の飲料をいう(※1)。一方ノンアルコールビールは「アルコール1%未満のビールテイスト飲料」のため清涼飲料水となる。ただし1%未満なので0.99%でもノンアルコールビールを謳うことができる。そのため「まったくアルコールが入っていない」と決めつけてしまうのは早計だろう。
ビールなどのアルコールは飲める場所や時間、年齢や運転の有無などさまざまな制限があるが、ノンアルコールビールにはそうした制限がない。0.00%であれば、運転中でも飲めるし仕事中に飲むことさえも可能だ。そのうえ味わいも本物のビールに近いものがあるなど、まさに「ビールを飲みたいが飲めない」という方にピッタリの飲料というわけだ。
【アルコール度数0.00%のノンアルコールビールもある】
サントリー「オールフリー」やキリン「カラダFREE」といったように、アルコール0.00%の文字通りノンアルコールビールも数多く販売されている。
20歳未満の方への提供は推奨されない
たとえノンアルコールビールであっても、20歳未満の方への提供は推奨されない。爽快なのどごしがクセになるなどし、飲酒に興味を持つきっかけとなる場合があるためだ。ご存知のように20歳未満の飲酒は健康に害を及ぼすとされており法律でも禁じられている。そのためノンアルコールビールであっても20歳未満の方の前では飲まない、20歳未満の方にすすめないことが大切だ。
2. ノンアルコールビールは健康的なのか?
比較対象および、何を以て「健康的」とするかで大きく変わってきてしまうが、ノンアルコールビールの特徴や健康に好影響を及ぼす可能性がある機能などについて解説していこう。
アルコールの摂取量でいえば健康的?
ノンアルコールビールではアルコールを摂取しないため、単純に「アルコールの摂取量」でいえばビールよりも健康的であるといえる。とはいえ「酒は百薬の長」という故事ことわざもあるように、適量のお酒はむしろどんな良薬よりも健康に効果的という考え方もある。
毎日のように大酒を食らうよりは遥かに健康的かもしれないが、とくにアルコールの摂取を止められていない方が適度(健康を害さない程度)にアルコールを摂取するのであれば、それもまた健康的といえるかもしれない。したがって普段のアルコール摂取量などによって健康的かどうかは変わってくるといえるだろう。
【アルコールの摂取過多を防ぐには効果的】
ついビールを飲みすぎてしまう方がノンアルコールビールを挟むことで、アルコールのトータル摂取量を抑えることができれば健康維持に好影響を与えてくれる可能性がある。
内臓脂肪の減少など健康機能が付加された商品も登場している
たとえばサントリー「からだを想うオールフリー」には、内臓脂肪を減らす効果があるというローズヒップ由来のティリロサイドという成分が含まれている(※2)。同社によれば、ティリロサイド0.1mgを12週間摂取した場合、内臓脂肪面積が平均で9.3cm2(平方センチメートル)減少するという。
同じくキリンの「カラダFREE」にもお腹周りの脂肪を減らす効果が期待できるという。こちらは熟成ホップ由来の苦味酸によるものとしており、1日1本12週間飲み続けた場合、お腹周りの脂肪が約17cm2減少するとしている(※3)。
ノンアルコールビールには快眠効果がある?
ノンアルコールビールにはホップや麦芽が含まれている。ホップには鎮静効果があり、麦芽にはリラックス効果があるGABAが含まれている。こうしたことから、ノンアルコールビールには快眠効果が期待できるといわれている。
アルコールを摂取した場合、利尿作用やのどの渇きなどで夜中に目が覚めたり、体が冷えて良質な睡眠が阻害されたりすることがある。その点ノンアルコールビールにはアルコールが含まれていないため、両者を比較した場合、快眠効果が期待できるのはノンアルコールビールといえるだろう。
加えてホップには脳の活動を向上させる効果が、麦芽にはドーパミンを放出させる効果があるという。結果として「やる気」が引き出されれば、仕事などのパフォーマンスに好影響が出る可能性が期待できるかもしれない。
【ノンアルコールビールにも利尿作用はある】
アルコールは入っていないものの、ノンアルコールビールもビールと同じように飲むとトイレが近くなる。ホップの利尿作用によるものだ。寝る直前や大量に飲んだ場合などは、快適な睡眠が害されることもあるので覚えておこう。
もちろん「ノンアルコールビールだけで健康体」は無理
このようにアルコール摂取量を抑えたり、内臓脂肪を減らしたりといった効果が期待できるものではあるが、さすがにノンアルコールビールだけで健康体になることは不可能だ。「特定保健用食品(トクホ)」とは異なり、これらはいずれも消費者庁の個別の許可を受けたものではない(アサヒ「ヘルシースタイル」のようにトクホの許可を受けたノンアルコールビールもある)。
健康のためには、アルコールの摂取過多を防ぐ目的でノンアルコールビールを取り入れつつ、食事や睡眠、適度な運動や上手なストレス発散など、普段の生活習慣を見直すことも必要不可欠である。
3. ノンアルコールビールの「カロリー」「糖質」「プリン体」は?
いくらアルコール摂取量を抑えたり内臓脂肪を減らしたりする効果が期待できるとはいえ、大量かつ長期的にに飲むのは体には悪いのでは?と思う方もいるだろう。カロリーや糖質、プリン体などはどれくらい含まれているのか、また肥満とは関係があるのかなどを解説する。
「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」の商品も多い
前出のサントリー「からだを想うオールフリー」やキリン「カラダFREE」などは、いずれもカロリーゼロ・糖質ゼロ・プリン体ゼロを謳うノンアルコールビールだ。ただしアルコールのケースと同様、まったくのゼロというわけではない。食品表示基準に基づき「100mlあたり5kcal未満」「同糖類0.5g未満」「同プリン体0.5mg未満」といったものを「ゼロ」と表示している。
【ビールと比べると?】
一般的な淡色ビール100mlあたりのエネルギーは40kcal、糖質(炭水化物)は3.1gである(※4)。またプリン体は、100mlあたり3.4〜7.1mg程度含まれている(※5)。カロリーや糖質、プリン体の含有量という観点で両者を比較した場合、ノンアルコールビールのほうが健康的といえるだろう。
ビールと同等以上の糖質が含まれている場合もある
味を作るにあたって砂糖や人工甘味料を加えたノンアルコールビールの場合、普通のビールと同等以上の糖質(炭水化物)が含まれていることもある。ビールテイスト再現のため添加物が多く含まれていることがあるので覚えておこう。健康志向で添加物を避けたいと考えている方には、そうしたノンアルコールビールは少々不向きかもしれない。
ノンアルコールビールと肥満の関係性は?
ノンアルコールビールにはブドウ糖液が大量に含まれていることがある。ブドウ糖液は代謝機能に影響を与え、肥満の元になるおそれがあることも示唆されていることから、大量摂取によって肥満を招くリスクはゼロではないと思っておいたほうがよさそうだ。
【適量はメーカーのホームページなどで確認を】
サントリー「からだを想うオールフリー」は「1日3本を4週間摂取した試験」で安全性を確認しているという。ただし公式サイトでは350mlおよび500mlいずれも1日1本を目安としている。
同じくキリン「カラダFREE」では、1日1本以上飲んだからといって大きな効果が得られるわけではないことから、1日1本を目安としている。加えて飲みすぎもしくはその人の体質(体調)などによってお腹がゆるくなることがあるとしている。なにごともそうだが「適量」が大切だ。
4. ノンアルコールビールの肝臓への影響は?
もうひとつ気になるのが「肝臓」への影響ではないだろうか?ご存知のようにアルコールの摂りすぎは内臓疾患を招く要因となる。中でも肝臓は影響を受けやすく、高頻度かつ重篤になりやすいため注意が必要だ(※6)。
ビールに比べれば肝臓への影響はほとんどない
ノンアルコールビールには、肝臓に負担がかかるアルコールがほとんど(またはまったく)含まれていない。そのためビールと比較した場合、肝臓にかかる負担はほぼないと考えてよいだろう。肝臓の健康という視点で考えれば、ビールよりも断然、ノンアルコールビールがおすすめだ。
ただし糖質や添加物などの摂取過多にならないよに注意
いくら肝臓に負担がかからないとはいえ、上述したように糖質や添加物などが多く含まれている場合がある。肝臓は健康でもそれ以外の部分で健康に悪影響を及ぼしてしまうおそれがあるため、やはり適量は守るようにすることが大切だ。
5. 健康機能が付加されたおすすめのノンアルコールビール3選
何らかの健康機能が付加されているノンアルコールビールのうち、おすすめを3選紹介する。
サントリー「からだを想うオールフリー」
天然水やホップ、麦芽などこだわりの原材料を中心に作られている。内臓脂肪を減らす成分が含まれているため、BMI値が気になる方などにおすすめだ。
アサヒ「ヘルシースタイル」
食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにするとしてトクホの許可を受けたノンアルコールビールである。脂肪の多い食事を摂りがちな方は要チェックだ。
キリン「パーフェクトフリー」
脂肪の吸収を抑えるとともに、糖の吸収をおだやかにする難消化性デキストリンが含まれたノンアルコールビール。食後の血糖値などが気になる方におすすめだ。
6. ノンアルコールビールもビールも「適量」が健康につながる
ノンアルコールビールの中には、内臓脂肪を減らしたり糖の吸収を緩やかにしたりなど、健康によい効果が期待できるものも増えてきた。アルコールの摂取量を抑えられるだけでなく、そうしたうれしい効果が得られるのは近年のノンアルコールビールの特徴だろう。
しかしビールなどのアルコールには、ノンアルコールビールにはない魅力や楽しさがあることもまた事実である。大切なのは、ビールでもノンアルコールビールでも「適量」を守ること、そして健康を考えるのであれば食事や睡眠など生活習慣を見直すことだ。
結論
ノンアルコールビールは「ビール」と名がつくものの、ビールとはまったく別の飲み物と捉えることが重要だ。ビールなどのアルコール飲料にもノンアルコールビールにも一長一短があるため、バランスを考えてうまく付き合うことが大切になる。
(参考文献)
※1:【総則】|国税庁
※2:からだを想うオールフリー|サントリー オールフリー ノンアルコールビールテイスト飲料
※3:カラダFREE|ノンアルコール飲料|商品情報|キリン
※4:第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版):文部科学省
※5:食品・飲料中のプリン体含有量 | 公益財団法人 痛風・尿酸財団
※6:アルコールと肝臓病 _ e-ヘルスネット(厚生労働省)